ならみお-t

ならみおさんの働き方

こんにちは「未来の仕事屋」です。このマガジンでは、「時給で働く」以外のさまざまな働き方を選んでいる方に、その働き方を選んだ経緯や、働く上で大切にしていることなどを伺っています。毎回、共通の5つの質問を通して「じぶんらしい働き方」とは何か?について考えていきます。

今回は「地域おこし協力隊」のならみおさんにお話を伺いました。


ならさんは、ご自身の地元でもある山梨県都留市の「地域おこし協力隊」として活動されています。「地域おこし協力隊」というのは、都市地域から地方自治体に生活の拠点を移し、一定期間以上、農林漁業の応援、環境保全・監視活動、住民の生活支援などの地域協力活動に従事する協力隊員のこと。都留市では現在、6人の方が隊員として都留市に移住し活動を行っているそうです。ならさんはそのうちのお一人です。

ならさん:都留市の「地域おこし協力隊」が私の現在の本業です。2017年の4月からで、現在3年目になります。そして、複業として今年の4月から(株)Ponnufのメンバーも務めています。業務委託契約をしていますが、扱いは社員です。さらに、ゲストハウスの管理人などもしています。

ならさんは、もともと山梨県都留市のご出身です。そのならさんが、なぜ都市地域からの移住者で構成される「地域おこし協力隊」になり、現在のような働き方をされるようになったのでしょうか?

ならさん:新卒で入社した人材教育コンサルティング会社を、私は4年目で退職しました。仕事はとにかく毎日忙しくて、そのころの私は完全に思考停止していました。「これが充実しているっていうこと」と勝手に自分で納得してしまっていたんです。でも、忙しさが退職理由になったわけでは決してありません。むしろ私は、自分から望んでそういう環境に身を置いていましたし、実際に楽しかったですから。いちばんの問題は、「自分の未来を描けども描けども、字面ばかりが立派になって実感が全然わかない」ということでした。

そのときの自分自身に具体的な不満があったというわけではなく、ただ、真剣に自分と向き合ったときに「退職」という選択肢がならさんの前に現れたのではないかな、と思いました。こういった具体的な何かではない漠然とした気持ち……実は共感できる人は多いのではないかと思います。

ならさん:好きだったし、楽しかった会社を辞めて、私は地元都留市にUターンしました。「自分の気持ちに正直に、今も未来も幸せな人生を歩むために」決断して会社を辞めたのだから……と思って、そこでは、自分の思いに従ってさまざまなことに挑戦して、そして多くのすてきな出会いがありました。

ならさんは都留市にUターン後、NPO法人都留環境フォーラムの職員になり、そこからフリーランスに転身。友達と畑仕事を始めたり、都留市役所の臨時職員として採用されてその仕事をやりながらのゲストハウス開業の準備。カフェを開業するために、食品衛生責任者の資格をとったり、月1カフェオーナーとして活動したりと、とても精力的に動かれています。

ならさん:2017年に入籍しましたが、そのときも東京と都留の二拠点生活を選択しました。「まだやれることがある」と思ったんです。そして現在「都留市地域おこし協力隊」「(株)Ponnuf都留コミュニティマネジャー」「古民家ゲストハウスあわ管理人」と、パラレルワーカーという働き方を選んでいます。


二拠点生活、そしてパラレルワーカーとして大活躍のならさんに、「時給で働く」ということについてどのようなお考えをもっていらっしゃるか、お話を伺ってみました。

ならさんアルバイト等で時給で働いていたことはありました。でも私はそのとき、時給以上の仕事をしようという気にはなれませんでしたね。割りに合わないことが嫌いな性格だからだと思います(笑)

確かに「時給で働く」ということに対して、「割りに合わない」という考え方もあるような気がします。そして一方では、「時給で働く」ことを「割りがいい」と考える人もいます。つまりこれは、自分の何に対して対価が支払われているかという認識が、人それぞれ違っているからなのだと思います。

ならさんそうですね、私の場合、成果に対して対価が支払われる働き方が、自分に合っていると思っています。これは新卒で入った会社で、1年目から新卒採用担当を兼務する内定者教育プロジェクトの責任者を任されていたことがあるかもしれません。内定した学生たちに寄り添い、並走し、時にぶつかり悩みながら仕事をしていましたので、「じゃあ自分は?」と自分自身を振り返ったり自分の仕事の価値について考えたりする機会が多かったと思います。

自分の仕事の価値に向き合った経験があるということは、とても重要なことだと思います。そこを一度でも、真剣に時間をかけて丁寧に考えた経験があるかどうかは、ならさんもおっしゃっている「幸せな働き方」を実現するためには、不可欠なことのように思いました。


パラレルワーカーとして働くならさんは、収入面に関しての不安のようなものはないのではないか?と思えるのですが、実際にお金については納得のいくものになっているのか、伺ってみました。

ならさんはい、納得しています。あまりよく知られていないと思うのですが、「地域おこし協力隊」というのは、月20万円前後のお給料を安定していただきながら、自分の「やりたいこと」を実際に地域に還元していき、独立の準備をしていける大変ありがたい仕組みなんです。

なるほど! 知りませんでした。

ならさん国から1人あたり1年で400万円の予算がおりていて、任期は最短1年、最長3年です。都留市の場合は月額166,000円の報酬と社会保険、雇用保険、厚生年金が完備されています。家賃補助も月5万までありますし、移住のときの引っ越しの費用も7万円まで補助してもらえます。その他、車のリースや各々の活動の資金なども、400万円の範囲内で自分で予算立てして活動を行っていきます。もちろん所属課の職員さんと相談しながらです。

この連載は「時給で働く」という働き方を見直したい方に主にご覧いただいていると思いますが、何もかも自分の力だけで自立しようと考えるのではなく、国や地域に協力することで、こういった制度をうまく利用するという手もあるということはとても参考になるお話なのではないかと思います。一度、このような制度を探してみるのもいいかもしれません。


任期付きではあるものの、「地域おこし協力隊」での仕事を足がかりにして、確実に活動の幅を広げていらっしゃるならさん。将来への不安のようなものはあるのでしょうか?

ならさん現在妊娠4ヶ月で、自分の意思ではどうにもならないことが今後増えていくと思っています。その辺りをどうやりくりしていこうかなというのは考えています。でも、不安らしい不安はないですかね。所属している会社も理解・応援してくれていますし。

ここまでならさんのお話を伺っていてとても思うのは、さまざまな場面で「周囲の人の力を上手に借りているな」ということです。さらにならさんも、周囲の人の力になる活動をたくさんされている。仕事を通してだけでなく、それ以外に多くの「ギブアンドテイク」がならさんの周りには生まれているような気がしました。ならさんが不安を感じていらっしゃらないのも、そういった部分があるからなのではないかな、と思いました。


活動の幅をどんどん広げて、さまざまなことに挑戦されているならさんが、働く上で一番大切にしていることを、最後にお伺いしました。

ならさん「自分の心に正直に、今も未来も幸せな生き方を選ぶ」ということです。私は過去、新卒で人材教育のコンサルティング会社に就職し、5年弱、人事(採用担当)と他社の採用コンサルティングに従事していました。仕事はとても充実していて、仲間やお客様にも恵まれたのですが、のめり込めばのめり込むほど自分の時間がなくなっていくことに違和感を覚えて……。ある日、ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカさんのインタビュー動画をたまたまSNSで見て、この一言に衝撃を受けました。

ーー君が物を買うときは、お金で買っていないのです。そのお金を貯めるために割いた人生の時間で買っているのですよ。

ホセ・ムヒカさんの言葉をきっかけに「自分の時間をどう使うか?」ということについて、真剣に考えるようになったそうです。仕事に夢中になる日々の中でも、実はならさんはしっかり自分自身のことを見て、考え続けていたのではないかと私は思います。だから、自分の日々に違和感も感じていたし、この言葉が胸に刺さったのではないでしょうか。

ならさん限りある時間を、私はずっと会社の歯車として全うするだけでいいのかな?……「自分の心に正直に、納得いく道を選ぶのがいいよ」そう採用担当として学生に伝えていた言葉が、そっくりそのまま自分に返ってきて……。本当に「人の生き方の選択肢の幅を広げる存在になりたい」のなら、まず自分自身が自分の心に正直に生きることだよなぁと思い、今に至ります。

インタビューの中でならさんがおっしゃっていた「違和感」という言葉。これは、自分自身と常に真剣に向き合っているからこそ、気づくことができることなのではないかと思います。常に「今の自分」と真剣に向き合っているならさんが、今後、どのようなことにチャレンジしてどのような道に進むのか……そのご活躍を楽しみにしたいと思います。


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