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昆虫食で持続可能な未来をつくる!

株式会社POI 代表取締役CEO 清水 和輝さん

《原体験》おいしさに衝撃を受けた“お土産”

僕の起業家への道は、ひとつのお土産から始まりました。それは、高校2年生の生物の授業で先生が食べさせてくれた「イナゴの佃煮」です。長野県の山間部で古くから食べられてきた郷土料理です。

それまで特に虫に興味があったわけでもなく、どちらかというと「気持ち悪い」という印象だったのですが、そのおいしさには衝撃を受けました。そして他の虫の味にも興味を持つようになり、食べられる虫をインターネットで検索。ペットのエサに使われるミールワームがおいしい、と知って近くの熱帯魚屋さんに買いに行き、店員さんに「これって人も食べられますか?」と質問したり・・・。店員さんはちょっと引いていましたけどね(笑)

それだけでは飽きたらず、近くの山に入ってはバッタやトンボなどを捕まえて食べたりもしました。生きたまま食べたこともありますが、幸運なことに体を壊すことはなかったですね。
(食べたら危険な虫もいるので、昆虫を食べるときは種類を同定して、必ず加熱してから食べてください。甲殻類アレルギーも注意です。)

いろいろな虫の味を知ると、今度は「この魅力をもっと多くの人に知ってほしい」という思いが芽生えてきます。そこで、最初は周りの友達に勧めて回りましたが、当然みんな拒否反応を見せます。「頭がおかしくなったのか?」と心配されたりもしましたが、何だかんだで少しずつ受け入れてくれるようになりました。

しかし、自分の友達や知り合いだけに広めても限界があります。いつしか「もっと多くの人に知ってほしい」と思うようになり、YouTuberとして昆虫食の魅力や知識を発信する活動を始めました。

さらに「自分ならではの商品を作りたい」という気持ちも芽生え、クラウドファンディングで資金を集めて「コオロギコーヒー」を開発しました。応援してくださった方から「おいしかった!」という声をたくさんいただき、自分が作った商品が誰かの喜びにつながっていることを実感。「本気でビジネスにしたい」という気持ちが強くなっていきました。

ちょうどその頃、大手ブランドからコオロギ粉末を使ったお菓子が発売されたり、将来の食糧危機と昆虫食に関する報道が増えてきたりして、世間でも関心が高まりつつありました。また、同じ分野のすぐれた経営者の方と一緒に仕事をする機会にも恵まれ、「昆虫食」にビジネスとしての可能性を強く感じるようになりました。

「このまま大学を卒業して、普通に就職するのはもったいない。
 昆虫食の可能性をもっともっと追求したい」

そう考えた僕は、会社を設立して昆虫食を本気でビジネスにしようと決意したのです。


《現在の事業》昆虫食品をもっと身近に

昆虫を使った食品として、コオロギコーヒーやコオロギ餃子、フライ昆虫などを開発しています。また、昆虫食の魅力や栄養素に関する知識を広めるためにYouTubeで発信したり、イベントを開催したりもしています。


《10代の皆さんへメッセージ》

「起業」って特別なイメージがあるかもしれませんが、意外と身近な問題がきっかけになっていることが多いと思います。「もっとこういうのがあれば便利なのに」とか「こうすれば、この人が幸せになるのに」など、何気なく感じたことをビジネスにすることが、多くの人を救うことにつながります。

もし今、少しでも挑戦したいことがあって、それが「起業」という形で叶えられるのなら、ぜひチャレンジしてほしいです。失敗しても、やり直せないことはありません。

一度きりの人生なので、挑戦と失敗をくり返した方が楽しいものになると信じています!

(取材日:2024年2月26日)

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