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エストニア移住に向けて 冬の金継ぎの旅


まだ落ち着かない状況下ではありますが、この度2021年末〜2022年1月半ばにかけて2週間ほどエストニアを訪れていました。状況が落ち着いてから・・・という考えもあるかと思いますが、30代前半も過ぎつつ私自身にとっては不要不急ではない私の人生。半年ほど前の2021年6月頃に「いつか住んでみたい」と思っていたエストニアに1年後の2022年夏を目処に長期ビザを取得して住む目標を立て、そこから逆算して諸々決断や調整を重ね少しずつ準備し、今回は長期移住前の準備的な意味合いも込めて行ってまいりました。

今回の渡航を決めるにあたり、状況はまだまだ読めず行けない可能性もあることも踏まえつつ、出国時から早速ハプニングもありましたがやっぱり決めて行ってきて本当に良かったです。ある程度明確な目的をもって行ったこと、それ以外はその時々の状況や出会いや直感も大切にしながら即興的に予定を組んだり変更したりしたこと。帰国して数週間経ってみて、まだ先のことは分からない部分も多いながらそのどちらもが良い形に道をつくっていっているように感じます。今回の渡航や私のこれまで・これからの私の人生を応援し支えてくれている家族友人や職場の皆、エストニア移住の先輩でもあるMarukoさんやエストニアの友人たちにもとても感謝しています。折角の機会なので、今回の渡航について少しまとめてみたいと思います。


1. 旅の目的

今回、渡航前に決めていた滞在の主な目的は、下記3点です。

①エストニアで金継ぎを実践してみること

私自身は日本国内外・ジャンル問わず様々な手仕事・手工芸に興味があり、過去にはデンマークの手芸学校へ留学したり、エストニアの伝統手工芸を学べるサマーコースCraftCampに2回参加したり(過去に参加したCraftCampについてはこちらに書いています)、個人的に古いものや自然のもの、廃材などをアップサイクルするような小物製作や自身の経験に基づいて小さなものづくりのワークショップを開催したりしてきました。(木凜HP参照)
そのうちのひとつ「金継ぎ」は、2019年ごろから教室に通って少しずつ経験や練習・理解を重ねてきているところで、まだまだ道半ばではありますが現在は個人的に知人友人から修復依頼を受けたり現職のレストランの仕事の一部としても行っています。(私がやっている金継ぎは本漆を使うもので、簡易金継ぎとは異なり漆が乾くまでに多くの工程と時間が必要。)今後エストニア移住を考えていたとき、この「金継ぎ」は現地やその周辺諸国でも紹介したい日本独自の文化であり、自分自身もライフワークとして続けていくつもりだったので、現地で今後の仕事の一部にしていけるかどうかという可能性を探ることを含め、真冬のエストニアで漆が乾くための湿度・温度を保つ環境を作り実際に金継ぎができるかどうか実験してみることをメインの目的のひとつにしました。こちらはまた別途詳細レポートしようと思います。


②e-Residency cardを受け取ること

エストニア移住の期限を個人的に決めたものの、実際に長期的に滞在するとなるとビザの申請や取得が必要となります。私の場合は就学ビザや就業ビザではなく何かしら自分で仕事をつくっていくこと(=起業など)になるかと思っていたので、実際に起業するか出来るかどうかは別としてひとまずその準備はしておこうとこのe-Residencyカードを申請しました。(その記事はこちら  )このカードは本来は東京でも受け取れますが、私が申請したタイミングでは一時的に東京で受け取ることが出来なかったため、Tallinnの国境警察署を受取場所として選択しました。


③エストニアの冬を体感しにゆくこと

エストニアは夏に訪れることが多く、冬のエストニアはまだ一度しか味わったことがありませんでした。以前初めて訪れていた際に一度 −15度くらいになりとても新鮮な体験でしたが、外出時の防寒もかなりしっかりして出かけるし建物内はとても暖かいので、個人的には寒さはそこまで気にならなかった記憶がありました。長期的に住んでみないと分からない部分も勿論あるかと思いますが、初めて訪れた5年前にはむしろエストニアの長く寒く暗い冬の季節だからこそ出会える景色や色などが新鮮で心惹かれ、家に籠もり長時間手仕事することにも苦はないので、この地に根差してもっと長く他の季節も含めて過ごしたいという想いが増したのでした。


その他、現在私は東京・深大寺近くにある薪火料理の「Maruta」というレストランで働いており、そこではゼロウェイストやサステナビリティも含め食という切り口でレストランの在り方を模索していますが、Marutaとも似たコンセプトのレストランをInstagramで見つけてフォローしていたのでそこを訪れてみたかったり、今回の渡航前にSNSで繋がったけどまだ直接お会いしたことのない人たちともタイミングがあえば会ってみたかったり。できれば実現したい他の小さないくつかの目的も携えて。


2.出国にあたって


出国からコロナ禍ならではの諸々ハプニングもあり、予定より2日遅れで大晦日の夜ギリギリ滑り込みでエストニア入り。半年前まだ半年後の状況も読めない中で柔軟なキャンセル・変更ポリシー対応をしていて2ヶ国でトランジットのある往復の航空券を予約していたのですが、往路のトランジット予定のスウェーデンで私が出国するタイミングでオミクロン株流行の影響等でトランジットも含め外国人入国の規制がかなり厳しくなってしまい、サービスカウンターやカスタマーサポートの電話口のスタッフの皆様に助けられながら2日後のデンマーク経路に振り替えたのでした。このような事態も想定・覚悟はしていたので各出来事全て良い経験と思って臨機応変に動きましたが(ぽっかり空いてしまった出国前の日本での2日間は、人生初のPCR検査を受けたり成田空港からあまり遠くない謎めいた民宿に泊まって少し早い初詣?をしたり・・・笑)、でも数年ぶりのエストニアに早くたどり着きたくて、Tallinn空港に到着してゲートをでるまでは本当にちゃんとエストニアにたどり着けるのか安心はできない!と思いつつ。

出国が遅れた為初めて訪れた千葉県多古町の日本寺
大晦日や正月を前に気が整えられて静かな雰囲気
どこから漂ってきた甘い香りを辿ると蝋梅が咲き乱れていました


各地で神頼みもしつつ、何とか31日午後19時過ぎにTallinn空港に到着。各書類ばっちり揃えて事前のオンラインでのフォーム提出も済ませていたものの、Tallinnの空港では驚くほどあっさり、特に誰にも何も確認されずエストニア入り。今後いつまでこのような状況が続くか分からず日々刻々と状況は変化していますが、欧州では徐々に規制緩和の方向性へ向かっているというニュースも耳に入ってきているので。もしどこか渡航される場合にはトランジットの際にも各国によって必要な書類や準備が細かく異なるので、そこも十分に調べて確実に準備するとよいかと思います。

ドバイ空港
コペンハーゲン空港、閑散として静かでしたがそれもまた心地よく
タリン空港のフリーピアノ
荷物受取の場所もエストニアっぽくて好きです
空港前のバス乗り場



3.年越し

エストニアでの年越しは初めてでした。5年前はデンマークの手芸学校修了後フィンランドから船でエストニアへ渡り、各国のクリスマスマーケットを巡りながら陸路でオランダ在住の友人宅へお邪魔しそちらで年を越したのが日本以外での初年越しでした。オランダでもそうでしたが、今回もエストニア到着前トランジットのCopenhagenやTallinn、最初の目的地Tartuでもあちこちで花火が上がってびっくりしつつ興味津々。Tartuでは友人が迎えに来てくれ、大きな荷物を置いて旧市街まで行く途中もどんどん若い人たち中心に多くの人が集まってきて。旧市街の広場にはまだクリスマスツリーがあり、その大きさ美しさにも感動しつつ、疲れや時差ボケはさておきひとまず無事に到着できたことや、エストニアや友人との再会を喜びながら年越しをしました。
このタイミングでは、エストニアでは日本ほど街中でマスクをしてる人は多くなく、でも飲食店に入る際にはワクチンパスポートとIDカードの提示を求められたり。コロナに対する政策や人々や街中に流れる雰囲気も、やっぱり国が違えば結構違うなと感じたのでした。私が出国する1週間前に日本でもワクチンパスポートのアプリが利用可能になったので、とても便利に利用させていただきました。(それまでは紙の証明書しかなく、市役所のHPから申請用紙をダウンロードして必要事項を記入して返信用封筒に切手を貼ったものを同封して、後日複製不可の紙に印刷された証明書が送られてきて・・・という非常に面倒なものでした。)

Tartu旧市街広場
カウントダウンはエストニア語で


ここからおおよそ2週間ちょっと、まずは第2の都市Tartuに滞在しながら金継ぎをしました。また別途まとめたいと思います。

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