東洋思想はしみじみと語る。

 ジョブズも学んだという老荘思想研究家の

 田口佳史先生の講義。

「東洋思想というのは

しみじみと語るものなので」と

椅子に座って始められた。


1964年の成長期から安定期を経て

2002年からの転換期の中にある今、

東洋思想を学びたいという人たちが増えているという。

老荘思想はそもそも中国から伝わったものだと思うが

その中国からも学びに来ているらしい。


江戸の教育の素晴らしさを強調されていたが

幕末に日本を訪れた外国人たちの記録に

その日本人の美しさに心打たれた記述が

多く残されている理由がわかる。


子供にはわかりやすく易しいことから教えるものと思いがちだが

江戸の教育では難しいことから教えたという。

その根本は命の大切さであり、

人間として生きていくのに土台となることごとだ。

この土台が小学期に形成されていれば

人として生きていく軸はぶれにくいだろう。


本能や欲望というアクセルを抑えられるのは

理性というブレーキ。

この理性は生き物の中で人間だけが持つ。

この理性を磨くことが人間を磨くことなのだ。


去年明治時代の教育の展示をするための資料を借りたいという

地元の学芸員さんのご依頼があり

家の蔵にあった江戸時代の書物を整理したのだが、

さまさまな庭訓往来や歴史物の書き写したものが随分あった。


その時は書物が貴重だったので書き写して勉強したという理由かと思ったが

書き写すことで文字を覚え「書」を上達させたのだという。


教育の世界も温故知新。

「徳」を大切にし、人間を育む東洋の智慧。


もしかしたら、東洋の智慧には

近隣諸国との摩擦をも超越して

行き詰った様々な問題に向き合い

地球規模で「命」を考えるヒントがあるのかもしれない。


あと10数年後に訪れる成長期までに

どれだけのことを準備できるかが鍵だ。
















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