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アイドルを消費しているという感覚

わたしは、大吾くんのことを何も知らない。
丈くんの1万字インタビューを読んで改めてそう思った。

仕事をしている時の"アイドル西畑大吾"だけでも、少しでも知りたくて、理解したくて、現場に通ってたくさん話を聞いてテキストを読んで記憶して、今大吾くんは何を思ってるかなって常に考えてきた。

大吾くんが闘志を燃やす姿勢を見せるたびに、負けたくないと思った。大吾くんが優しく笑うようになってから、わたしも無理をしなくなった。

あくまで自分の目で見て耳で聞いた情報から、大吾くんの感情を少しでも捉えようと努力して、自分の目にうつる大吾くんのことを好きだなと思ってきたけど。

ーーじゃあ、戦友でもあるメンバーにメッセージを。まずは大吾くん。
「入所したころから、みんなが"こっちがいい"って言っても空気に流されず"僕はこっちがいいと思うんですけど、どう思いますか?"って言えるコやった。なにわ男子でいっしょになるずっと前から、"こういうコがグループにいたら心強いやろうな"って思ってたよ」
(藤原丈一郎 1万字 2022.9.M)

わたしは、この大吾くんを知らないなと思った。昔からそんなふうに意見が言える子だったなんて知らなかった。もしかしたらどこかで目にしていて、記憶からすり抜けていた可能性もあるし、シンプルにわたしの知らないところでこういうことが語られてた可能性だってあるけど。

結局わたしの見ている大吾くんは、わたしにとって都合の良いところだけを切り取った"わたしが見た大吾くん"でしかないのだ。

でも、これはアイドルだけじゃなくって、一般社会を生きるわたしたちにだって言えること。わたしが今こんなふうに文章を書いていることや、すごく力を入れて大吾くんのファンをしていること、知らない人はたくさんいる。逆に言えば、今わたしの文章を読んでくれている人だって、わたしがどんなふうに生きてきて、どこでどんな仕事をしているのか知らない人が大半だろう。

それに、どんなに仲が良い友達でも家族でも知らない一面はあるもの。結局のところ、身近な人のことすらもわたしたちは100%知っているわけではないのだ。

わたしの好きな「オートリバース」というラジオドラマに、こんなセリフがある。

ヒメ「わたしたちって今日子からいろんなものもらってんだよね。好きですって何にも考えずに叫べる相手がいるってすごくいいことじゃない?」

直「うん、そうかもしれない」

ヒメ「わたしたち、あの子に感謝しなきゃね」

直「してるよ、尽くしてる、みんな」

ヒメ「そうだね。でも、自分のためにそれやってるでしょ」

直「……うん」

ヒメ「アイドルってさ、勝手に尽くされてさ、大変な仕事だよね、私無理だなあ」
青春ラジオ小説『オートリバース』

「オートリバース」は、アイドル全盛期だった1980年代を舞台にした物語で、これは当時まだ無名だった国民的アイドル・小泉今日子の親衛隊に入っているふたりが、小泉今日子のことを思って会話をするシーンだ。

わたしは、いつだって大吾くんのことを思って大吾くんのことを応援しているつもりだけど、それは結局自分の心を充実させるために、自分が幸せになるためにやっていること。その自覚がある。

大吾くんの好きなところを都合よく切り取って、ただただ好きなだけ、好きをぶつけている。

でも、もしこれが普通の人間関係だったら?

自分が相手に対して好きだと思っているところでも、それはその人が無理して作っている一面かもしれない。もしくは、自分が勝手に"この人はこういう人だ"と思い込んでいるだけで、素のその人は全然違う人なのかもしれない。

好きって言われることで負担になったり、逆に嫌になったりしたら、1対1の人間関係なら相手は離れていく。

それでもアイドルは絶対に離れない。だってアイドルだから。

だからわたしはいつだって、自分が目の前のアイドルのことを都合よく消費しているかもしれないことを自覚していたい。

アイドルだって人間だ。

「〇〇くんはこういう人だと思ってました」
「〇〇くんがそんなこと言う人だと思ってなかったです」
「〇〇くんには幻滅しました」

こんな言葉を浴びせられて、受け止められる人なんていない。自衛はしているだろうけどどうしても目に入ってくるものもあるだろう。

もちろん法を犯したとか、倫理的にダメなことを言ったとかなら、批判されてもしょうがないかもしれない。
でも、自分に見えていなかった相手の側面が見えたことで、相手の人間性そのものを否定するのはちがう。

すぐ隣にいる家族や友達のことですらわからないのに、画面越しのアイドルのことなんて全部わかるわけない。 

ただ、人間はわからないから面白いとわたしは思う。

わからないから、知らない一面が見えた時にドキッとしてもっと好きになったり、逆に違うなって思ったり、感情の波が生まれる。そうやって相手のことを知っていって、良いところも悪いところもだんだん理解して、深まっていくのが人間関係の醍醐味ではないだろうか。それで合わない人は離れていくし、合う人とはずっと一緒にいることになる。

アイドルとファンの関係は特殊で、どんなに嫌なことを言われても、アイドルはアイドル側から離れていくことはない。アイドルが自分から離れるのは、自分がファンをやめたときだけ。

だからこそ、離れないって決めたなら、目の前にいるアイドルの気持ちをしっかりと考えて接していきたいとわたしは思う。接するというのもまた違う気がするけど。わたしの目にうつっている好きなアイドルのことを大切に思ったうえで、ファンとしての発言や行動をしていきたい。ただそれだけだ。

大吾くん、今何してるかな。何を考えてるのかな。

いつだってそう思うけど、そう思ってはいるけど、本当のところ、大吾くんが何を考えているかなんて一生わからなくていい。アイドルとファンとしての関係が好きだから。

それでも、これから先、まだまだわたしの知らない大吾くんが垣間見える場面が増えてくるかもしれない。でもどんな大吾くんでも受け止める自信があるし、どんな大吾くんのこともわたしは好きだと思う。それぐらいの覚悟を持って西畑担をしている。

それに、やめようと思えばいつでもやめられるってずっと思ってるけど、大吾くんの新しい一面が見えるたびに、わたしは大吾くんのことをもっと好きになるばかりなのだ。本当に大吾くんには頭が上がらない。

アイドルのファンをしていると色々な考え方に触れることがあるけど、結局のところ人には人の自担。大吾くんという人間の捉え方は人それぞれ。

でも、実際は大吾くんは1人しかいなくて、アイドルである前に1人の人間なのだ。

それをちゃんと自覚して、これからも応援していきたいなと思う。

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