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兼松さん17歳②:青春は早い方がいい。ミネソタ留学で得た自分らしさを応援し合える仲間。

こちらの記事は、兼松佳宏さん(勉強家/京都精華大学人文学部特任講師)へのインタビューの第二話になります。(第一話「とにかく秋田を出たかった」はこちら。

高校生の頃からファッションに興味を持つようになったり、ビジュアル系バンドの真似をしたりと、カルチャーが大好きだった兼松さん。しかしその一方で、受験勉強にも力を入れギャップを大事にしていたそう。

趣味も勉強も両立していて充実した高校生活に見えますが、じつは大きな挫折もあって、そこでの頑張りこそが青春だったといえます。なにと出会い、なにを感じ、なにを得たのでしょうか。

初めての挫折、ミネソタ行き。

高2の夏に、秋田の高校生が2人だけ無料でアメリカに1か月間留学できるというプログラムにエントリーしたの。その最終面接で東京まで行ったんだけど、最後の最後で落とされて、ホントにもう初めての挫折という感じで…。

でも、もうどうしてもアメリカに行きたい気持ちになっていたから、お金を出せば誰でも参加できるミネソタ州立大学の海外研修に行くことにしたんです。親にお金を借りて。

ミネソタでも自分らしさ全開。「変わったやつ」と言われたかった。

ミネソタでは本場ということもあって、古着屋によく通っていました。研修最後のパーティーでは、上がペイズリー柄のシャツに、カメレオンみたいな緑色のズボンで、女の子が使うような小さなカバンを肩にかけて「Yeah!」みたいにはしゃいでました。そしたらアメリカ人から「パーティーアニマルだね」って言われたんですね。「パーティーアニマル…? パーティーアニマル!よし!OK!」って何だか心が弾けた感じがして。多分、そういう人とは違うことをして目立ちたいっていうのが自分らしさだということに初めて気づいた。

あとは、ミネソタで知り合ったお姉さんが真っ赤なスポーツカーに乗ってて、高校の前まで僕と友達を迎えに来てくれて、乗せてもらってセリオンっていう秋田港のタワーまで行ったりして。楽しかったなあ。

誰もやってないことがカッコいい。

いまでこそソーシャルデザインがかっこいいと思っているけれど、二十歳くらいまでは社会問題とかほとんど興味なくて。若い頃はタバコも吸ってたし、ポイ吸いてもしてました。環境問題にも興味がないわけだから、「ごみ拾いやろうよ!」とか言われても絶対行かないし、かっこ悪いと思ってた。

でも、そんな僕でも参加したゴミ拾いイベントがあって。なんで行ったのかっていうと、とにかくカッコよかったから。津村耕佑さんっていうファッションデザイナーがデザインしたFINAL HOMEの服をユニフォームのように着て、ラジオ担いでHIPHOPかけながらゴミを拾うみたいな。周りから「なんだ?あの集団は」って注目を集めるんだけど、実はゴミ拾うみたいないいことしている。そのギャップがとにかくカッコよかったわけ。

だから誰もやっていないことをしたいってのはずっとあるよね。今みたいに、環境とかソーシャルが当たり前な時代に高校生だったら、逆に違うことやってたりするのかなあ。

こういう仲間が欲しかったんだ。

話が少し戻るけど、ミネソタのときに仲良くなった友達が、初めてできた心の友だったと思う。いつも高校で遊んでいた友達も好きだったけど、あまり将来のこととかを熱く語る感じではなかったから、ミネソタで「こんなこと言っていいんだ」「こういう話ができる仲間がほしかったんだな」って。聞き書き甲子園の研修会に近いかもしれないね。

大学進学でみんな東京にいたときは、映画監督を目指そうとしていた友達が、僕を主演に映画を撮ってくれたりもした。(※1)お互いのクリエーションを応援できる仲間がいるって本当に貴重だと思う。

いまはあまり会うことはないけれど、20代はしゅっちゅうお互いの近況を報告したりして。水谷さんのMERRY PROJECTとか一緒にやってたり、なんだかんだ近い領域にいたね。

※1 I’m dying to love you( https://www.youtube.com/watch?v=GWeeS9u9BmM&feature=share )

青春は早い方がいい。

いま話したことって、自分が大きく成長する”青春”のパターンだと思うし、聞き書き甲子園は本当にいい機会になっていると思う。10年後くらいに「やっぱ聞き書きが原体験だったわ」って子がたくさんいるんだろうね。

しんどいけどこういう合宿とか、一人旅とか、青春は早い方がいいね。・・・そんな感じかな。お腹すいてきたし、朝ごはん食べようか。

この取材の後、聞き書き甲子園に参加する全国100名の高校生にワークショップを行って頂いた兼松さん。当日の朝ごはん前という慌ただしい時間に関わらず、丁寧に、かつ楽しそうにお話いただきました。ありがとうございました!

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