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柔軟性が求められる今、「サブスクリプション」の可能性を考えてみる

働き方改革が進められる今。みなさんの働き方には、何か変化が起こっているでしょうか? そもそも、どんなふうに改革されれば、みなさんはもっと豊かな働き方ができると思いますか?

このコーナーでは、「働き方」に関するさまざまな話題を取り上げて、「幸せな働き方って何だろう?」ということを考えていきたいと思っています。

■先行きが見えない時代にはサブスクリプションが有利

ここ数年、「サブスクリプション」というビジネスモデルが注目を浴びています。サブスクリプションとは、お客さんに一定期間分の料金をあらかじめ支払ってもらい、その期間内に商品やサービスを自由に利用してもらうという方式です。

気がつけば、音楽ならSpotify、Appleミュージック、LINEミュージック、映画やドラマならAmazon Prime VideoやNetflixなど、サブスクリプションのサービスを使って視聴する人が大半になってきていますね。

売り上げるほうは前払いという形で確実にお金が入るというメリットがあり、買うほうも一度お金を払ってしまえばあとは自分の都合に合わせて利用していけるという自由さがあるのがサブスクリプション。一回一回お金を払うよりも、音楽なら聴き放題だから元がとれるとか、飲食なら1食分くらいお得な価格設定になっているとか、お得感もあります。

一度使ってみて満足度が高ければ、定期購入者となっていくため、企業としては安定的な収入につながり、そこから新規顧客を増やせば売り上げも積み重なっていくのがいいところです。

このコロナ禍の中でも、緊急事態宣言で営業自粛の対象となった飲食店などの業界で、サブスクリプションへの注目度は急上昇しています。実店舗だけでなくデリバリーやテイクアウトも含めて、料金を定額制にすることで、状況に左右されず安定的な収入を確保できるとして、導入するところが増えているようです。

この夏にオープンし、ダイエットメニューなども盛り込んだサブスクリプションを導入した飲食店が、先日テレビのインタビューでこんなことを語っていました。「お店だけでなく、仕入れ先にも安定した売り上げを立ててもらうことができる」。なるほど、確かに飲食店などに食材をおろしている企業も、今は大変な時期ですからね。

■フリーランスや副業もサブスクリプションで安定した収入を

思い返せば、私も10年ほど前に、家庭教師のサブスクリプションというのを始めたのでした。当時はサブスクリプションという名前も知りませんでしたが……。

もともとお月謝の商売は定額制だからサブスクリプションだと言えばそうなんですが、私の場合はひと月分の月謝は決まっていて、1ヶ月に最低4回は勉強を見る。そのほかにも、私の時間さえ空いていれば見ますよ、という定額使い放題サービスとなっていたのでした。

これ、商売をするほうは損な気もするのですが、高い塾代を出せない知り合いの子どもの勉強を見るということで始めたので、損得で決めた方式ではありませんでした。

でも、テスト前などもうちょっと見てあげたいときに、親にお金のことを考えさせずに勉強を見に行けたり、こちらと生徒の都合で毎回スケジュールを決められたりと、自由に動けるのはとてもやりやすかったです。

最終的にはこの制度で3人の生徒を見ることになったのですが、「もっと見てほしい」という子のやる気を潰さずに教えに行けたのも、サブスク制にしていたからかなと思っています。逆に、やる気がない子なら最低限の4回のみで終了ですが(さらに、生徒都合で3回になっても定額制なので決まった額をもらえてしまう!)。

私はお金を稼ぐためではなくやっていたので、相場よりもだいぶ安く受けていましたが、プロの家庭教師なら少し高めの価格設定の定額使い放題制にすれば、より自分の都合に合わせて動きながら安定した収入を得ることができるのでは、とも思いました。

そんなことを考えていると、副業やフリーランスで、サブスクリプションを導入できそうなことっていろいろあるのではないかと思うのです。

ちなみにサブスクリプションはただの定額制ではなく、顧客のニーズを常に探りながら満足度を上げていき、関係性を維持していくことがポイントとなります。ニーズに合わせて料金体系をいくつか用意したり、オプションをつけたりという柔軟さもサブスクリプションの特徴。これを踏まえて個人でもできることはないでしょうか。

個人でやるなら、例えばZoomなどを使ったセミナーや、コンサルタントなどはやりやすそうですね。フリーのライターとしても、基本的な案件数と金額のみ決めておいて、その中で自由に提案したりスケジュール調整したりできるやり方は、便利そうでもあります。

ただし、ライティングの世界はギャラのデフレ化が止まっていませんので、安い額で使い倒されないように注意が必要ですが……。そしてそれゆえに、一部ではかなりライティングの質が落ちているのも事実。納得のいく金額で、双方がパートナーとしていい関係を築いていけるようなサブスクリプションであれば、互いにメリットもあると思います。

副業としても、趣味のプリザーブドフラワーやハンドメイド雑貨をお届けしますとか、家事代行とか、得意なことをサブスクリプションで提供すれば、安定した収入につながりそうです。

私ならどうしようかな……年間5冊のライティングをサブスクリプション化して、先にお金がいただけたら……めちゃくちゃありがたいのですが(笑)。

ちなみに書籍は、基本的に発売されるまでギャランティが入らない慣習です。そえゆえ原稿を納品してもDTPや校正が長引けば、しばらく収入に至りません、悲しい。以上愚痴でした。


大西桃子
1980年生まれ。出版社2社、電子出版社1社の勤務を経て、2012年よりフリーのライター・編集者として活動。2014年より経済的に困難を抱える中学生を対象にした「無料塾」を立ち上げ、運営。

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