妖精界と人間界の寓話的邂逅―突撃!妖精証言録(永野百合子×飯塚うなぎ×鈴木はじめの語る、妖精たちの生態系)

10月13日(金)~15日(日)に吉祥寺シアターにて上演される、妖精大図鑑『無関係のジョバンニ』。
“エキセントリックセンチメンタル”を標榜し、ハイクオリティなダンスとシュールなコントを矢継ぎ早に繰り広げながら、観たこともない超然的世界へと私たちを手招きする小人たちの集まり―それが妖精大図鑑である。
我々吉祥寺シアターは謎深きその生態に迫るべく、妖精大図鑑の3人への接触を試みた―

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妖精大図鑑の皆さま
(写真:福本剛士)

―本日はよろしくお願いいたします。
―はじめに、皆さまの自己紹介をお願いいたします。
 
永野:永野百合子です。演出と振付を主に担当していて、出演もしています。衣装や小道具などの縫い物、ヘアメイク、選曲もやっています。
飯塚:飯塚うなぎです。妖精大図鑑のお話を書いています。そのほか、出演したり小道具を作ったり、たまに照明をいじったりしています。
鈴木:鈴木はじめです。主に音響と映像を担当しています。あとは雑務ですね。
永野:Webとか税務関係、スケジュール組み、助成金、SNS管理とか…
飯塚:車の運転、関係者への連絡…
永野:チケットや当日パンフレットのデザインも。
飯塚:全部ですね。
鈴木:パソコンを使うことはだいたいやっています。

―妖精大図鑑は普段どのような作品をつくっていますか?
 
飯塚:内容としては、基本的にあまり人間が出てこない作品をつくっています。表現方法としては、ダンスと台詞と、その他諸々…
永野:歌ってみたり組体操をしてみたり、人形劇、紙芝居、スライド、大喜利、クイズ、影絵とか…舞台でできるものは何でもやりたいです。
飯塚:その時やりたいことを全部やっています。
永野:いつかやりたいと思っているのは、ボタンを押したら床がバンって開くやつ。
飯塚:「細かすぎて伝わらない」のやつ。
永野:あとは宙乗りとか。
飯塚:人間バズーカとか。
鈴木:だんだんサーカスになってる。
永野:とにかく楽しい方がいいです。何より自分たちが面白がれる作品をつくっています。
飯塚:メッセージ性よりも楽しさに重きが置かれてる。
 
永野:でも、特に近年はちゃんとテーマを考えるようになりました。前はばらばらと単発のシーンを組み合わせて、後付けでテーマを決めていたんですけど、最近はその辺の組み立て方が変わってきたと思います。
飯塚:それも「ちゃんとしなきゃ」と思ったからというよりは、そうした方が面白がってくれる人がいることに気付いたからですね。深読みしたいと思ってくれる人が「深読んだけれど何もなかった」となっちゃうのは悲しいなと思って。穴を掘ったときにちょっとでも「何か埋まってるぞ!」となった方が楽しいので、我々が楽しいと思うものをたくさん埋めています。もちろん何も考えずに観ても楽しいし、掘り下げてみても面白いと思えるものを目指しています。
永野:とにかく楽しい、面白いが最優先ですね。

飯塚うなぎさん(写真:吉祥寺シアター)

―特にここが妖精大図鑑の魅力だと考える点を教えてください。
 
永野:いつも困っているのが、「妖精大図鑑ってどういうジャンル?」と聞かれたときに答えづらいこと。それが一番の魅力だと思っています。妖精大図鑑は妖精大図鑑っていうジャンルだよね、というところ。
飯塚:欠点でもあるかもしれないんですが、「分からない」ということだと思います。これが何なのか誰にもはっきり分からない。
永野:それ自体が大きな特徴なんじゃないかなと思いますね。
 
―今作『無関係のジョバンニ』はどういった作品になりそうでしょうか?
 
飯塚: さっきの話でいうと、今回は掘り下げがハードモードなんじゃないかと思います。深く読み込んでいこうとすると一筋縄ではいかないというか。もちろんその場その場のアトラクションを楽しめるように作っているので、どちらの楽しみ方もできるようになっていると思います。
永野:いろんな話や出来事が怒涛のように起こりますが、その元ネタはすごく身近なところにあるものばかりなので、そういう意味でも楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。

永野百合子さん(写真:吉祥寺シアター)

―最後に、まだ妖精大図鑑を観たことのない方へ向けてメッセージをお願いします。

永野:ダンス担当としてのメッセージになりますが、妖精大図鑑のダンスはそんなにダンスを観たことがないという方でも構えずに楽しく見られると思います。決まる所はバシッと決まってかっこいいけど、観ることにハードルを感じさせないように作っています。なので「ダンスかあ」と難しく考えず、気軽に観に来てほしいなと思います。

飯塚:特に小劇場って「具体的にどんな作品が提供されるのか分からない」ということが多いですし、初見の団体を見にいくのはお客様にとってハードルの高いことだと思うんですが、妖精大図鑑の作品は敷居をとても低く作っています。舞台の事前知識は要りません。楽しませようと必死に頑張るので、ぜひ観に来ていただきたいです。一度観ていただければ妖精大図鑑が何なのかが分かると思います。

鈴木:二人が全部言ってくれたんですが…どんな人にとってもどこかしらに楽しめるシーンがきっとあると思います。是非観に来てください!

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妖精大図鑑『無関係のジョバンニ』
10月13日(金)~15日(日)

「このシャッターって開くんですか?」と誰かが言い出すと、
風の噂は尾鰭付き背鰭付き、一人歩きを始める。
この扉の向こうには少しズレた世界線、魔都・裏吉祥寺が存在し、
神様は引きこもり、亡者が彷徨い、一度迷い込んだら二度と出られないんだとか。
不確かな迷宮を脱出するべく、あなたは一冊の図鑑を手がかりに歩き出す。
図鑑のいうことを鵜呑みにしてはいけないよ。
妖精大図鑑がダンスとコントとその他諸々でお送りする、
シャッターを中心に繰り広げられる奇妙で愉快なお伽話。

■公演詳細
https://www.musashino.or.jp/k_theatre/1002050/1003231/1005150.html

■ご予約
・武蔵野文化生涯学習事業団
https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-s/showList?en=356
・CoRich舞台芸術!
https://stage.corich.jp/stage_main/245068
・e+
https://eplus.jp/sf/detail/3910590001-P0030001

(担当:小西力矢)

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