デカフェ市場が拡大中。カフェインコントロールする人増えています。

第4次コーヒーブームのキーワードとも言われていた「デカフェ」は、今やコーヒー以外の飲料へも波及。

海外ではすでに標準カテゴリーとなっている「デカフェ(カフェインレス)」。日本でも、2013年頃から、顕著な需要の高まりを見せています。
日本では健康志向から、カロリーのなどの「ゼロ・オフ商品」市場が拡大しているので、その流れに沿って、カフェインのゼロ・オフにも関心が高まってきたと言われています。
※デカフェとは=decaffeinatedの略。コーヒー・紅茶・緑茶・ウーロン茶など、本来カフェインが含まれているものからカフェインを除去すること。

それまで、ジャスミンティーや麦茶など、“もともとカフェインを含んでいない”茶系飲料がノンカフェイン飲料として、カフェインを避けたい人たちの中で一定の地位を得ていました。しかし、コンビニコーヒーやサードウエーブコーヒーなどで、第3次ブームと言われていたコーヒー業界で、2015年頃から第4次コーヒーブームのキーワードとして“デカフェ”という言葉が浸透し始めると、妊娠中の女性やシニアだけでなく、健康・美容意識の高い若い女性を多く取り込んで需要開拓が進んできました。


レギュラーコーヒーやインスタントコーヒー、リーフタイプの紅茶などのデカフェ製品の商品数も増え、特に大手メーカーからリキッドタイプ(ペットボトルや缶入り)のデカフェ製品が発売されてきたことで、認知度も高まりました。さらに、コーヒーチェーンでもデカフェメニュー増加し、2020年の東京五輪に向けて欧米人を中心としたインバウンドによるデカフェ需要の増加も見込まれています。


近年のデカフェ関連商品

・ローソン「マチカフェ」
コンビニコーヒーでのデカフェとして先駆け。2017年5月から発売開始し、リニューアルも行っている。


・スターバックス
多くのメニューでデカフェが選べるように設定されています。


・コカ・コーラ  ゼロカフェイン
コーラにカフェインが含まれていることはあまり知られていなかったかもしれません。2010年に「コカ・コーラ ゼロフリー」として発売され、2017年に改称。



・キリン 生茶デカフェ
緑茶のデカフェとして、新しい需要に挑戦しています。


キリン 午後の紅茶



カフェイン飲料の代表といえばコーヒー
2019年時点でのコーヒー市場は?


■2019年も消費量は高止まり
全日本コーヒー協会の統計資料によると国内のコーヒー豆の消費は2016年に過去最高を記録したのち、2018年時点でも最高水準を維持。そして日本は、世界の国別消費量でみると、EU、アメリカ、ブラジルに続き4位で、世界全体の約5%を消費しているコーヒー大国といえるのです。

特に近年、コンビニコーヒー、サードウエーブコーヒーなどブームを経て、コーヒーは、年齢性別を問わず、様々な人々により身近で気軽な飲料として定着するようになりました。カフェインレス(デカフェ)カテゴリーが拡大することで、さらに新しいコーヒー愛好家の増加など、ターゲットの変化も注目されています。

■デカフェ製品の今
デカフェ製品は、生豆を溶媒に浸してカフェインを抽出して取り除く際に、どうしても他の成分も多少取り除かれてしまうので、味が変わるとされてきましたが、近年は品質向上の技術がアップしており、「おいしさを保ったままのカフェインレス」というのがセールスポイントになっています。

■健康に良いコーヒー
デカフェ以外でも近年のコーヒー市場の拡大を支えているのが、「健康」のテーマです。
2015年5月に国立がん研究センターが、コーヒーを飲むと死亡リスクが低くなるという研究結果を発表。その他、全日本コーヒー協会でも様々なコーヒーの健康サポートの情報を発信しており、一定のPR成果があったとレポートしています。今まで健康に悪いというイメージがあったコーヒーが、健康飲料として捉えられるようになることも、高い消費量を維持する要因の一つと考えられます。



カフェインについて

カフェインは、コーヒー豆、茶葉、カカオ豆、などの成分で、それらを原料とするさまざまな飲料や食品に含まれています。カフェインが多く含まれる「エナジードリンク」がヒットした時期もあり、若い世代やビジネスパーソンには日常的に接種している成分ですが、近年、その流れに一石を投じたのが、2015年の「20代日本人男性のカフェイン中毒死」の事故でした。

その後もカフェイン中毒について度々報道され、厚生労働省も過剰摂取に対する注意喚起を行うようになりました。そのような流れの中で、より多くの消費者がカフェインに対する注意意識を高めています。


■カフェインの過剰摂取について(Q&A厚生労働省の回答)
カフェインを過剰に摂取した場合には、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等の健康被害をもたらすことがあります。
このため、食品からのカフェインの摂取に関しては、国際機関などにおいて注意喚起等がなされています。例えば、世界保健機関(WHO)は、2001年にカフェインの胎児への影響はまだ確定はしていないとしつつも、お茶、ココア、コーラタイプの飲料はほぼ同程度のカフェインを含んでおり、またコーヒーはその約2倍のカフェインを含んでいることから、妊婦に対し、コーヒーを1日3から4杯までにすることを呼びかけています。 また、英国食品基準庁(FSA)では、2008年に妊婦がカフェインを取り過ぎることにより、出生時が低体重となり、将来の健康リスクが高くなる可能性があるとして、妊娠した女性に対して、1日当たりのカフェイン摂取量を、WHOよりも厳しい200mg(コーヒーをマグカップで2杯程度)に制限するよう求めています。同様に、カナダ保健省(HC)においても、2010年に1日あたりのカフェイン摂取量として、健康な成人で400 mg(コーヒーをマグカップで約3杯)まで、カフェインの影響がより大きい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は300mg(コーヒーをマグカップで約2杯)までとされています。 
 なお、カフェインを一生涯摂取し続けたとしても、健康に悪影響が生じないと推定される一日当たりの摂取許容量については、個人差が大きいことなどから、日本においても、国際的にも設定されていません。

カフェイン含有量の表


カフェインコントロールとは

■カフェインの作用にはメリットとデメリットがあります
適度に取り入れれば眠気防止やリフレッシュ効果、さらには脂肪燃焼作用といったメリットがあります。

その一方、不眠や血圧上昇を招いたり、慢性的に摂取することで中毒性があったり、適切や効果が出なくなることもあります。そんなカフェインを、「良いもの」「悪いもの」と判断するのではなく、自分の体調や状況に応じて、適切に選択して摂るようにするのがカフェインコントロールの考え方です。

また、普段からカフェイン飲料を愛飲している人も、カフェインの摂取を常態化するのではなく、本当に必要な時に絞るなどメリハリをつけるとこで、本来のカフェインのメリットが効果的に作用するとも考えられます。


これからの市場拡大は?

コーヒー系飲料や茶系飲料などの市場は巨大であることから、今後一ユーザーの需要が変化・移行することで、更にデカフェ・カフェインレス市場は大きく拡大することが期待されています。

カフェインを控えたい人にとって選択肢が広がることはもちろん、カフェインの摂り方をそれぞれの人が自分に合った方法で選んだり、よりメリット・デメリットを考えるようになることで、新しい需要が生まれることと思います。

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