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なぜ新型コロナウイルス対策をしなければいけないのか? ~小中学生にもわかるような説明を考えてみた

記事を書いている2021年5月14日は、北海道・岡山県・広島県に緊急事態宣言が出されることが決定した日です。緊急事態宣言で対策をしなければいけないけれど、「なぜ私たちが感染症対策をしているのか」を改めて考えてみると説明できない人が多いのではないかと思います。ここ十数年、新型インフルエンザ・ジカ熱などニュースになったこともありますが、ここまでの対策をしたことはありません。「なぜコロナ対策をしないといけないのか」という疑問について、今の私なりの考えをまとめておきます。

簡潔にまとめるとすると、見出しにある通り4つにまとめられると思います。

①自分や周りの人に感染させないようにする

新型コロナウイルスに感染したりPCR検査などで陽性が判明すると、無症状の人もいますが、頭痛・吐き気・味覚障害などの症状が出てしまいます。場合によっては、急に重症化して亡くなってしまうケースもあるでしょう。またPCR検査で陰性になったあとも、長期にわたってけん怠感 ・気分の落ち込み・不眠などの症状が出る人もいます。これを病気が治ったにも(のこ)る状ということで「後遺症」と呼ばれます。「感染する苦しみを味わいたくないよね」ということが、私たちが感染対策を行う一つの理由だと言えます。


②ワクチンの普及が進んでいない+新型コロナ専門の薬がない

ワクチンの普及が進んでいないこと、新型コロナ専門の薬が出ていないことも要因だと思います。

ワクチン接種が進んでいないということは、新型コロナウイルスの免疫を持っていない人がほとんどだということです。免疫を持っていないということは、ウイルスが体の中に入ったときに攻撃してくれず、増殖してしまうことを意味します。これこそ「症状が悪化する」ということであり、同じく他の人にうつしてしまう可能性も高まります。これは望ましくないから、「ワクチンを打ってください」「(少なくとも)ワクチンが普及するまで感染対策をしてください」と言われる理由です。

また新型コロナ専門の薬が開発されません。新型コロナ専門の薬というのは、インフルエンザのタミフル・リレンザのようなものを言います。今は対処療法を行っています。つまり、「肺炎が起きているから肺炎を直す薬を使いましょう」「頭痛があるのなら頭痛を抑える薬を使いましょう」という形で治療しているということです。専門の薬をつくるのには安全性を確かめるなどに10年かかるといわれていて、まだまだ時間がかかります。海外では抗体医薬・血しょう療法(以下補足参照)などもありますが、日本で普及しているというニュースを見かけません。また国内では、インフルエンザで使われるアビガンも効果があるのではないか?と考えられていますが、まだ承認されていません。このように、「新型コロナウイルスの薬」というものが普及しないのも大きな要因だと言えます。

補足①)抗体医薬―感染者の中でできる抗体を人工的につくりだし、感染者に投与するために薬にしたもの。

補足②)血しょう療法―抗体を含む血しょうを投与する治療法。血しょうとは、感染した人の血液を取り出し凝集体など別の人の体に入ったときに人間の血液成分と反応するような物質を取り除いたもの。「血漿」という漢字を充てる。


②は①にも関連しますが、ワクチン接種が進んでいないことや治療薬がないことで重症化しやすく死亡するかもしれないことを考えると、これも感染対策を行う理由だと考えることができます。

③医療ひっ迫を防ぐ

医療ひっ迫とは、具体的な定義はありません。ただ一般に、病院にあるベッドや人工呼吸器などがほとんど使われていて、新たな患者を受け入れられないという状況を指します。感染者の一定数は重症化します(10~20%程度)。重症になると肺がやられ人工呼吸器が必要になります。人工呼吸器の数は限られますから、受け入れられないという状況になります。患者を診る医師や看護師も限られ、受け入れることができる人数も限られます。このように医療ひっ迫になると、救急車の受け入れを拒否することが増えてきます。この場合のひっ迫の影響は新型コロナウイルス患者だけではありません。私たちが交通事故に遭ったとき、熱中症で倒れたときなど、救急車が必要になったときに、受け入れてくれる病院が減ることを意味します。つまり、新型コロナの重症化の可能性が比較的低いといわれる若い人でも他人ごとではないといえると思います。自分の感染して新型コロナウイルスを広めることによって、医療ひっ迫につながり、巡り巡って自分の命にかかわる可能性がある。だから、老若男女問わず私たちは感染対策をしなければいけないといえます。

また、「人の命を助けたい」という思いで取り組んでいる医療従事者にとってもつらいです。肉体的にもつらいと思いますが、精神的にもつらいです。なぜなら命を選別しないといけない時期に来ているからです。「何のために医師をやっているのだろう」と葛藤を抱えることもあるということです。私たちのために一生懸命働いている医療従事者のためにも、私たちは感染予防をしないといけないといえるでしょう。

④変異ウイルスを生み出さない

ウイルスはヒトなどの細胞で増殖します。そのときにウイルスの設計図(RNA)のコピーミスをしてしまいます。これを「変異」と言います。変異は、人間にとって好都合なミスと、人間にとって不都合なミスの両方あります。好都合なミスとは、重症化しにくい、もしくは症状が出にくくなるなどのことを言います。不都合なミスとは、重症化しやすい、感染力が高まることを言います。場合によっては、今までの対処法では通用しないものになるかもしれません。一般に、好都合なミスはニュースになることはありません。不都合なミスは悪影響になりうるので報道されます。今回はイギリス株・インド株などと言われているウイルスは感染力が高まっているので、「今までと比べると危険性が高まるので注意してください」と報道されるということです。

④に関してまとめると、一定割合で人間にとって不都合の変異ウイルスが出てきます。今までと違う対処をしないといけなくなる、若者のほうが重症化するかもしれません。そのようなウイルスが出てこないよう感染拡大を防ぎたいといえます。


以上です。もう一度「なぜ感染対策をしなければいけないのか」ということを考えて、今できることをやっていきたいですね。

ご意見等ありましたら、コメントください。

参考文献


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