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Vライバー事務所からのスカウトを面談で激詰めした話【前編】

事の経緯


先日X(旧Twitter)で、突然こんな内容の@ツイートが来た。

そこまでして依頼したい仕事とは何なのか

僕は普段、設定でDMを送れるアカウントを制限している。こういう勧誘やスカウトが来たりだとか、全く知らない人からSpoonのリレー出演や誕生日の寄せ書きを依頼されたりするのに心底嫌気が差していたからだ。

遊んでやろうとDMを開放することに

そんなDMをこじ開けさせてまで相談したい仕事内容とは一体何なのだろうか?Xのプロフィールを見るにどうせライバー事務所の勧誘だろうとは思いつつも話くらいは聞いてやることにした。

案の定ライバー事務所のスカウトだった

正直なところ、Spoonで配信活動をしている人ならこの手の勧誘はよくある事だろう。現に僕も、そこまで派手に活動をしていないにも関わらずREALITYだのAWAだのかれこれ10回以上はスカウトのDMが送られてきている。

その度にビジネス的な観点から矛盾を突き、徹底的に詰めては追い返すことをゲーム感覚で取り組んできた。まさにスカウトを千切っては投げ、千切っては投げをしてきたのである。

ところが、今回送られてきた内容をよく読むと、Zoomで直接説明させて欲しいというのだ。

こんなnoteを読んでいる諸君なら、僕がどんな性格のライバーなのかはご存知のことだろう。SNSとプロフィールを見たというのが本当なのであれば、間違っても僕みたいな配信者には声をかけてはいけないことくらいわからないのだろうか?

それでもわざわざ閉めているDMをこじ開けさせ、直接話をしたいというのだから度胸がある。気に入ったよ。

その度胸を讃えて受けて立つことにした

僕は話に興味があるように偽装した。そして面談の様子を録音することにした。それを配信しながらツッコミを入れればきっと最高に面白いエンタメになるに違いないと、配信者としての血が騒いで仕方なかったのだ。そんな風に利用されるとも知らない哀れな担当者から返信が来た。

友達じゃないんだから❤️で返信するな

こうして僕は、ライバーのスカウトと対戦することが決定した。それまでにこの事務所の実態や所属ライバーの活動状況などを徹底的に調べ上げることにした。準備は念入りに、仕留める時は一瞬で。それが僕のモットーなのでね。

面談が決まった時の筆者の様子


面談当日!ところが…

いよいよ面談当日の約束の時間となった。僕はスマホで録音を開始した。送られてきたZoomウェビナーのリンクを開き接続すると、担当者らしき女性の声が聞こえてきた。そして、まずはプレゼン用の動画を見るよう誘導された。こちらはケンカする気でいたのでなんだか拍子抜けしてしまった。それも戦略のうちなのだろうか。

とりあえず言われた通り動画を見ることにしたのだが、その長さはなんと約16分。長ぇ…長すぎる。しかし、今回のケースをエンタメ化すると決めたからには耐えなくてはならない。

長々としたプレゼン用動画の内容を要約するとこうだ。

・Vライバーはこれから伸びる市場だ!(5年前の資料)
・世界のスパチャ額トップ20の内16人が日本のVtuberだ!(5年前の資料)
・だから日本でトップを獲れば世界を獲ったも同然だ!(5年前の資料)
・うちの会社はすごいで!ベッキーの冠番組をプロデュースしたからな!(5年前の資料)
・某大物プロデューサーと組んでモデルも300万かけて作って5人もエンジニア雇って配信もひと枠2時間につき準備に5時間もかけてたけど失敗した!(そりゃそうだろ…)
・その理由は金をかけすぎたせいで企業ライバー感がすごくてリスナーが親近感を持てなかったからだ!(いや違うと思う…)
・これからは金をかけすぎない素人感のあるライバーのほうがリスナーにとって親近感が出て人気になれる!(リスナーをバカにしてんのか)
・まずはIRIAMで配信しろ!そこで跳ねたらYouTubeかTikTokに移行して本格的に稼ぐぞ!稼げるようになったら案件紹介したる!^^
・IRIAMで自分でアバターを作ったらスクショして送れ!そのアバターをもとに立ち絵はこっちで作ったるわ!^^
・初月は月に40時間、次月以降は月に30時間がノルマな!ただし、ノルマを少しでも達成できなかったら絵師代5万円を罰金で払えよ?^^
・収益の取り分はIRIAMが8割もってくで!残りの2割を7:3でわけるで!初月だけなら60時間配信できたら全部やるで!
・公式Xアカウントは自分で作れ!自分で宣伝しろ!でもアカウントの管理もキャラの権利も全部こっちな?^^
・わかったら立ち絵のイラストで配信しろ!ちなみにイラストは動かんで?儲かったらLive2Dで動かしたるわ^^

とまぁ、お粗末にもほどがあるプレゼン内容であった。だいたい5年前からプレゼン資料を作り変えていないことが営業のスタンスとして間違っているし、そんなだから実績とやらにベッキーの番組を挙げちゃうんだろうと。あれからベッキーがどんな末路を辿ったのか知らないのだろうか?

しかもプレゼン資料には、なんと別の大手プロダクションのVtuberがサンプル画像に使われていた。果たして許可はとっているのだろうか?いや、取れるはずがない。いくらなんでもそれはマズいだろう。そもそも自分たちがライバー事務所を運営しているなら、なぜそこは自分のところのVライバーを自信をもって起用しないのか?そういうところに自社タレントへの愛の無さが出てしまっているぞ。

そんなことを考えながら半ば呆れかえっていると、例の女性の担当者がさらに驚きの内容を語り始めた。

担当者:動画の内容からいくつか変更点がございまして、ノルマについてですが、現在は月に50時間の配信を初月から半年間となっています。

きいちろ:( ;゚;ж;゚;)゙;`;:゙;;゚;ブッ

担当者:なお、初月については一日の配信でノルマとしてカウントされるのは4時間までとなっておりますので、ご理解いただけますと幸いです。

きいちろ:ブフォwwwww(幸いですじゃねぇよwwwwwwww)

だから5年前の資料のままにしておくからそうやって訂正しなきゃいけなくなるんだろうが。そしてノルマは動画の説明よりもさらにキツいものとなっていた。月に50時間なんてニートでもない限り達成は事実上不可能である。お気は確かなのだろうか?

それに絵師代5万円はいくらなんでもボッタクリが過ぎる。僕が配信で使っている素晴らしいデザインの背景でさえ8千円である。しかもキャラデザはこっちがしなくてはならない。向こうはそれをイラスト化するだけである。今時イラストはAIでも描ける時代だ。極端な話、送られてきたアバターのスクショをAIに突っ込んでイラストを生成するだけでいいのだ。

つまりだ。これはおそらく、Vライバーに漠然と憧れを持っているだけで自分で何も調べようとせずお金もかけたくないみたいな情弱で怠惰な人を甘い言葉で騙して、無茶なノルマを課して少しでも達成できなかったら違約金と称して5万円を巻き上げるというスキームのビジネスである。

そしてライバーと事務所の取り分が7:3というのは、事務所側があまりにも少なすぎる。これはきっとIRIAM側からマージンをもらっているはずだ。そうでないと、継続的な利益が出ない。IRIAMから金をもらって他のアプリで活動している配信者をスカウトと称して情弱で怠惰なライバー候補を確保し、違約金を盾に半年間50時間配信させる。そこまでいけばIRIAMとしてもいいお客さんだし、万が一バックレても事務所は5万円違約金で儲かるというわけだ。

ここまでおとなしく聞いていた僕に対して、担当者の女は「それでは、契約に移る前に何か質問はございますか?^^」と言い放った。まるで「お前も情弱で怠惰なライバーなんだろ?いいから早く契約しろよwww」と言われている気分になった(言われてない)。

さて、反撃開始といこうか

きいちろ:ええ、何点か質問がございます☺️

(後編へつづく)

<次章>

Vライバー事務所のスカウトを面談で激詰めした話【後編】


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