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優しい人もたくさんいますよ!

実は1年くらい、生理でもないのに
不正出血が続いていて、
それでやっとこさ1ヶ月前に病院で
検査をしてもらいました。
3年前に子宮頚がんの手術もしているので
同じ病院で診てもらってます。

それで、
こんなん書いたら
叱りのメッセージが相次ぎそうですが
その「検査結果」を聞きに行く日
とある仕事が発生し、行くのを先送りにしていたのです。
それでだらだらと行くことができず
(というか最優先事項にしてなかっただけ)
これではいけない!
と、今日は絶対行くぞ!と決めて
本当に行きました。

だけど、前回、予約した日に行けなかったから
今日は予約外診察になるのはわかっていて
気長に待てばいっか。と、行くと決めたなら
半日つぶれていっか。と。

前置きが長くなりましたが
それで病院いったんです。
総合受付を済ませて、産婦人科の受付へ向かいました。

産婦人科の受付で受付票を出して、名前呼ばれるまでしばしソファーに。
と、しばらくすると、ある若いママが2歳後半くらいの
もうだいぶ重たそうな子を抱っこし、片手で、バギーを
押し受付にきました。
(その受付は隣の眼科の受付でもある)

ママは受付でこう言いました。

「もう今日は帰ります」

私の側からはママの顔は見えませんでした。
カウンターに向かって話しかけていたので。

受付の方の顔が見えました。
ワタシ、わかりました。その方は
本当に
優しい方です。

その受付の方は、こう言いました。
「そうなの?うん、どうされましたか?」

ママは答えました。
「この子がいやだいやだとずっと泣いて。うるさくてご迷惑をかけるので」

受付の方はいいました。
「そんな、気にしなくていいのよ」
(事務的ではない、短くともとても心のある話し方でした。)

ママはいいました。
「でも迷惑だと言われたので・・」

受付の方はいいました。
「そうだったのね。わかりました。ちょっと先生と話してくるから少しだけ待ってもらえますか?」

そう言って、カウンターから出てどちらかに向かわれました。
もしかしたら、事情を話し、順番を早めてくれるのかな?
そんなことを思いながら私も受付の方を見送りました。

そのタイミングで私は受付で名前を呼ばれました。
カウンターに向かい、そのとき、そのママの真横を
通りました。
ママの顔を見ました。もう本当にどうしてよいのか
疲れてつらくてかなしくてしんどくて。
そんな顔をしていました。

私は、そのタイミングで
ママの背中を、3回なでました。
なでながら
「優しい人もいっぱいいるからね、大丈夫よ、ママ」
と言いました。

ママは、目から大粒の涙をポロポロこぼしていました。

私はそれから、すぐに受付で返事をし
記入を促された用紙に、あれこれ
記入しました。
記入を終え、またソファーに戻りました。

そうしてるうちに、ママは、壁側に
バギーを移動し、相変わらず、
子どもを抱っこしてました。

私はその様子を、もし、次また
ママと目があったら全力の笑顔で
ママを見てあげようと思いながら
見ていました。

私の座っているところに看護師さんが
やってきました。

主治医の先生は今日は休診日で。
カルテを確認したら、検査結果だけお伝えではなく
他に診たいところがあるようで。
今日、他の医師が診ることもできないこともないけど
できれば主治医がいるときにもう一度、来てもらいたいのですけど。
という説明でした。

そうか、ん〜。
じゃあ、確実に主治医の先生がいる日にもう一度来ます。
そう返事して、
(次いる曜日を確認、来週いってきます)
帰る事にしました。

私がそれで、立ち上がったとき周りを見ても
さっきのママはいませんでした。
どこか別の場所に移動したのか?診察に呼ばれたのかもしれません。

結局私は
病院まで来て、受付だけして
診察を受けることなく帰ることになりました。

きっと今日に私が
「病院行こう!」
と思い立ったのは、
あのママに会うためだったのでしょう。

男の子は
今日たまたま
機嫌が悪い。というようには見えませんでした。
言葉を選ばず、わかりやすく書けば
「育てにくい子」だとわかりました。

子育ては皆、大変。
は、本当で、だいぶ嘘です。
とびっきり大変な人がいます。
それは確かです。

だから、このママは
今日みたいなことは今日だけじゃなく
今までもあって、これからもあると思います。

たしかにうるさいんです。
子どもの声はうるさいです。
特に、育てにくい子のぐずぐず言う声は
うるさいです。
世間には、子どもの声をうるさいと
文句を言ってくる人もいます。
残念ながらいますし、繰り返しますが
うるさいのは確かにうるさいのです。

でも

優しい人もいます。
優しい人もたくさんいます。

だって現に、受付の人は優しかったでしょう?
私が、ママと目があったら全力で笑いかけようと決めてママをみていたとき、ママの横を歩いて過ぎた
おばちゃん1人とおばあちゃん1人は、
いやだいやだと泣く男の子を
あらまぁ。という優しい顔で見ていました。
あらまぁ、泣いてるのね、という優しい顔です。

うるさいという人もいるけど
優しい人もいます。
たくさんいます。
たくさんいますよ。

あのママがこの社会に絶望することなく
「優しい」を感じる機会が
できるだけ多くあることを願います。

2021.10.7
待ちよみ絵本講師 内田早苗

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