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コロナ後の「雇用形態」結局どれが生き残る?

働き方改革が進められる今。みなさんの働き方には、何か変化が起こっているでしょうか? そもそも、どんなふうに改革されれば、みなさんはもっと豊かな働き方ができると思いますか?

このコーナーでは、「働き方」に関するさまざまな話題を取り上げて、「幸せな働き方って何だろう?」ということを考えていきたいと思っています。 

■増え続ける非正規雇用の離職、やっぱり正社員がよかった?

新型コロナウイルスが流行し始めた頃には「夏にはおさまっているでしょ」なんて構えていた人たちも多かったと思いますが……第3波がやって参りました。緊急事態宣言による活動自粛でうまく封じ込められるかと多少の期待もありましたが、まあ、いたしかたなしですね。

今や雇用面では、「就職氷河期がやってくるのではないか」と新卒たちが脅かされていたり、アルバイト・派遣社員・契約社員などの非正規雇用者たちが職を失ってしまったり、フリーランスも受注が激減したりと、不穏な話ばかりを耳にするようになっています。

総務省の「労働力調査」を見ても、正規雇用者は前年よりも数十万人単位で増えているのに対して、非正規雇用者は夏あたりから前年より100万人以上減ってしまっているのが現実です。

企業としては、人件費をカットするなら非正規雇用のほうがやりやすいのは当たり前ですし、フリーランスへの業務委託なら発注しなければいいだけです。

ちなみに私も受注先の企業によっては、発注数や料金が削減されています。

コロナ前までは「働き方改革」として自由に雇用形態を選べることが推進されてきましたが、こうなると「結局、正社員がいいんじゃないの?」と、従来の考え方に戻っていきそうです。

転職に関しても、求人数は減っていますし、それまでに職を失った非正規雇用者たちと少ない求人枠の奪い合いになっていくようにも感じます。今正社員として働けている人は、そのままずっとステイしていたほうが無難なのでは、と感じられてきますね。

■今だからこそ、個の力を磨くチャンス

とはいえ、長い目で見てみると、「正社員としてずっと働いていこう」と雇用形態を重視する考え方は、やはり危険なのではないかと私は思います。

今のこの状況だけ見れば、正社員でよかったという人は多いかもしれません。でも、このような不安定な状況では会社もいつどうなるかわかりませんし、今まで言われてきたとおり、国際競争の活発化、テクノロジーの進化などがすごいスピードで進む世の中で、「安定した雇用」というのはもはや望めません。

この先は、どのような状況でもビジネスパーソンとして生き残れる力を身につけておくことが重要で、それは正規雇用であっても非正規雇用であっても同じです。

与えられた仕事をこなすだけでなく、その仕事からどんな力を身につけるか考えること。自分の今のスキルを、他業種や他企業でどのように活かせるかを考えておくこと。どのような雇用形態であっても、今これができていないと先は厳しいように感じます。

特にコロナ禍で世の中が安定しない今は、「正社員でよかった……」「非正規で仕事が不安……」と、そこで終わっていてはもったいないなと思います。

この不安定さをしっかり肌身で感じながら、「この中でも業績を出すための新しいアイデアは?」「次のピンチのために今打てる手は?」「来月仕事がなくなったら何をする?」と柔軟に物事を考えるようにしておくと、その経験はきっとこの先ずっと生きてくるはずです。

一社員であっても、企業全体の動きを自分ごとに落とし込んで考えておくことが、ビジネスパーソンとしての力を高めることにつながるはずです。柔軟性や発想力、タイミングを見極める力、苦しい局面を乗り越える力などは、平時にはなかなか身につけられないことなので、今がチャンスでもありますね。

今このときに、「どういう雇用形態がいいか」などを考えるのはナンセンス。どんな雇用形態であろうが、一人のビジネスパーソンとして社会に貢献できる力を、今こそ磨いておく時期かと思います。

ただ、自力ではどうしようもない状況で収入がなくなってしまった人、生活が厳しくなってしまった人に対しては、国がきちんとバックアップをするべきです。私たち一人一人がどんな状況でも力を発揮できるような社会の土台をつくるのは、国や政府の役割です。


大西桃子
1980年生まれ。出版社2社、電子出版社1社の勤務を経て、2012年よりフリーのライター・編集者として活動。2014年より経済的に困難を抱える中学生を対象にした「無料塾」を立ち上げ、運営。

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