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絵本導入期の5要素【せいかつ】

私が5要素の一つに
「せいかつ」をあげると

生活絵本って、生活習慣を子どもに教えるのに
便利な絵本のこと。
と勝手な解釈をする人がいますが、私の意図とは違います。

とにかくやたらと多いのです。

「○○できるようになる絵本はありませんか?」
という類の質問が。

○○には
・トイレ
・お着替え
・好き嫌いなく食べる
・はみがき
・食事マナー
・早寝早起き
・お友達と仲良く
・順番を守る

しつけに教育
道徳心
書き出したらキリがないですね。

・絵本を良く聞くようになる絵本はありませんか?

という質問をもらったこともあります。
絵本を聞けるようになる絵本を読み聞かせる。
カオスですね。

・はみがき

だけを取り上げても、何種類も
あります。

効く?

断言します。

効きません。

出版社さんごめんなさい。
でも、出版社さんの中にも
子育てしてる人はたくさんいるから
わかってると思います。

絵本で何でもかんでも
教えられたら
子育て
チョロすぎます。

たまに
「効いた!」という意見もありますが
私は断言します。
たまたまタイミングが合っただけです。
もしくは、たまたま、その子だけに
効果があったのです。
とにかく
たまたまです。

ですが
せいかつの事柄を扱った絵本に
できることもあるのかな、と。
それは

・子どもの不安を和らげてあげる
・子どもの恐怖を取り除いてあげる
 

これについては
絵本は力を発揮します。

トイレトレーニングを始めた
子どもが
便座に座ることはとても
怖いと感じているかもしれません。

トイレの中に落ちてしまうかも。

流す音が怖い。

そんな時には親しみの持てる
トイレをテーマにした絵本を
読んであげることは、子どもの心の
支えになります。

野菜を全く口にしない子の中には
一番初めに口にした野菜が苦味やえぐみを
感じさせるもので、
「あれは怖いもの」
と認識している子もいます。

そういう子に、野菜がかわいらしく
親しみやすい絵で描かれているものを
読んであげることも、
まずは野菜への親しみを持つ助けという
点ではいいことだと思います。

はみがきもしかり。
口の中にものを突っ込まれることは
大人が思う以上に、子どもには
嫌な怖いことなのかもしれません。

子どもはオトナが思う以上に
知らないもの、したことないこと
への恐れは強いです。

一度経験した「嫌」な感覚をぬぐうのが
苦手な性質の子も一定数います。


色々と書き綴りましたが
綺麗事はやめます。

どうしても、絵を用いた媒体を
子どものしつけや何かを覚えさせることや
そのきっかけに使いたいなら、
「絵本」ではなく
「絵本風教材」
を用いるといいでしょう。

「絵本風教材」は素晴らしいです。
これは嫌味ではなく本心から
そう思っています

教える材料なのですから
これを活用すれば良いのです。

どれが絵本で
どれが絵本風教材なのかわからない?

1番わかりやすいのは
どこが作っているものか。
で見極める方法です。

「教材を売る会社」が
作っているものが教材です。
絵本のように見えても
「絵本風教材」です。

読み進めた結果
必ず、その事柄を
「習得できる」様子を
描いているものです。

「できる」姿への着地のために
子どもが具体的に
どうすればいいのかを
わかりやすく描いて(書いて)います

そりゃそうです。
「教える材料」なのですから
「正しい」姿を描いてくれていないと
困ります。

そして、これらを
親が上手に
使うことはいい事だと思ってます。

子どもが理解しやすい絵やことばが
使われてますから、親が言って聞かせるより
子どもにはわかりやすいかもしれません。
例えば、
ヒトに排泄の方法を教えるスキル、
どんなにいい大学出てもどの親も
習得できてませんから。
親も何かの力を借りていいと思うからです。

ですが何度も同じ事の繰り返しですが
使えるのは「絵本風教材」です。

「絵本」はそもそも
子どもに何かを教えるために
できていません。

そのことを強烈な展開で親に
伝えてくれる絵本があります。
私はこの絵本が大好きで毎回講演会に
持参します。

「いただきまあす」
わたなべしげお ぶん
おおともやすお え
出版社 福音館書店

この絵本を
うっかり?
「お食事をお利口にできるようになる絵本」
だなんて思いで開いたら、
それは、バッサリ裏切られます。

未読の方がいましたら
ぜひとも読んでほしいです。

私が特に好きなページ

どうすれば いいのかな?

と、くまくんが腕組みをし
うわ目使いして
もっともらしく考えてる
(ように見える)絵のページです。

私は息子にもこの絵本を読みましたし、
講演会でも読んでいます。
書店イベントでも良く読みます。

もしかしたら何百回を超えて
千回は読んでいるかもしれません。

ですが、毎回このページで
笑ってしまいます。

なんてまぁ
この時期の子どもらしい
仕草に表情。

しかも、結果的に
腕組みして考えるほど考えてないというか
ただひと休みして
したいようにしただけでしょ
という展開がこのあと待っています

これは
絵本だからこその展開です

これが
絵本風教材なら
「どうすればいいのかな?」
のあとは、最終ページで
実生活で活かせるように
食事を終えなければならないのです。

私の挙げる5要素の
「せいかつ」
は、子どもが興味をもつ生活の事柄を
題材にしたもの、
という意味です。

だから
一例に挙げた
「いただきまあす」のように
「せいかつ」にまつわることが
テーマだからといって、親が望む実生活で役にたつ
姿が描かれているとは限りません。

本来
生活習慣を身につけることは
子どもにとって喜びであるはず。

生活の場にある身近なものやことがらが
絵本に出てくると親近感を覚えて
より、絵本の世界に移入しやすいです。
移入しやすい、とは簡単に言えば
「楽しい」ということです。

何かを習得させる「目的」ありきなら
それにふさわしい教材を。

ただ子どもの喜びのために読むなら
「絵本」を。

子どもの側は区別していなくて
いいのです。

これは、読んで聞かせる親の側が
持っているといい一線です。

2020.6.18
待ちよみ絵本講師
内田早苗













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