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Bukit Bintangで中東小旅行

ブキ・ビンタン。

日本語で「星が丘」という意味のそこは、その名の通り煌びやかなクアラルンプールの中心地だ。
いつも人で溢れる場所であるが、正直なところ筆者にとってはそれほど魅力を感じない。

何故なら、することがないのである。

ブキ・ビンタンの中核をなすパビリオンは、所狭しとブランドショップが軒を連ねているが、それほどブランド品に興味はない。

台湾の誠品生活は同じような品揃えだし、ファーレンハイトは薄暗く他でもよくある店舗が続いている。

ドンキが店舗を増やす前、唯一Lot10はアドレナリンの出る場所だったが、残念ながらドンキはもう日常になってしまった。

伊勢丹のクールジャパンは、違った意味でクールで心身ともに底冷えしてしまう。

気を取り直して、ホテルクルーズをしたところで、世界に名だたる五つ星ホテルは総じて小ぶり。
リッツカールトンに至っては、他国のそれと比較するとビジネスホテルかと思うくらいだ。

ということで、ブキ・ビンタンを避けていた筆者であるが、最近ここで1つの楽しみを見つけてしまった。

それは、中東グルメ。

トルコアイス、シャワルマ、フムス、トルココーヒー、クナファという中東グルメのスター達がブキ・ビンタンに勢揃いしている。

まずは、トルコアイスから始めよう。

ファーレンハイトまえで派手なアイスパフォーマンスを目にしたことがないだろうか。

「あれって、ちょっとウザい」と思ったあなた。
一度、じっくり目の前であのパフォーマンスを見てほしい。

あまりのテンポの良さに目が離せず、アイスを掴もうとする手は空を掴み、思わず笑みも歓声も出る始末。いやいや、これめっちゃ楽しいんですけど!

トルコアイスは、以前日本で流行った伸びるトルコアイスとは雲泥の差。
雪見だいふくの餅レイヤーが全体に混ざりあったような、滑らかだけどしっかりした新食感。甘すぎないのもいい。
間違いなくハーゲンダッツよりトルコ派だ。

次はシャワルマへ行こう。

パビリオンから徒歩5、6分のところに、ローカルや観光客が列を成すシリア料理レストラン「Damascus」がある。店頭には大きな肉の塊が回転中だ。

これを削ぎ落とし、薄いピタパンに野菜、ヨーグルト、フムスなどと一緒に挟んでいただくのが中東のサンドイッチ「シャワルマ」だ。

ここで重要なのは、味(もちろん美味しい)だけでなく、レストランの男性スタッフたちである。
全員、大胸筋や広背筋が発達したがっちり体型に、彫刻のような彫りの深い面差し。
男らしさ全開なのに、フレンドリーでキュートな笑顔は絶やさない。
白くてツルンとした中性的東アジア系男子とは正反対だ。
ここでも、筆者は東アジアより中東派だ。

続いては最終目的地である、すぐ隣のデザートショップ「Kunafa Crisp」へ向かおう。

店頭には黄金色に輝くクナファ。その隣では、熱い砂の上でトルココーヒーが湯気を上げている。

注文するのは、もちろんクナファとトルココーヒー。

出来立てのクナファは、口腔内が血だらけになりそうなほどカリッカリ。
その上からシロップをたっぷりかけよう。

表面のカリカリ、フィリングのとけたチーズ、そしてシロップが重なりあって背徳感たっぷり味の出来上がり。
この味に負けないのは、濃いという概念を超えたトルココーヒー一択だ。

筆者にとって時間を持て余すだけのブキ・ビンタンを、中東カルチャーが変えた。
最近では中東小旅行のため、星が丘へ足を運んでもいいかなと思っている。













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