岡宮来夢さんの鶴丸国永は素晴らしいな!というおハナシ

少し前に、ヅカオタの私がコロナウイルス蔓延のせいで観劇が出来なくなってしまい、その地獄の自粛期間中に、友人からもたらされたミュージカル刀剣乱舞の沼に足を取られたハナシを書いた。
ヅカオタがミュージカル刀剣乱舞に足を取られてしまったおハナシ|kiki@崖の上で借りぐらし|note (←詳しくはこちらをご参照ください)
このハナシの最後、私の二振り目の推し刀についてまた後日書きたい、と結んだのだが、今回、その二振り目の推し刀、鶴丸国永について書いてみようと思う。

「この白い子、みりおちゃんに見えるんだよね」
私のヅカ友、今は審神者にジョブチェンジした友は、最初はこんな言葉で鶴丸ちゃんを紹介してくれた。
真っ白な和装のお衣装(ヅカオタは色んな名詞に「お」を付ける習性がありこの先も「お歌」だの「お顔」だの出てくると思うがあまり気にしないで読み飛ばして欲しい)、銀の混ざった白い髪と白い眉の、儚げな美少女と見紛う彼は、鶴丸国永という伊達の刀であり、中の人は岡宮来夢(おかみや くるむ)くんという若手の俳優さんである。岡宮来夢くん演じる舞台の上の鶴丸国永は、ちょっとした表情がみりおちゃん(先代の花組トップスター明日海りおさん、宝塚歌劇団の中でも指折りの美貌を誇る男役であった)に似ていて、このオタク何を訳のわからないことを言ってるんだろうと思われるだろうが、「みりおちゃんをもっと幼くして、そんで女の子にしたらきっとこんな感じだな!」と、みりおちゃんを髣髴とさせる表情を見つけるたびに思う。念の為申し添えるが、鶴丸国永は男子だし、明日海りおさんは女子である。
そう。ミュージカル刀剣乱舞の鶴丸国永ちゃんは、元花組トップスターでトップオブトップの誉れも高き美貌の(元)男役、レジェンド明日海りお様に、表情が(特にちょっと口元を歪めた笑みが)似てるなあ、とヅカオタである私や友に思わせるだけあって、めちゃお顔が良かった。みりおちゃんは退団してなおぐいぐいの攻め感に満ち満ちているお方だが、みりおちゃんから攻め感を抜いて優しい美少女にしたらきっとこんな感じだろうなあと、そういう美しいお顔をされているのだ。

出会いは、dアニメストアの歌合乱舞狂乱2019、だったと思う。
真剣乱舞祭はその前からいくつか見ていたので、今剣ちゃんや蜻蛉切くんや、他にも知っている子がたくさん出ていたが、この歌合、出演する刀剣男士の数が多くなんと18振、となれば当然はじめましての子もたくさんいて、例のごとく、友のLINEでの「この子はこれこれこういう刀」の解説付きで視聴していた。この、はじめましての子たちの中の一人に、白いお衣装の、とても綺麗な子がいて目を引いた。そしてその真っ白な美少女が一声発したその瞬間に、私の耳と心臓は撃ち抜かれてしまったのだ。
「うぇっ?」
マジで変な声が出た。何、なんなのこのお声は…!
それは、見た目を裏切る、低い、ひくーーーい、お声だった。美少女の薔薇のような唇から、地を這うような低音ボイス…。加えて口調がべらんめえ(鶴丸国永はそういうキャラ)で、インパクトがすごかった。しかも、ただ低いだけではない。優しく柔らかで雑音を纏わないなんとも麗しい低音なのだ。それはまるでコントラバスの音色、まるでユーフォニウムの響き。そして何よりも、お歌が素晴らしかった。
正直、刀ミュの出演者の皆様は、全員が歌うま、と言うわけではない。なんなら、んんんんん、っというレベルの方もいらっしゃる。しかしながら、私はヅカオタ、宝塚歌劇団にも(歌劇団なのに)お歌が、んんんんん、っという方はたくさんいらっしゃるので、無問題、慣れっこである。だがしかし、慣れてはいるが、そこは私もエンタメを愛する者の一人、お歌のお上手な方は素晴らしいな!と常々思っているし、好きである。そしてこの鶴丸国永は、お声が良くてお歌も良くて、さらにお顔までも良い、好きにならないわけがない。
ほおお、すごいなあと、画面の鶴丸国永を口を開けて見ていたら、同時視聴していた友からトークルームに、
「この白い子、みりおちゃんに見えるんだよね」
というメッセージが来た。私はすぐさま、
「わかる!見える!」
と返した。こうして私は鶴丸国永に出会ったのだった。

私が徐々に、この名前の通りに白く美しい鶴丸国永に惹かれていったのには、理由がある。
人には、例えば「手が好き」「目が好き」「肩の筋肉が好き」など、人間のパーツに対する愛を持つ、嗜好というか性癖というか、そういうものを持つ人がいる。私は、わけても「首」の美しさに弱いタイプであることを自認しており、贔屓のタカラジェンヌの首筋が美しい画像ばかりを集めた「首筋コレクション」がスマホのカメラロールにあるくらいの変態だ(自認しているのでハッキリ書きました)。なので、芸能人の方などを拝見し、素敵だなあと思ったとき、何故、どこが、素敵と感じたのか、それを掘っていくと大抵「首筋が美しい」という答えにたどり着く。
もうお分かりだろう、そうなのだ、鶴丸国永の首も、鶴の名に恥じない、めちゃめちゃ美しい首であった。白く、長く、細すぎず、喉仏は小さめで、華奢な金色の首飾りを付けている、すんなりと伸びた首。ひゃくおくてんあげたい。
加えてあの声だ。先の記事にもちょっと書いたが、私は声優オタもやっていた過去があり(永遠のマイレジェンドは関俊彦様と緒方恵様である)、そのため「声」には非常に敏感だ。ちなみに、私を刀の世界に導いた導師である友も、若い頃は声優オタだったため、我々の共通の嗜好として「声の良さ」があり、タカラジェンヌの「声の良さ」は、私達にとって、容姿より演技よりダンスより「愛で対象」であった。そんな「声フェチ」な我々が、鶴丸国永の声にヤラれないわけがなかったのだ。
刀ミュを一緒に視聴するたび、そこに鶴丸国永が出てくるたびに、「声がいい」「このかわいいお顔からこんなお声…!」「ギャップよ…」「わかる…」「声がよすぎる」「同意しかない」などと、同じ意味の繰言を永遠に繰り返すハメに陥った。このトークルームでのやり取り、今遡ってみても、我ながら面白いやら気持ち悪いやらで笑えてくる。
美しく白い首、幼さの残る愛らしいお顔、その薔薇のような唇から発せられる低い声。明るく愉快なのに時々ぞっとするほど残酷な物言いをし、大勢の中にいてもふっと伏せた目に孤独を灯す。無邪気かと思えば邪気の塊のようになり、べらんめえな口調でいながら立ち居振る舞いはこの上なく優雅。誰にもその心の深淵を覗かせない、それは彼の強さであり弱さでもある。刀ミュの鶴丸国永のキャラクター造形は素晴らしいと思う。外見も、中身も。
この完璧な鶴丸国永に、私はこうして魅入られてしまったのだ。

今剣ちゃんのときもそうであったが、この鶴丸国永の中の人にも、興味が沸いた。こんなかわいいお顔でお歌が上手な2.5次元俳優さん、きっとCDの1枚や2枚出しておられるに違いなかろう。この子のお歌がもっと聞きたい!と思った私は早速中の人である岡宮来夢(おかみや くるむ)くんのツイッターアカウントをフォローし、情報収集に勤しんだ(オタク仕草)。
驚いたことには、この岡宮来夢くん、舞台は刀剣乱舞がほぼ初めて、本格的な歌も刀剣乱舞での歌唱がほぼ初めてで、なのでCDなどただの1枚も出してはおられず、刀ミュ絡み以外で見つけることが出来たのは、事務所公式で作成されたと思しきPVだけであった。
こんなに歌えるのに!?なんでじゃ!!と一瞬所属事務所の仕事の方針に憤りかけたが、いやいやいや、そうだよね、だって、信じられないけど、まだほんと、デビューしてそんなに経ってないんだもんね、これからのしていく子なんだわ、と思い直した。
そうして、岡宮来夢くんの情報を追い始めて、割と早い段階で、私は彼の中身の素晴らしさに胸打たれることになる。

岡宮来夢くんは、知れば知るほど「いい子」であった。
変な噂がミリも無く、それこそタカラジェンヌ並みの清さと正さと美しさ(ご存じない方のために念のため書き添えるが、宝塚歌劇団が100年以上守り続けてきた矜持は「清く正しく美しく朗らかに」という創始者小林一三翁の御言葉である)を兼ね備え、いまどきこんな子、若手の清純派女優さんにだっていやしないよ…!というレベルの清らかさ。言動も真摯で、とても謙虚で、面白いことを言おうとすると概ねすべっちゃう、なんという可憐さだろうか。こんなに可愛いのにあんなお声…、ってのがもう…。ギャップの王子様すぎる…。
しかも来夢くん、お仕事界隈での共演者の皆様、特にかなり年上の先輩方からの評判がすこぶる良い。良いというか、なんというか、もう皆さん、共演したが最後、あっという間に来夢くんのファンになり、褒め称えまくるのだ。え。どうした。宗教?この子、教祖さま?くらいの勢いが感じられて、清らかなあまり逆におかしな空気を感じるほどだ。
ミュージカル界でも、舞台は宝塚以外あんまり知らない私なんぞでもそのお名前を存じ上げ、舞台を観劇させていただいたこともあるプリンス浦井健治さんは、王家の紋章で共演されたときから来夢くんをかわいがっておられるようで、来夢くんの夢が「帝劇の0番に立ちたい」であることを知り、「来夢なら絶対に立てる!」とエールを送ってくださったという。そのことが書いてある記事を読んで、実際に帝劇の0番に立ちまくっているプリンスが、そんなエールをくださるなんて、来夢くん、ほんとに好かれている…!と胸が熱くなった。
また、かの岡幸二郎さんが鶴丸国永と大倶利伽羅の双騎出陣(本公演のことを出陣、と呼ぶ)で共演なさり、その後、来夢くんと大倶利伽羅の牧島輝くんのことを絶賛し、「目が離せない」と仰り、更には来夢くんがプロデューサーを務め、牧島君もキャプテンとして参戦した2.5次元俳優がいっぱい集まってスポーツするお祭りのバスケットのやつ(アクターズリーグという催し、詳しく知りたい方はググってください)で国歌斉唱までしてくださった…!あの岡幸二郎が、劇団四季出身の、ミュージカル界の偉大なるパイセン岡幸二郎が、2.5次元俳優のお祭り騒ぎで真風涼帆(宙組トップスター、007ジェームスボンドで退団予定)のような眩しいスーツで国歌斉唱…!そんで歌ったらとっととお帰りになるのかと思いきや、最後までいらっしゃり、時々コメントしたりまで…。すごい…。これはきっと来夢くんと牧島くんの力によるものに違いないと勝手に密かに思ったりした。(ちなみにだが、牧島輝くんは来夢くんよりもキャリアがあり、歌も踊りも演技も既にしっかり評価されている俳優さんである。来夢くんのことも「くるむ」と呼んで可愛がってくれているようだ。ありがとうございます)
このように、鶴丸国永の中の人である岡宮来夢くんが、もう本当に非の打ち所の無い素晴らしい俳優さんであることを知り、私の胸には感謝の気持ちが溢れた。
それはつまり、「鶴丸国永を演じてくださり、ありがとうございます!」という感謝だ。
来夢くんが演じてくれなければ、私はこんなにも鶴丸国永を推さなかったと思う。来夢くんが演じる鶴丸国永に、私は魅了されたのだ。
この感謝を伝えたい。
こう思ったらもう、素敵な便箋と封筒と可愛い切手とシールを準備するのがヅカオタのお作法である。宝塚という世界は、このネット社会において、未だに「お手紙」という文化が現役ばりばりに残る界隈で、ヅカオタほど手紙を書きまくるオタクはいないと自負している。そんなヅカオタでもある私なので、来夢くんへの溢れる感謝の思いを、便箋5枚にしたためた。便箋は小さなやつを選んだので、そんなに引くほどの長文ではなかったものの、やはりちょっとは気持ち悪かったかも知れない。それでも、伝えずにはいられなかったのだ。「岡宮来夢さん、鶴丸国永を演じてくださって、本当にありがとうございます」と。

今剣ちゃんもそうだが、鶴丸ちゃんも、私にとってはアイドルにキャー!といった対象ではない。しゅんやくんのファンクラブにも来夢くんのファンクラブにも、べつに入りたいとは思わないし、チェキ会やバーイベなどという催し物にも参加したいとは思わない。その催しの様子を、ファンの子たちが嬉しそうにツイッターなどでレポしているのを目を細めて微笑ましく眺めている。なので、私にとって彼らはもう孫のような存在なのだ。
最近では、導師の友とのLINEのトークルームでは、私は彼らを「孫」と呼んでいるし、導師も「あなたの孫、こんなこと呟いてるね」とツイッターの呟きを拾って教えてくれたりする。私も「なにこれかわいい、お年玉あげたい」などと返信したりする。
子供もいないので当然孫もいない私に、孫を愛でる気持ちを教えてくれた、ミュージカル刀剣乱舞の今剣ちゃんと鶴丸ちゃん、本当にありがとう、と心から感謝している。

ミュージカル刀剣乱舞については、まだ見たことがないという方にネタバレにならないよう、あまり多くを書かなかったが、とても楽しい界隈なので、よろしければ一度ご覧になってみて欲しい。
そこには、あなたの性癖にぶっ刺さる刀との出会いが、もしかしたら、待っているかも知れない。
オタクって楽しい。
要はそういうハナシである。


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