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【LAD】ドジャース No.1 右腕プロスペクト Bobby Miller 。

どうも、こんにちは。雨宿りです。

開幕からおよそ2ヶ月くらいが過ぎ、各チームへの期待や課題などが見えてくる時期になってきたでしょうか。ドジャースは開幕から26試合が終わった段階では、勝率がちょうど5割と、ファンからの期待にはやや応えられていない状況が続いていました。しかしそこからの23試合を17勝6敗(.739)と大きく勝ち越し、49試合をプレーした今日(5月23日)の時点で30勝19敗のナ・リーグ西地区首位に立っています。

「ナ・リーグ最速の30勝に到達した」という事実には一旦は満足しても良さそうですが、2位のダイアモンドバックスとのゲーム差がわずか1.5ゲームなので余裕を持つにはまだまだ早いと言えそうです。また、ドジャースはシーズン前から多くの怪我人を抱えていましたが、そこに加えて Dustin May や Julio Urias の2人を先週立て続けに怪我で失っており、先発投手のコマが続々と削られている状況です。

そしてその先発ローテーションに空いた2つの穴を埋めようとしているのが、Gavin Stone と Bobby Miller という2人の若手有望株右腕です。怪我でローテーション投手を2人失ってことは痛い事態ではありますが、その穴を有望株で埋めることのできるドジャースの贅沢さには感謝するべきかもしれません。

Stone に関してはすでに数週間前にデビューしており、今日の試合ではそのとき以来となるメジャー2度目の先発登板を果たしました。今日の Stone は初回に4失点したものの、それ以降は粘り強い投球を披露し、なんとかチームを勝利に導くことができました。前回登板よりも出力が上がっており、また空振りも多く奪えていたので及第点の結果は出してくれたというような印象です。あとはコマンドに磨きがかかれば、もっともっと楽しみな選手になるなというような感じでしょうか。以下で Stone について詳しく解説しているので、興味のある方はぜひこちらもチェックしてみてください。

さて、Stone の話は一旦置いといて、今回の note の主役である、Bobby Miller についてここからは詳しく書いていこうと思います。

メジャー昇格までの背景

2020年のドラフトでドジャースから1巡目指名を受けた Bobby Miller(本名は Robert Anthony Miller)ですが、実は2017年のドラフトでも高卒としてオリオールズから38巡目指名を受けていました。MLBではよくあることですが、Miller はそのときオリオールズからのオファーを最終的に断り、名門のルイビル大学へ進学しました。ルイビル大学はドジャースの Will Smith の母校でもあります。また Miller の同級生には現在エンジェルスでローテションの一角を担う Detmers がいます。

大学時代はコロナ禍であったことも災いし、十分な登板機会を得られず、また制球力にも課題があるとの評価だったため、1巡目で彼を指名することに躊躇する球団も多かったそうです。そんな中ドジャースは彼のポテンシャルを買い、1巡目で指名したというような背景があります。

1年目はマイナーリーガー相手にもかなり圧倒的な投球を見せ、AA まで昇格し、2年目はやや躓いたものの最終的には AAA レベルでローテーション投手に昇進。今季は怪我で開幕スタートに遅れたものの、復帰後は AAA で4試合に登板。今季のマイナーでの成績はあまり芳しくはありませんが、直近の登板では実力通りの結果を見せていました。そしてついに明日、強敵ブレーブス相手にビッグリーグのデビューを果たそうとしているところです。

Miller はどんな投手?

ではここから、Miller がどのような投手であるのかを簡単に説明していきます。依然としてコマンドには課題を抱える投手ではありますが、クオリティの高いボールを複数持っており、ドジャースのエースに育つ可能性は十分にある、そんなピッチャーです。実際 MLB Pipeline によるプロスペクトランキングでは全体19位に位置し、ポジション別(右腕)のランキングでは MLB の中で5番目です。では Miller がどんなピッチャーなのか球種ごとにもう少し詳しく見ていきましょう。

4シーム

4シームは Miller の代名詞とも言えるボールです。最速は100マイルを超え、平均球速でも99.5マイルを記録しています。Miller の4シームは、昨年のスプリングトレーニングであの大谷翔平からも三振を奪っているボールです。実はこの4シーム、球速は速いものの、ホップ成分(打者が浮き上がるように感じる)では MLB の平均を少し下回ります。またややシュート回転気味でもあり、いわゆる綺麗な4シームというわけではありません。ただ、球速や変化量をもとに算出されるピッチモデルの一種である Stuff+では143(100が平均)と平均を大きく上回ります。この値は球速に依存している部分も大きそうですが、確実に言えるのはメジャーリーガーでも簡単に打てるボールではないということです。また Miller は4シームを高めに投げて空振りを奪う傾向があり、それをうまく上のレベルでも再現できるかが活躍の鍵を握りそうです。

シンカー

彼のシンカーは名の通り4シームに比べ、縦の変化量が大きく(落ちる)、またアームサイドへの変化量も大きい球種です。球速はこちらも100マイル近いハードな球種です。このシンカーの大きな特徴は、ゴロを打たせる球であるということ。Stuff+は至って平均的で、彼の持つ球種の中では、このシンカーが最もハードヒットを許す確率の高いボールではありますが、GB%(ゴロ率)は驚異の70%(MLB平均は54%程度)を超えます。主に右打者の膝下付近に投げることが多く、ゴロが欲しい場面で多投する傾向にあります。

スライダー

個人的にはこのスライダーが Miller のベストピッチではないかと思っています。平均球速は88マイル(最速は92マイル)とハードスライダー気味で、トップスピンのかかった縦に落ちるボールです。変化量が特別に大きいわけではありませんが、マイナーでの Whiff% は40%近くを記録し、Stuff+も152と彼自身もこのボールには非常に自信を持っています。低めに制球できれば、相手バッターにとっては手がつけられないほど効果的なボールですが、それと同時に高めに浮くと怖いボールでもあります。実際、マイナーリーグの試合で甘く入ったスライダーを痛打される場面も何度か目にしました。いかに失投をなくすかがこれからの試合は重要になってきます。

チェンジアップ

彼の場合、チェンジアップは特に左打者に対してよく使うボールです。このチェンジアップは変化量の多さで空振りを奪うボールというよりは、速球との球速差(およそ10マイルほど)でウィークコンタクトを誘うボールという印象です。こちらはスライダーの場合とは違い、甘く入る失投がそこまで多くないです。サンプル数は少ないですが、Miller のチェンジアップは今季マイナーでは xwOBA が.199であることからも、左打者に対して外角低めに徹底して投げ分けることができれば有効となることは間違いなさそうです。

カーブ

最後の球種はカーブです。この球種もチェンジアップと同じで、Miller は左打者に対して投げることが多いです。球速は彼のアーセナルの中では最も遅く、平均球速は80マイルほどです。ボールのクオリティ(変化量など)の観点で言えば、Miller のカーブは武器と呼べるほど鋭いものではなく、むしろ打者の目線を上げたり、高めの速球で空振りを奪うための布石として使われることが多いです。よく言えば、投球の幅を広げてくれるボールと言い換えることもできます。

最後に

私雨宿りの個人的な見解としては、Miller は Stone と同様に、現段階では球の変化量や回転数などで差別化を図ることのできるタイプの投手ではなく、Miller の場合は特に球速に依存している投手です。そのため自分の投げたいところにボールをコントロールできるかが良い成績を残すための大きなファクターとなってくるはずです。Stone に関してはメジャーデビューしてからのここ2登板は制球力に課題が残る内容ですが、果たして Miller はどうなのか。今季のメジャーリーグでは Miller という名字の右腕プロスペクトが3人(ドジャースの Bobby Miller、アスレチックスの Mason Miller、マリナーズの Bryce Miller)いますが、将来的にはこの中で No.1 になってくれることを期待しています。

ヘッダー画像:https://www.instagram.com/p/CpBG0Bgyq87/

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