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カメレオンズ・リップ観劇記~解く必要のない謎を解くと,そこには究極の愛が

〇はじめにの前に

ネタバレしかありません。そして長いです!
カメレオンズ・リップ(2021年)観劇後にモヤモヤした人、何がどうなっているのか整理したい人はお読みください。
観劇前に読むかどうかはあなた次第です。内容が難解かつ長い(3時間)ので、観劇の機会が1回だと理解するのは難しいかもしれません。
松下洸平さんの座長公演なので、私は初日から大千穐楽まで計7回のチケットを取りました。これを書きあげるまでに5回観ていますが、初回のインパクトが一番強いものの、回を重ねるごとに見方が変わり、私の中の揺り動かされる感情が変わっていきました。

書き上げてアップする前に再度観劇して細部を確認しようとしているうちに、コロナ緊急事態宣言により大阪公演の中止が決まってしまいました。生で観る機会を逸した人も多いでしょうから、ストーリーを加筆しました。
松下洸平さんを中心にキャストの写真が載ってるTwitterやInstagramのリンクも貼ってます。

いろいろな見方ができる作品です。感想や異論反論などはコメント欄にどうぞ。

※5月15日、大千穐楽を迎えたので最後に追記しました。キャストのTwitterや写真も追加したり、入れ替えたりしました。
※5月23日、配信を見て「謎9」を、初演DVDを観て「雑感」を加筆修正しました。

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〇はじめに

謎は謎のままでよいと思う。解釈しようとするのは粋ではないように思う。少なくとも脚本を書いたKERAさん(ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏)は、解釈など望んでいないだろう。観た人がそれぞれの受け止め方をすればよいのだろう。カメレオンズ・リップのパンフレットにもKERAさんは、最後にパズルのピースがピタリとはまるような作品には下を向いてしまう、といった旨を書かれている。
だから観劇後のモヤモヤは抱えたままにしておいてもいいのかもしれない。
私は小説好きなので世に多くある結末がモヤモヤな文学で鍛えられているはずなのだが、モヤモヤ…つまり、あいまいなものをあいまいなままで抱えていくのは、実は意外と難しいことなのだ。
そして私は、初日を観劇したあとから、長考に入ってしまった。コメディだと思っていたら、全然違ったのだから。いや、何度も笑う場面はあった。しかし中盤からは全くコメディではない。想定外の重たい内容に驚き衝撃を受けた。とにかく頭の中がとっちらかっていた。

帰宅後パンフをじっくり読み、KERAさんの言葉に「なるほど」と思い、どれほど考えてもスッキリ整理される物語ではないのだ、とわかったが、そのときはもう遅かった。
ルーファスが私の心に棲みついて離れなくなっていた。じわじわとルーファスが私の心を揺さぶった。
「君はどう思ったんだい?」「わかってくれたのかい?」と問われているかのように。考えないわけにはいかなくなってしまったのだ。
だから、少しだけ考えてみようと思う。無粋な謎解きをしようと思う。
これはあくまで私の解釈による物語だ。

〇クライム・コメディって何?〜最初の嘘

公式ホームページに掲載されているストーリーは以下。

*  *  *
『カメレオンズ・リップ』は、2004年に堤真一、深津絵里などのキャストでBunkamuraシアターコクーンにて初演され、話題となった作品。20世紀初頭あたり、ヨーロッパの古びた山の邸宅を舞台に、謎の死を遂げた姉に瓜二つの使用人と暮らす男、そこに集ってくる亡き姉の夫、元使用人、医師、姉の友人など、様々な人々がそれぞれに嘘をつき、騙し合い、事態を混乱させ、破綻してゆく…予測不可能のクライム・コメディです。
*  *  *

このように、カメレオンズ・リップは「クライム・コメディ」と宣伝されている。さらに、「詐欺師が出てきて、誰が嘘をついているのか何が本当なのかわからない」といったことが上演前から宣伝で紹介されていた。
クライム・コメディ。直訳すると犯罪もののコメディ。この犯罪とは詐欺のことなのだろう、詐欺を巡ったシニカルなコメディなのではないか――観劇前の私はそんな風に予想していた。しかし、それはあっさり裏切られる。犯罪とは、殺人のことだったのだから。宣伝から既に観客を騙していたのだ。
最初からすっかり騙されてシニカルコメディのつもりで観に行った私は、初めて観たあと、次々と人が殺されていく内容の重さ、主人公ルーファスと姉ドナの狂気に驚いてしまったのだ。
この作品で最初につかれた嘘は、「コメディ」だという予告だった。

〇ストーリー補足とキャスト

実際のストーリーの概略は、以下のようなものだ。

ルーファス(松下洸平)には4歳上の姉ドナ(生駒里奈)がいたが、8年前に失踪して死んだとされていた。
ルーファスの回想から物語は始まる。嘘つきだったドナとの楽しい思い出のシーン。2人がとても仲良しだったことがわかる。
ルーファスは現在、谷間の古い館に使用人のエレンデイラ(生駒里奈、二役)と2人で住んでいる。エレンデイラは姉ドナに瓜二つだった。ルーファスは詐欺師を気取っていたが、お金に困っていて館も抵当に入る始末。そのため、エレンデイラと共謀して、化粧品会社の女社長をゆすってお金を巻き上げようと計画していた。
ドナの命日とされる日、ドナの夫だったナイフ(岡本健一)、ナイフの恋人で元使用人のガラ(ファーストサマーウイカ)が館にやってきた。眼科医モーガン(森準人)に案内されて。さらに、ドナの大学時代の友人だというシャンプー(野口かおる)も花を手向けにやってきた。
ナイフとガラとシャンプーは、エレンデイラを観て驚愕する。死んだはずのドナに瓜二つだったから。
しかし、実はエレンデイラとナイフ、ガラは元々知り合いで、どうやらルーファスを騙して館を乗っ取る計画を立てているようだ。
化粧品会社の女社長のこともナイフたちの罠で、仲間のビビ(シルビア・グラブ)が女社長のふりをして館にやってきた。ビビの知り合いのセルマという女性も仲間のようだ。
そんな計画を知らないルーファスは、館に来た客人たちを必死で追い払おうとする。エレンデイラの嘘にも気付かない。
しかしルーファスとナイフたち、どちらの計画もうまく進まない。
ガラは実は病気だったようで頭が痛いと弱っていき、眼科医モーガンは脳腫瘍だと診断する。それに動揺したナイフはモーガンに八つ当たりをし、暴力をふるう。凶暴な犬を撃ちに館の近くに来ていたハッケンブッシュ(坪倉由幸)は、その光景を見て暴力を止めようと猟銃を撃ち、誤ってナイフとシャンプーにケガをさせてしまう。
モーガンはやがて目を覚ましたが、庭にある穴に落ちてしまう。その穴の秘密に、ガラは気付いていた。
ナイフは、ガラが病気だと知って彼女への愛に気付き、ルーファスを騙す計画から降り、医者を呼びに行こうと館を出た。
女社長役のビビは、計画が進まずイライラし、ガラとは大喧嘩。エレンデイラの不審な様子にも最初に気付いた。館でポルターガイスト現象が起きて逃げ出した。

そのあと、次々と人が死んだ。
誰が誰をなぜ殺したのか? ナイフと共謀していたのは誰で何をしたかったのか? エレンデイラとは誰なのか? ルーファスとエレンデイラ、ドナの関係は?

こうした謎を以下に解いていく。

謎1:ドナはなぜ嘘をつきまくっていた?

「息をするように嘘をついていた」というドナ。一見、パーソナリティ障害(性格の極端なゆがみ)にも見えるが、おそらく違う。
まずドナの生育歴をみていく。すべてルーファスの語りからわかった内容である。
ドナは母親から虐待されて育った。
母親は、父親と愛人を銃で撃ち殺した。ドナが4歳、ルーファスは赤ちゃんのときだった。父親はドナを可愛がっていて、2人で写った写真がたくさんあったそうだが、その父親をドナから奪った。しかも母親は、殺人罪から逃れるため、幼児ドナによる銃の誤発砲とするように弁護士から助言され、新聞にも事故のようなもの、と掲載された。ドナは実の母親に殺人罪をなすりつけられたのだ。
さらに母親は、ドナとルーファスに身体的虐待もしていたようだ。特にドナに対してひどく、顔より下(つまり服で隠れる部分)はいたるところに痣ができるほど引っ叩かれていたとルーファスは語っている。しかも肺炎になるほどの咳をしていたときでさえ引っ叩いたと。
父親殺しのことで弁護士にゆすられ続けた母親は、大人になったドナを、弁護士の息子であるナイフの結婚相手として差し出した。ドナは母親に身売りされたのだ。
そして結婚して数か月で、ドナは失踪。死んだとされた。(8年前。ドナ22歳ごろ)

無償の愛を与えてくれるはずの母親に愛されなかったどころか父親殺しの罪をきせられ、身体的虐待もあった。かなりヘビィな幼少期。幼いころ誰か身近な人を信頼することなく生きていくと、心にひずみが出る。愛着障害を引き起こす典型例だ。他者との心理的な距離感がわからず、親しい関係性を築くことが怖くなるのだ。
だから、嘘をつくしかなかった。嘘をつきまくり、人々をけむに巻いた。親しくなった人に裏切られるのが怖かったから。裏切られるくらいならば、自分が裏切ればいい。そうすると自分は傷つかないで済むから。だから周囲の人に嘘を付き続け、親しい二者関係を作らないようにして生きてきたように思える。
もしかすると虐待から引き起こされた解離性障害もあったのかもしれない。解離がある人は記憶の連続性が保てないので、それをごまかすために嘘をつき続ける人がいる。
こうしてドナは、息をするように嘘をついて生きるようになった。いや、そうやって生きるしかなかった。痛々しい限りだ。ドナの嘘は自傷行為だ。嘘をつくことで自分を守っていたのだ。(はっきり言って精神科の治療対象です・・・)
ルーファスはまだよいのだ。生まれたときには既に4歳上の姉ドナがいた。ドナはルーファスをなんだかんだいっても可愛がっていたのだから。
そして、そんなルーファスだけが、ドナのことを理解していた。姉を心配し、劇の冒頭でドナに、「姉さん寂しいの?」と問うている。
ドナにとって、心を許せるのは弟のルーファスだけだったのだ。

謎2:ルーファスがついている嘘は何?

このような姉を慕って育ったルーファスも、かなり偏った子どもだったはずだ。
ルーファスに父親の記憶はない。物心ついたときには家庭内のいびつな雰囲気を感じとり、7歳の時には母親が父親殺しの罪をドナにきせたことを知り、母親を信用しなくなる。
そして、ルーファスはドナだけを家族として愛し信頼して生きていった。ドナには嘘をつかれたりからかわれたりはしたが、ドナはルーファスの味方だった。
ルーファスも、他者を愛するということを本当には知らないまま大人になってしまったのかもしれない。ドナと2人きりの閉じられた世界の中で生きてきたのだから。

ルーファスはドナをいじめ続ける母親が憎かった。ドナを救いたかった。ドナと2人で生きていきたかった。
だから、ルーファスが母を殺した。
ルーファスは母親のお茶に何かを混ぜていたと、ドナは終盤で証言している。毒草か? おそらく飲んですぐに死ぬようなたぐいのものではなく、毒がゆっくりと体内にたまっていって少しずつ母の体が弱っていくようなものだったのではないか。そしてやがて母親は死んだ。
ルーファスは、別荘だった谷間の館の地下室に母親の遺体を葬り、その館に住み続けた。遺体を発見されないためにも館を手放すわけにはいかなかった。母親のことは誰にも話さず嘘をつき続けたのだろう。

母親が死んだときにはドナは既にナイフと結婚させられていたが、ルーファスは、母親がいなくなったらドナが離婚して戻ってくることができると考えたのかもしれない。
しかし、ドナは失踪して消えてしまった。(8年前。ルーファスは18歳ごろ)

謎3:ドナはなぜ失踪した?

母親が死んだことを知ったあと、ドナは離婚して、ルーファスの元に帰りたかった。しかし、ナイフはドナを本気で愛していたから簡単には離婚には応じてくれそうもない。だから、ドナは自由になるために、8年前に川に身をなげたのだと思う。
そして7年前、ドナは記憶を失った状態で保護され、病院に入院した。おそらく精神科だろう。保護されるまでに1年かかっているので、本当に記憶を失っていたのかもしれないが、記憶喪失は嘘で、演技をしていた可能性もある。すぐに病院を退院したら、ナイフに見つかってしまうので、名前をエレンデイラと変えて隠れていようと思ったのではないか。
失踪自体がドナの嘘、計画だったと私は思うのだ。
しかし、病院から施設に移り7年近くもいたのは、ある時点までは本当に記憶を失っていたのかもしれない。
あるいは人生に絶望してやけっぱちだったのかもしれない。このあたりは謎のままだ。

ハッケンブッシュによると、2ヶ月前、エレンデイラと名乗る30歳くらいの女性が施設から脱走したという。これがドナなのだが、ドナはなぜ施設から逃げ出したのか? ナイフの計画を知ったからか? あるいは、ルーファスが住む館が抵当に入るなど不穏な噂を聞きつけたからか? これも謎のままだ。

ひとつだけ確実なのは、ドナはルーファスの元に戻ろうと決心した、ということだ。

謎4:ナイフと共謀したのは誰? 何をしたかった?

ナイフ、ガラ、ビビ、セルマの4人が共謀していた。

ナイフはドナの夫。ドナとルーファスの母親をゆすっていた弁護士の息子で、ドナを見初めて結婚を強要するも、数カ月でドナは失踪。その後、ガラと付き合っている。

ガラはドナとルーファスの一家・ファイアフライ家の元使用人。ドナのことを知っているので8年以上前から居たということになる。ドナが失踪・死んだとされ、独り者になったナイフと恋人同士になり、使用人を辞めたのだろう。ナイフのことを心から愛している。犬のぬいぐるみを子ども代わりに可愛がっている。

ビビは売れない女優で、ナイフの学生時代の演劇部の先輩。昔2人は付き合っていたようだ。

セルマは、同じく演劇部でビビとナイフの仲間。

この4人で組んで、ルーファスを騙して館を乗っ取りお金を手に入れようと画策していた。
そして、セルマにドナに似せるための整形手術を受けさせ、ルーファスの元に送り込みスパイにしようとしたのだ。

ファイアフライ家は、元々は裕福な家だったのだろう。しかし母親が父親を殺してから没落の一途をたどり、屋敷を次々と手放し、最後に残ったのが谷間の館だったのだろう。
ナイフたちは、没落したからといってそこまでお金がないとも思わず、館が抵当に入っていることも知らず、まだ搾り取れるお金があると踏んでいたのだろう。
ナイフはもしかしたら、ドナの面影が残る館を手に入れたいという思いもあったのかもしれない。ビビは館を見てすぐに、こんな館に興味はないと言い放っているのだから。
実際、谷間の館にどれだけの資産価値があるのか疑問だし、セルマに整形させてまで、その費用をナイフが負担してまで、この策略を遂行する真相は謎のままだ。
ナイフは単にドナが忘れられなくて、ルーファスにからんでいるだけなのかもしれない。ガラへの愛に気付いたとき、この策略を放棄しようとしたのだから。

謎5:ドナがナイフと組んだのはなぜ?

ドナは施設にいるときに、なにかのきっかけでナイフたちの策略を知った。しかし、この館の地下室には、ルーファスが殺した母親の遺体が隠されていたので、ナイフに渡すわけにはいかなかった。ドナはなんとしても阻止しようと思った。大切なルーファスを守るために。
そのため、施設を脱走し、整形手術をした後のセルマとの入れ替わりを画策し、セルマを館の地下室に閉じ込めた。
ナイフたちにはドナのことを整形後のセルマだと思い込ませ、「エレンデイラ」と名乗ることにし(ドナが失踪後に入院していた病院で名乗っていた名前)、ナイフたちのスパイとしてルーファスに近付くことになった。

汽車の中でルーファスにスリを働きわざとつかまった。ルーファスはドナにそっくりの女性を見て驚き(ドナ本人なので似ているのは当たり前だ)、エレンデイラを館に連れ帰り使用人として住まわせることにした。ドナの計画にはまったのだ。
ドナにしてみれば、ルーファスをナイフたちから守るだけでなく、エレンデイラとしてルーファスのそばで再び暮らすことができるこの計画は、嬉しいものだったに違いない。
ナイフたちは、ドナの真意を知らないので、エレンデイラ(=セルマ)を協力者だと思い込んだまま、ドナの命日とされる日に、館に次々と乗り込んできたのだ。

謎6:地下室の2つの遺体は誰?

白骨死体は、ルーファスが殺した母親。
餓死した遺体は、ドナが閉じ込めたセルマ。

謎7:ポルターガイスト現象は誰が起こした?

ビビが何度も幻聴のようなものを聴いていて、ルーファスや客人たちの前でもドアが開かなくなったり引き出しが勝手に開くなどの恐ろしいポルターガイスト現象が起きた。
初回に観たときは全く気付かなかったのだが、舞台の左上に、女性の横姿のシルエットが写っていた。エレンデイラと同じような髪型でもうすこしふっくらしている。おそらくセルマだ。そして、そのシルエットをエレンデイラ(=ドナ)はじっと見据えていた。
ビビがあれほど怯えていたことからも、ポルターガイスト現象を起こしたのはセルマの霊で間違いないだろう。ルーファスを騙すチームの中で、最初に殺され遺体も隠されているわけで、ナイフやビビたちに早く自分を見つけてほしいと訴えかけていたのだろう。

謎8:嘘をついていなかったのは誰?

・シャンプーは最後まで嘘をついていなかった、と思う。
シャンプーだけが、ナイフたちに関係なく、単にドナに花を手向けるために館にやってきた。ある意味、大学時代のドナの友達だったのだろう。だからこそ、エレンデイラがドナであることを早々に見抜いて怯えていたのだろうし、ドナが生きていた、また自分は騙されたということに、終盤、怒りが爆発したのだろう。

・眼科医モーガンも嘘はついていない。気の毒な役回りであった。お節介でなければ命が助かったものを・・・
ただ、昔からファイアフライ一家と館の存在を知っていて、ルーファスとドナが本当に姉妹なのか?と疑ってもいるので、詮索好きが身をほろぼしたと言える。

謎9:誰が誰を殺した?

(※2021年5月22日、配信を見て加筆修正)
谷間の館で起こった殺人は以下。

・シャンプーが、ガラを撃った。エレンデイラがドナだと確信してカッとしてドナを撃とうとしたが、ナイフからの電話に出ようとしたガラに誤って当たってしまった。

・ルーファスが、シャンプーを撃った。シャンプーがガラを誤射した後、ルーファスが銃を取り上げたところで舞台は暗転しているが、ハッケンブッシュが銃声を2発聞いたと言っているので、2発目はシャンプーを撃ったと思われる。シャンプーは既に大ケガを負っているが、エレンデイラがドナであると確信しているシャンプーを生かしておくわけにはいかなかった。

さらにルーファスは、ポルターガイスト現象のあと、ドナから地下室のセルマの遺体の秘密などを聞いたのだろう。そしてドナの意図のすべてを理解し、これから自分がなすべきことを瞬時に決意したのだろう。それは、ドナと自分のことを知るすべての人を、招かれざる客人たちを消し去ることだった。ここから怒涛の殺人が始まるのである。

・ルーファスが、眼科医モーガンを撃った。地下室の2つの死体を見つけ、館から逃げ出そうとしていたから。モーガンは撃たれる直前にドナの顔を見て驚いている。おそらく地下室で死んでいたセルマと似ていることにも気付いたのだ。

・ドナが、ハッケンブッシュを撃った。地下室の2つの死体を見つけ、さらにドナの正体、過去などを知っていたから。

・ナイフは劇中では生きているが、あのあと館に戻ると、ルーファスに確実に殺されるだろう(ドナは元夫のことを殺せないかもしれない)。

・ビビは生きている。知っている事実も少ないし、館に戻ってこない限り生きているだろう。
劇の冒頭に出るスクリーンに、「これは実話である。生存者の意向で…」といった旨が記してあった。実際には史実ではなく、実話であるというのは作品の嘘である。物語として、生存者がいたという設定にしているということで、その生存者とはビビだけだと思う。

謎10:ルーファスとドナはなぜ殺人を犯した? ~精神的に未熟な2人の狂気

劇中の出来事の前に、ルーファスが母親を、ドナがセルマを殺している。
この2つの殺人は、ルーファスとドナの社会性の無さ、世間知らずという次元を遥かに超えた狂気が起こしたもので、ためらいや後悔などもなかったのかもしれないと感じる。

ドナはセルマになり代わるためにセルマを地下室に閉じ込めたが、セルマがこのまま死んでしまう、とまでは思い至らなかったのかもしれない。地下室には大量の食糧があったし、ナイフたちを追い払うことができるまでしばらく隠しておこう、くらいの気持ちだったのかもしれない。なぜなら、ハッケンブッシュを銃で撃ったときに、ドナはすごく動揺していたからだ。あれほど嘘をついてきたドナなのに、である。動揺しているのが演技だとは思わない。むしろ強がって平気なふりの嘘をついたほうがドナらしいのだ。実際にはセルマは餓死という気の毒すぎる末路だったわけで、閉じ込めるというドナの行いは残酷そのものなのだが、とても人を殺し慣れているようには見えなかったのだ。

一方、ルーファスが眼科医モーガンを殺したときに、平然としていたのが印象的だった。ドナがハッケンブッシュを殺したときも、ルーファスが冷静に地下室に銃とともに隠していた。
冷徹すぎるルーファスの表情が怖いくらいだった。母親殺しを10代で遂行しているわけなので、ルーファスのほうが平気で残忍なことを出来てしまうのかもしれない。しかしこれも、血も涙もない残忍な性格だというより、ドナと2人きりの狭い世界で生きてきて、精神的に未熟すぎる、社会から逸脱しすぎている、つまり狂っているのだと感じる。

そして、この物語の悲劇への引き金を引いたのはハッケンブッシュだ。
実際に最初に銃の引き金を引いたのも彼だ。ハッケンブッシュが来なければ、ガラもモーガンもシャンプーも死ぬことはなかったのだ。
実は刑事だったハッケンブッシュは、口封じに殺されて気の毒だったけれど、エレンデイラの秘密を暴こうとして館にやってきたのだから、ある意味殺されても仕方がないのだ。

なぜハッケンブッシュはエレンデイラ(=ドナ)を追ってきたのか? ドナは病院で虚言癖を指摘され、医師や看護師らを騙して劇薬を盗み、患者に与えて殺したりもしていたと言っていたので、殺人の捜査のためだったのだろう。
こう聞くと、ドナは凶悪人のように聞こえるが、私はそうは思わない。患者に劇薬を盛ったのは、幼いころからそうだったように、ドナに近寄ってくる患者仲間が怖かったのかもしれない。ドナは、本当は心根が優しい人だと思うのだ。それを見抜いた人はドナを慕う。しかし愛を知らずに育ったドナは他者と親しくなるのが怖いので、子どものころのように近付いてくる人たちを遠ざけたかったのかもしれない。

実は私は、もうひとつの仮説を持っている。死にたがっている患者に安楽死の意味もあって劇薬を盛っていたのではないかと考えているのだ。患者たちは自ら喜んで飲んだとハッケンブッシュは言っていたのだから。
谷間の館では、ケガをしたシャンプーにも頭が痛いガラにも雨の中出かけようとするナイフにも、ドナはエレンデイラとして優しく接していたではないか。
私のなかのドナは、本当は心優しい女性なのだ。

謎11:ルーファスは何をいつからどこまで知っていた?

私にとって、これが最大の謎であった。
ルーファスは、いつからエレンデイラがドナだと気付いていたのだろう?

最初は気付いてなかった。
1幕の最初のほうで、ルーファスがエレンデイラをからかった後、ドナの幻影にエレンデイラのことを好きなのかと問われている。あれはルーファスが見た幻影だから、ルーファスはエレンデイラがドナだとは気付いていないとわかる。
自分の財布をすられたのに、エレンデイラをかばって家に連れ帰り、使用人として住まわせたルーファス。それは姉ドナにそっくりの外見にひかれたのだろう(本人なのだから似ているのは当たり前だ)。そして、人を騙すことを教え、一緒に谷間の館で暮らそうとした。ドナの思い出が残る館で、ドナと瓜二つのエレンデイラと。
姉ではないと思ったからこそ、安心してエレンデイラを好きになり、ずっと館にいればいいと言った。エレンデイラはルーファスが初めて愛した女性だったのではないかと思う。

1幕の中盤、ナイフがドナの墓を作ると言ったとき、ルーファスはその必要はないときっぱり断った。
ナイフがトイレを探すために館から出たあと、エレンデイラはルーファスに、「作らないんですか、お墓」と問うた。
ルーファスはエレンデイラに語りかける。ドナは生きていると。ずっとここにいれば会えるよと。
すると、「お姉さんが今帰ってきたら何と言うのですか?」等、エレンデイラはこれまでと異なる様子で言い、「ただいま!」とからかうようにドナの真似をして話し出した。ルーファスはさすがにムッとして「やめろよ」と怒った口調。しかしエレンデイラはやめずに、はしゃいだ口調でドナの真似を続け「懐かしいのよ!」と叫んで走り出した。幼い日、2人で追いかけっこをした日のように。
ルーファスはハッとした表情になりエレンデイラを追いかける。そして、後ろからエレンデイラをつかまえた。つまり抱きしめた。ルーファスは思わずしてしまったバックハグで思いがあふれてしまったのだろう、エレンデイラを正面から抱きしめなおした。はしゃいでいたエレンデイラの表情が一瞬で驚きに変わり、すっとルーファスを押し戻した。「ずっと好きだったんだから・・・いいだろ・・・なんとか言えよ」。懇願するような口調のルーファス。そして再度エレンデイラを抱きしめる。エレンデイラは一瞬その感触を味わったのち、再びルーファスを押し戻した。

このとき。おそらくこのときだ。ルーファスが、エレンデイラがドナだと気付いたのは。
ドナが失敗したのだ。ドナは生きているときっぱり言い、ドナへの思いをせつなそうに語るルーファスを見て、ドナはどんな気持ちだったのだろう。エレンデイラはドナ自身だが、弟が自分にひかれていくのがわかる。そしてドナもルーファスを愛している。なんて哀しい愛なのだろう。
ドナは決まりが悪くなったのか、からかいたくなったのか・・・おそらくどっちもだろう。ドナの真似をしてルーファスを挑発してしまったのだ。

ルーファスは、気付いたといってもまだ半信半疑の部分もあった。だから、2幕の庭のシーンでエレンデイラと2人きりになったときに、父親と一緒に写っている写真や父親殺しの新聞記事のこと、ドナはやっていないと信じている、といったことをエレンデイラに話し、反応を見たのだ。
エレンデイラはじっと立ち尽くして聞いていた。一筋の涙を流して。
その涙を見て、ルーファスはドナだと確信したのだ。

ただ、なぜドナがエレンデイラとして自分の目の前に現れたのか、8年間なにをしていたのかなどはまだわからなかったはずだ。
それらがわかったのは、穴から抜け出せなくなったハッケンブッシュが説明したからだった。
7年前に記憶喪失で保護され、病院に入院させられた女性。そこで行われた劇薬による殺人・・・そして施設からの脱走。
こうした話を聞き、ルーファスのなかですべてのピースがはまったのだろう。

謎12:ルーファスとドナの関係は? 2人は血がつながっている?

結論から言うと、2人は血がつながっているまぎれもない姉弟だと思う。そして愛し合っている。
劇の冒頭で、「あれ本当にお姉さんですかね?」という眼科医モーガンの言葉があり、観客を少し惑わせる材料になっている。
しかし、ドナかルーファスがたとえ愛人との子どもであったとしても、父親は同じだ。母親か父親の連れ子で再婚という設定であれば、2人は血がつながっていない可能性が出てくるが、おそらく違うだろう。
KERAさんが、実は血がつながっていませんでした、などという甘ったれたストーリーを書くはずがないのだ。
そして、姉弟だが愛し合ってしまった、というより、愛し合うしかなかったのだ。幼いドナとルーファスにとって、世界にはたった2人きりしかいなかったのだから。そもそも、血のつながりなんてあの2人には関係なかった。世間から見れば狂気の愛だけれど。
ルーファスとドナは2人きりで生きていきたかったのだろう。そのためには、姉弟だという事実を知る母親を殺す必要があった。
ドナは母親の陰謀でナイフと結婚させられていたけれど、自分のために母親殺しまでやってのけたルーファスの元に、いずれ戻ろうと決意していた。そのために夫から逃げ、失踪した。
つまり、ルーファスとドナは2人きりの世界を取り戻したかっただけなのだ。他の人を傷つけても。

母親以外は、最初から殺そうとしていたわけではないのだ。ナイフたちの策略がなければ、ドナはセルマを殺さなかった。
母親のことだって、ルーファスは本気で殺そうとしたわけではなかったのかもしれない。毒を盛って母親が弱って自分たちを支配しなくなればそれでよかったのかもしれない。
そしてルーファスは、ナイフたちを何度も何度も追い返そうとしていた。ハッケンブッシュが2人を追い詰めなければ、これほどの悲劇は起こらなかったのだ。

最終盤。地下室の秘密を知るモーガンとハッケンブッシュを殺したあと、ルーファスがドナを抱きしめる。やっとドナをつかまえて安心したかのように、その場に崩れるように座りこむ。するとドナがルーファスの頭を抱え込むように抱きしめ返す。ドナはまるで聖母のように見えた。ルーファスはまるで母親のお腹に戻りたい赤子のように、ドナのお腹に頭を預けてしがみついていた。ものすごくエロティックだった。
2004年のカメレオンズ・リップ初演では、このシーンは演じた堤真一さんと深津絵里さんの長いキスが話題になったそうだが、2021版の松下洸平さんと生駒里奈さんの抱擁は、キスよりももっと深く熱く、心の奥底からの叫びのようなものを感じた。世界は2人のためにあるのだなぁと、このまま2人きりで暮らせるようにしてあげたいなぁと感じるほどに。

ルーファスにとってドナは、姉であり、母であり、友達であり、愛する女性であり、この世のすべてだったのだろう。それが洸平さんの表情でわかった気がした。
私は、松下洸平さんはどのようにルーファスを解釈して演じているのか、ということを気にしながら毎回観ていた。
いつからエレンデイラがドナだと気付いていたのか? 姉であるドナをどう思っていたのか? 女として愛していたのか?
洸平さんは、演じるときに観客に届けすぎないようにしている、と常に言っている。観た人が自由に解釈する余地を残したほうがいいと。
ルーファスとドナのキスが今回なかったのはコロナのせいなのか? それとも敢えての演出なのか? キスがないために、2人の関係性の解釈は、より観客にゆだねられたように感じる。

初日は、洸平さんはまだ迷いというか観客にどう届くのかを手探りの状態だったのではないかと思う。
初日から計3日間の北千住1010での公演を終え、数日の休演のあと福島公演を行い、その後シアタークリエでの公演が始まった。私は北千住で2回観ていたが、クリエの初日は、まったく作品が違って見えた。全キャストが成熟した感があり、掛け合いや間がよくなっていた。何よりも、ルーファスを演じる洸平さんの迷いが吹っ切れたように見えた。
洸平さんは答えは言わないだろう。再再演もあり得る作品であるし、解釈は観客にゆだねたままだろう。
そう。観客は、それぞれ自分なりの解釈をしてよいのだ。
そして、私のなかのルーファスとドナは、究極の愛で結ばれているのだ。

〇おわりに

カメレオンズ・リップを初めて観たときは、銃声に何度もびっくりし、次々と人が殺されることに驚愕し、全然コメディではないではないか、と混乱してしまった。
しかし初日の後、長考して謎を解いたのち、再度観劇すると、ルーファスとドナの2人がまるで違って見えた。私の中の揺り動かされる感情の部分が変わっていった。驚きや疑念から、静かな哀しみと慈しみの気持ちへ。なんてつらい思いで生きてきた2人なのだろうと、2人のつらさに寄り添って観るようになった。
すると、私にとっては哀しい物語になってしまった。コメディ要素なんていらないのではないかとも思った。職業柄もあるのだろうが、そもそも私は人がケガや喧嘩をするシーンで笑うタイプではないのだ。ビビのシーンは何度も心から笑えてホッとできたが、所々にくすっと笑いが起こる程度に仕上げてもよかったのではないかと思ってしまった。
しかし、これこそがKERAさんの作品であるゆえんなのだろう。この作品をからりと笑って楽しむことができる人もいるのかもしれない。受け取り方はそれぞれでよいのだ。
そして、つらい過去と現実を抱えた2人は、2人にしか理解できないハッピーエンドを迎える。誰も2人を引き裂くことはできない。たとえ死ぬとしても絶対に2人一緒だ。これはある意味とてもロマンティックだ。KERAさんはロマンティストなのかもしれないと、最後に私は思い至った。

ナイフが館を出て行く前に、エレンデイラに「お前はなんだ?」と何度も問うシーンがある。印象的だった。ゾッとした。
「お前はなんだ?」と言いながら、「お前たちはなんだ?」と問うているように聞こえた。ナイフは薄々、エレンデイラがドナであることに気付きつつあったのだろう。しかし、ガラを愛していることに気付いた今、そんなことよりも、病気のガラのために医師を連れてくることが何よりも重要だったのだろう。

最後のシーン。ドナとルーファスがハッと空を見上げる。夜が明けたのだろう。
ナイフが館に戻ってくると、また「お前はなんだ?」と問うだろう。「お前たちはなんだ?」と問うかもしれない。そして殺されるのだ。

夜明けとともに、ルーファスとドナは2人だけの甘美な世界を取り戻したのだ。
それは、決して世間から理解されることがない、祝福されることなどあり得ない狂気の世界だ。
しかしそこには、究極の愛があるのだ。

〇雑感

・主演の松下洸平さんが素晴らしかった。甘えたで可愛い姿、寂しそうな姿、凛とした姿、冷徹な姿、優しい姿、そしてものすごく色気を感じる姿。さまざまな表情が美しかった。
笑っていても哀愁が透けてみえる。ルーファスという複雑な心性を持つ役は、洸平さんのハマり役だと思った。
ルーファス!ルーファス!! 思わずその名を呼んで、しっかりと抱きしめてあげたいと思った。温めてあげたいと思った。そんな魅力的なルーファスだった。
初座長だったが、カーテンコールの挨拶は堂々としていて、自信に満ちあふれていた。
「ベイジルタウンの女神」やライブのときのような柔らかい笑みではなかった。闘っている人の強さを感じる笑みだった。いい意味でギラギラした、ドヤ顔に近いものを感じて、洸平さんはこういう顔もするのだ、と感動した。
「ちゃんと観てくれた?観たよね?どうだった?僕たちの芝居どうだった?」
そんな声がカーテンコールのときの洸平座長から聞こえてきそうだった。

・生駒里奈さんも素晴らしかった。ドナとエレンデイラの声のトーンの使い分けに最初は苦労していたようだが、だんだん落ち着いた声になっていった。なによりも、あれだけ声を張り上げているのに、千穐楽まで声が枯れないのがすごいと思った。か細い体にパワーがみなぎっていた。

・ルーファスとエレンデイラが追いかけっこするシーンが多く、舞台狭しと走り回るのが、転ばないかといつもハラハラしていた。
ルーファスが手帳を投げ、エレンデイラが受け取るシーンもハラハラした。失敗した日もあったらしい。

・ファーストサマーウイカさんの演技を初めてみたが圧倒された。初演で犬山イヌコさんにあて書きされたガラという役柄が、完全にウイカさん仕様になっていた。ナイフをまっすぐに愛するキュートなガラだった。

・岡本健一さんは貫禄の演技。少しずるい感じも含めていつ観てもカッコよい。作品全体に重しのような安定感をもたらしていた。
・シルビア・グラブさんも安定感抜群。役柄からも自然に笑うことができ、唯一ホッとして観ることができた。
・坪倉由幸さんは、本当はとても嫌な役柄なはずが、なぜかほのぼのとした雰囲気があり、動きもコミカルで憎めなかった。
・森準人さんは、とぼけた感じがまさにかんぴょうという表現に似合っていて面白かった。独特の鳥の声も森さんがやっていて味わい深い。
・野口かおるさんは、大ケガをするシーンで毎回本気で洸平さんを笑わせようとしたようで、洸平さんも素で笑ってしまった回もあり面白かった。

・音楽が素晴らしい。これを書いている間中ずっと、オープニングとエンディングのメロディが脳内で鳴っていた。オープニングはハープの音?エンディングはオーボエ?美しかった。随所に挿入される音も印象的で観客を怖がらせる効果抜群。
・舞台装置は簡素だったが、背景を入れ替えるだけで上手に館の中と外に使い分けているなど見事だった。
・プロジェクションマッピングも随所に効果的に使われていた。水槽のカラクリは面白かった。
・KERA CROSS第3弾ということで、KERAさんの作品を河原雅彦さんが演出した作品。KERAさん自身が演出した2004年の初演も観てぜひ比べてみたいと感じた。
★2021年5月24日追記
配信で何度も観ているうちにどうしても2004年の初演を観たくなり、中古DVDを購入して観た。演出が異なるのは当然として、台詞も結構変わっているので驚いた。初演の方が全体的に軽いノリで、これであればコメディと言われても違和感がないかもしれないと感じた。
今回の再演でトリッキーな存在感を放っていたシャンプーが初演ではそれほどでもなかったこと、そしてラストのルーファスとドナのキスシーンも観て、私の解釈はこのままで良いと感じることができた。

★東京千穐楽の日のカーテンコールの様子を記した私のツイートを貼っておきます。大阪公演中止が決まって迎えた楽日だったので、洸平座長はじめキャストには万感の思いがあったようです ↓

★2021年5月16日追記(大千穐楽後に…)

5月15日の新潟県長岡市での大千穐楽。観に行きました。東京千穐楽から20日ぶりに観たのですが、考察と感想は変わらなかったので変更しません。
コロナによる緊急事態宣言が出て、4月26日の東京千穐楽は公演できたけれど、大阪公演が中止になったため、次の公演は5月6日の名古屋。10日間も空いている。そしてさらに10日間空いて長岡での大千穐楽公演でした。キャストはその間、他の仕事をしているし、集中力を保つのは大変だったと思う。セリフなどを覚えておくことも。
しかし、大千穐楽公演も素晴らしかった。テンポもよく締まった公演でした。
些細なハプニングは舞台につきものですが、2幕でシャンプーが発砲する本来のタイミングより早く銃声が鳴ってしまうという大きなハプニングがありました。本来の流れを知っている私は一瞬焦りました。もちろん一番焦ったのは撃たれる予定のガラだったんじゃないかな。シャンプーも。でもガラは冷静でしたし、その場にいたキャスト全員が芝居をつなげリカバー。シャンプーは再度ガラを撃ちました。スムーズにつながっていたから、初見の人はこういう芝居なのだろうと思ったんじゃないかな? 改めて舞台俳優さんの臨機応変さに感動しました。

カーテンコールは3回で、キャスト全員の挨拶もありました。それらの様子は直後の私のツイートを貼りますのでご覧ください。雑ですが、臨場感はこれに勝るものは書けないなと思いました (。•ᴗ-)  ↓

そして大千穐楽後にキャストがアップしたインスタです。この3人はたくさんの思いを綴っていて感動します(๓´˘`๓)♡   ↓

★KERA CROSS第3弾 カメレオンズ・リップ(2021)日程
4月2日~4日(東京・北千住シアター1010)
4月11日(福島・南相馬市民文化会館)
4月14日~26日(東京・シアタークリエ)
5月6日(愛知・日本特殊陶業市民会館)
5月15日(新潟・長岡市立劇場)
※5月2日~4日(大阪・サンケイホールブリーゼ)の予定がコロナ緊急事態宣言中のため中止
5月20日~23日(配信&アーカイブ)

★観劇日2021年4月2日、4日(北千住シアター1010)、4月14日、20日、24日、26日(シアタークリエ)、5月15日(長岡市立劇場)

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