見出し画像

続!田舎の中の戦争 ビヨンド

前作↓
https://note.com/kichi_gay/n/n5e1fbb043857

 
後日、どうしても限定ガンプラを諦めきれない筆者は少しだけ町らしい場所に出掛けた。
そこは地元の掃き溜めとは違って賑わいこそあるものの殆ど水商売全般とラブホテルと如何わしい何かの廃墟ビルなので大して変わらんが普通の店がわりとあるのは大きい。
ちなみに筆者が欲しいのはルブリスだ、色合いが一番好きだからだである。

まず一件目に向かうと前回訪れたSWATのような装備の警備部隊ではなく軽装のお兄ちゃんがたち構えていた。
しかし彼らの手にはハンドガンが握られており、緊張感が出る。
筆者か不審者でないと判明すると軽いボディチェックを受けた
思ったよりも弾痕も死体も少ないので「やはり町は違うのだな」と思った。いつものように在庫を問い詰めると「ありますよ」と言われた。
しかしそこにルブリスはなかった、店員にお礼を告げて退店すると兄ちゃん達も敬礼していた。
こちらも金があるわけではない…純粋にほしい人の手に渡ることを祈りながら次の店に足を運んだ。

次の店は店内での銃撃戦真っ最中だった。
筆者は適当な物陰に隠れて見ているとこの辺ではあまり見ない別の過激派転売グループと半グレが撃ち合っている。
次々飛び交う銃弾と血飛沫。しばらく眺めていると後ろから強く肩を叩かれた。
振り向くとそこにはサングラスを掛けた高そうなスーツを着ているあのおっさんがいた。 (前作にて登場)
「おっさ…」
「何見てんだテメェ!ってあんときのガキか~話足りんって時にクソ漏らして帰ったのはゆるさんぞ~ケケケ」
「そ、その節は…」
俺は急いで頭を下げた。
「ほんとはお前とGガンダムとサンダーボルト語りたいとこなんだけどな、あいつらこの前のセブンからガンプラパクった半グレなん」
驚いた。あいつらがこの前のセブンをめちゃくちゃにした奴らか…
「だからよぉ、奴さんに立場分からせるために俺らが弱りきった半グレの方を襲撃したるって作戦ってワケよ。俺の組のやつらもそちこちに隠れてて危ないからはよ帰れ」
おっさんの強張った表情は筆者を威圧するには十分すぎた。

慌てて帰る最中、大きい音がしたのでわき目をこらすとセブンイレブンは火を吹いていた。
893の奴等、何をしたらこうなるんだ?
これ以上厄介事に巻き込まれたくない筆者は急いでその場を後にした。


結局進んで得れたものはスレッタとミオリネとエランのアクスタだけだった。
その日以来、おっさんの生死を知らない筆者はある日家でコカイン中毒の妹から「隣のオウム残党の山田の家はサリンを製造していていつも臭い」「半導体はカブトムシで代用出来る」「私は卑弥呼の生まれ変わりだからしっかりと話を聞け」だのの戯言を聞かされまくっていた。
隣の山田の家は確かに臭いけどあいつただのポン中ガチ勢で覚醒剤製造時の臭いだと思うし話を聞いてるだけで頭が痛くなったのでテレビを着けた。
するとニュースが始まっており、綺麗なネーチャンは淡々と原稿用紙をを読み上げた。
「先月、町にて半グレグループを数人射殺した二是田(だぶるぜた)組組長の葦田柔道(あしだじゅうどう)容疑者が銃刀法違反と殺人の容疑で逮捕されました。逮捕されて以来、今現在も容疑者は黙秘を続けており、警察の調査も難航しています」
この辺らしいニュースだな、と思ってテレビを凝視しているとそこにはあのおっさんがカメラ目線でピースしながら連行されていた。
筆者は驚きのあまり、リモコンを落としてしまった。
妹は「ストーカーに居場所がばれちゃうじゃん!」などと怒鳴っていたので筆者は奴にドスを向けて「コカイン切れてるならてめぇの腐った膣で土方してこいや!」と無理矢理家から叩き出してやった。
おっさんがあの抗争で生き残ったのならよかったとは思うが死刑確定だろなぁと思いながら筆者はその後もくだらないテレビ番組を眺めた。

しばらくするとインターホンが鳴ったと同時に怒声が聞こえた。
家には一応門番をしている組員がいるのだがどうも揉めているらしい。
父は組員を連れてゴルフ(父のスコアを上回った組員は指を詰められる鬼畜接待ゴルフ)、母は父の組がケツモチしてる高級クラブの開店準備で留守にしているので俺が向かうとそこには困りながら誰かを押し出している組員と先ほどテレビで見たおっさんこと葦田柔道容疑者が立っていた。
「坊っちゃん!こいつ二是田(だぶるぜた)組の組長っすよ!」
「だーかーらーおりゃああいつに用があるんだって!一人で来てるのにカチコミなわけねぇだろアホかボケ!」
「どうしやしょうか…」
「いいよ。入れてあげて」

「葦田さん…!?あなた逮捕されてたんじゃあなかったんですか」
「ん?あれか。ありゃおれの影武者だ。その証拠にぃ~」
葦田さんがタンクトップとズボンをするりと脱ぐと背中と尻には相変わらずジム(イデオン)とガンダム(バルディオス)があった。
「ちなみに影武者にゃザクが掘られてるんだ、死んでも代わりが効く本当の量産型って意味でな。ガハハ!」
あの頭のおかしい掘り師が担当ならどうせザクと騙されてガンバスターでも彫られたのかな。
「影武者ってその後どうなるんすかね、もし釈放されたら待遇改善とか?」
「次期当主とは言えどまだまだ発想がお子ちゃまだな、おれの影武者やる時点でもう鉄砲玉としても使い物にならんアホたれかウリも肉体労働もな~んも出来ん債権者しかおらん。全員声帯切らせてるしシャブと通電で頭パーにしてあるから嫌でも黙秘しか出来んよ(笑)」
その時の葦田さんは笑ってこそいたが目は笑ってなかった。
「そうだ、そんなつまらん話しに来たわけじゃない。どうだ?ストライクとνガンダムどっちかいるか?」
「えっ!?買えたんですか」
葦田さんはテーブルに二つの箱を置いた。
「あんときのカチコミでな、これだけゃお前の為にキープしといてやったんよ。ルブリスはおれの分しかないから堪忍な」
俺は迷った、色合いとしてはストライクのが好きだが本編をあまり知らない。νガンダムは好きだが色合いがなんか藻が生えまくってるやつみたいで嫌だ。
迷っていると彼はグエル·ジェタークのアクスタを出した。
「これもオマケでつけるからさぁ、頼むわ。俺の積みガンプラ置き場用マンションにもスペース無くて新居確保するまではしばらく置けんの」
仕方ない、筆者は渋々νガンダムを選んだ。
「ありがとなぁ、端数切り捨ててアクスタと合わせて2000円。一応生き残りの店員に代金払っといたから盗みじゃないぞ?」
金取るのかよ
相手が組長と分かれば父の組と今後組むにしても敵対するにしても色々使えそうだしその先行投資として金を払うことにした。
これも次期当主としての一環だ。本音を言うとこうした実績を作らないと父親に消されかねない。

商談成立で機嫌がいいのか葦田さんは高そうな酒を取りだした。
封は開けられてなく、毒も入ってないし先に飲むとは言われようが万が一何かあるといけないので筆者はちびちび飲んでいる内に葦田さんは脱ぎ上戸なのか完全に酔っぱらった勢いで全裸で踊り出していた。
他にもスミはあるはずなのに相変わらず背中のイデオンと尻のバルディオスが目立つ。
筆者は酒でつい口が緩んで「それジムとガンダムじゃねーから(笑)マジウケる」とちゃちゃを入れると葦田さんの酔いがパッと覚めた。
「なんじゃガキぃ、証拠はあんのかぁ?」
しまった、でもここで口を紡んでいたら筆者が殺されかねない。
筆者はしょうがなく全裸の彼の背中を全身鏡で確認させながらイデオンとバルディオスの画像を見せると葦田さんは明らかに怒りで顔が真っ赤になった。
「あのクソ野郎!よくも俺を騙しやがったな!」
彼はスマホを取り出すと部下?に怒鳴りながら連絡を入れていた。
彼は話終わるとこっちを見た。「あんときゃなんか指摘出来ん状態にさせちまってごめんな」
「んであの彫り師ってどうするんですか…」
恐る恐る聞いた。
「1月まで一通り拷問してから最期は皮膚全部ひんむいて真冬の海で泳がせたるわ(笑)」
やはりこの田舎はイカれている。

終わり

高いよ