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第1回:菊川の“いいお茶”を飲んでみませんか?

菊川市は、静岡県西部に位置する小さな町。駅から車を走らせて郊外へと抜けると、そこにはあたり一面の茶畑が広がっています。
そんな菊川のシンボルである“お茶”に携わる岩澤克彰さんにお話を伺いました。
お茶農家を継ぐことになったきっかけ、一度はお茶を離れた経験、お茶作りのこだわりから美味しいお茶の飲み方まで。記事を読みながら一服いかがですか。(書き手:影山莉央)

岩澤克彰さん:1981年10月8日生まれの37歳。
日本大学で生物資源科学を学んだ後、自動車ディーラーとして5年間働いた後に、実家のある菊川市にUターン。五代目園主として茶農家「岩沢園」を継いで10年目となる。

ポニーがつくるお茶のはじまり

岩沢園は、父の代から続く有機・無農薬栽培でのお茶生産と、自然と共生する循環型農業にこだわっています。

もともと、おじいちゃんの代は農薬や化学肥料を使ってたんですね。私も「お茶は身体に良いから飲みなさい」って言われて育ったんですけど、ウチ、じいちゃんもばあちゃんもガンで早くに亡くなったんです。

「健康に良いはずのお茶を飲んでたのに、なんで早くに亡くなっちゃったんだろう」って父が考えて、農薬を使わない農業を追及すべきじゃないかって。100年前は当たり前にやっていたそんな農業を、今できないはずはないんです。

そうやって父の代から有機栽培になったわけですけど、僕の代からポニーを飼い始めたんです。どうしてかというと、ポニーって草と塩分と水があれば生きられるんです。それと、糞は堆肥の原材料になるし、茶畑の周りの草をポニーが食べて、岩塩も与えて、糞を堆肥として使って…。

そういう自然の循環の中でお茶を作っています
※現在、ポニーは亡くなってしまったそうですが、肥料は馬糞を原料にしたものを使用しているとのこと。

お茶農家になるため、サラリーマンに。

小さい頃から漠然とお茶農家を継ぐんだろうな〜って考えてましたね。なので、大学も農学系を自然と選んでいました。でも社会人経験もしたくて。車も好きだったので自動車のディーラーに就職しました。

正直、その頃僕は営業には100パー向いてないと思ってたんです。そもそも、人と付き合うのが好きじゃなかった(笑)。むしろ、農家って人と関わらずに自然の中で生活できるから「農家良いよな」って思ってたくらいなんです。

でも一方で、大学生の頃から、お茶が売れないってことはなんとなく感じていて。だから、自分の代は作るだけじゃなくて、自分で売るしかないんだっていう危機感があったので、売る力を養える営業を選びました。

営業は嫌いだったけど、車が好きだからなんとかなるだろうくらいの気持ちでしたね。だって、大学生の時なんかもバイトの面接で、飲食店のウェイターを受けたのに「向いてないからキッチンやってよ」って言われたくらいですよ(笑)。でもやっぱり、自分でお茶を売れるようになんなきゃだめだっていう危機感で営業頑張っていました。

結果として、向いていないと思った営業にトライしたおかげでいろんな出会いもあって…。人との付き合い方も学べました。だんだん営業成績が伸びて、成績上位の人がもらえる賞も頂けるようになって。今はお茶農家として、お客さんに説明しながら売りに行くのが楽しいですね。

5年経ってある程度やりきったかなと思った段階で就農しました。でも慣行農法(一般的な農薬を使用したやり方)だったら継いでなかったです。父が他と違うやり方、有機栽培をやっていたから継ぎました。

無農薬が適さない土地で。

菊川は日照条件が良くて虫の発生が多いので、無農薬は適さないって言われてるんです。ウチも最初の3年はすごく苦労したんです。畑が農薬に慣れている状態から、そうじゃない状態にしていくのでね。

農薬使わないってことは除草剤も使わないので、雑草は手作業で抜きますよ。かなり大変ですね。1つの面積がやっと終わった!と思って振り返ると、もう最初に取りかかった畑には既に生えてる、みたいな(笑)。今はそういった苦労も含めて、より自然味のある元気な畑で無農薬を貫いてやっています。

そもそも、農薬を使うメリットっていうのは、病気と虫を抑えられるっていうことなんです。ただ、うちの一番茶は、まだ寒い時期なので虫が少なくて無農薬で頑張れちゃうんです。だから夏とか秋は、虫も病気の感染もすごいので、敢えてお茶は収穫しないです。その分、収量も少なくなるんですけどね。

でも、虫って、一概に全部が害虫とは言えないんですよ。“葉っぱを食べる虫を食べる虫”もいるので、 あえて畑の周りにそういった虫たちを残すようにしてますね。農薬はそういった虫たちも殺さざるを得ないです。

(第2回につづきます)

〜取材中にお茶の入れ方も教わりました〜

まず、100度くらいのお湯を飲む量だけ湯のみに入れます。お湯の量を量るのと、湯のみを温めるためです。そのあとにお湯の温度を下げるための道具“湯冷まし”に湯のみのお湯を移します。温度を下げた方が旨味成分が出やすいんですよ。一番茶は70度くらいです。

お茶っぱは、好みによるんですけど、大体3グラム。スプーン一杯くらいです。急須に入れて、湯冷ましのお湯も急須に注いで30秒くらい置きます。急須の蓋にある穴を前側に合わせて、こう、クックッて入れると急須の中で循環して良いんですよ。最後の一滴、ゴールデンドロップまで入れてくださいね。  

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ありがとうございます。 列島ききがきノートの取材エリアは北海道から沖縄まで。聞きたい、伝えたい、残したいコトバはたくさんあります。各地での取材にかかる交通費、宿泊費などに使わせて頂きます。そして、またその足跡をnoteで書いていければ。

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列島ききがきノート

列島ききがきノートは、10 代が「いのち」を見つめ直すウェブメディア。全国のライターが綴る記事を配信します。書き手は高校生、大学生。テクノロジーが進化するほどに、肌感覚が恋しくなる。運営:列島ききがきノート編集部https://twitter.com/kikigaki_note

特集・静岡県菊川市〜いっぷくする自然体の生きかた

列島ききがきノートが大切にしている一次情報は、地域にあります。編集部が地域を訪ね、肌で感じ、聞いて、学んできたこと。そんなことを連載していきます。 地域特集、第一弾は静岡県菊川市。お茶のまちの自然体にフォーカスします。
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