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英語は簡単、と彼女は言った

全く大したことのない英語力だが、マレーシアの日常生活において、家を借りたり、クレームを入れたり、銀行口座を開いたり、学校で先生方と話したり、といったことは問題なく出来ている。

とはいえ、この程度の英語力では、北米やUKなど英語のお膝元では通用しないだろな、とはうすうす感じている。

なぜなら、マレーシアで暮らす人々は、英語が第二外国語同士なのもあり、多少の間違いには寛大だし、お互い理解しようとする姿勢があるからだ。

そうは言っても、生活をする中で、言いたいのに言えない単語があり悶々とすることは多い。

例えば、以下の単語は「出る単・金のフレーズ」にはおそらく載っていないだろうが、日常生活で使いたい時がたまにある。

斜め前・肌のくすみとたるみ・肝斑・複利・親知らず・自閉症・菊花茶・肩甲骨・猫背・揚げ物の衣・鍋の取っ手…などなど。
本当はまだまだあるけど、このくらいで。

その都度、Google翻訳で確認するのだが、やってもやっても、知らない単語は出てくる。

このイタチごっこは、きっとキリがないのだろうと諦念しているが、考えようによっては、単語数さえ飛躍的に増加すると、もしかすると英語はもっと簡単になるのかも知れない。

動詞と名詞と形容詞がわかれば、会話の大筋はなんとかなる。

そもそも、英語には、女性/男性の名詞の性別はないし、主格に応じて動詞が変化する人称変化は1種類だけ。
過去形や過去分詞は必要だけど、人称変化だけなら、主語に応じて動詞にsをつけておけば大体いけそうだ。

発音の難所L/ Rはあるけれど、中国語やタイ語などにみられる声調がないのは、かなり大きな利点と言える。
声調でまるっきり意味が変わり、文が壊滅してしまうほどの緊張感は、L/ Rにはないだろう。

ドイツ語の人称変化は6種種類もあり、それに追加して女性/男性名詞もある。

よって、ドイツ語母語の友人は、「英語はスーパーイージー」と言う。

なるほど、確かにそうだろう。

しかし、意思疎通を図るためだけに、どうしてそこまで細かく単語を変化させなくてはならないのだろう?

日本語は、人称変化も、名詞の性別も、声調もなく、なんなら主語も省略しがちだが、日常生活だけでなく、科学技術や芸術において素晴らしいものをたくさん産み出している。

世界最古の長編小説「源氏物語」だって上梓しているほどだ。

この単語変化の多寡は、言語のハイコンテクストとローコンテクストに由来するんじゃないかな、と思う。

日本語はハイコンテクストの筆頭だと言われる。一方、ドイツ語はローコンテクストのトップだ。

日本の、文化や風習の高い共有性に基づく「察する力」が、こまかい動詞の変化などを不要にしたのではないだろうか。

逆にいうと、ローコンテクストの使い手が、ハイコンテクストの言葉を使う場合、慮ることが多すぎて途方にくれてしまうかも知れない。

そのミドルに位置する英語は、確かに簡単と言える。

これが、英語=世界共通語と言われる理由なのかな、と思いながら、今日も初めて聞く英語の単語を、増える一方の単語帳に追加している。








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