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【撮影の裏側】YouTube再生回数1500万回突破!PnB Rock "MIDDLE CHILD Ft. XXXTENTACION"

Atlantic RecordsアーティストのMV撮影の話があり、ピッチを行うと聞いたのが、6/21。

ピッチが見事成功し、pre-producitonを始めたのが、6/29。それは撮影予定日の10日前だった。

過去に撮影現場で一緒に仕事をしたクルー達から、MV撮影は鬼のようだと聞かされていたにも関わらず、私はアメリカにいる間にMV製作がしたいとずっと願っていた。それでもなかなか縁が無く、学生ビザが切れる前にもうMV撮影の話は入ってこないだろう。。。と、希望を失っていた矢先のグッドニュース。

そこで私は大学卒業後1年間、制作会社で培った知識をフル活用して、プロデューサーShaynaのもと、Production Coordinatorとしてできる限りのことを率先して行った。正直、上に言われてから行動するのではなく、先を考えて自分ができること、確認しておきたいこと、疑問などをリスト化している時は、自分の成長に気付ける瞬間であった。

約1年前の2018年6月に亡くなったラッパー XXXTentacionの追悼作品ということもあり、そのアーティストの子ども時代役のアクターを選ぶ際は、レーベルの承認に加え、アーティストの家族の了承を得なくてはならなかった。家族の要望にぴったり合うアクターがなかなか見つからず、メインキャストが決定したのは結局撮影の2日前になった。また、レーベルのこだわりが強く、当日まで女性役者が決まらなかった。

XXXTentacion役 Armant

PnB Rock役 Rahja


何よりも大変だったのが、アーティストの一身上の都合によりレーベルから「撮影を来週に延期した場合の全コストを算出してくれ」と依頼があったことだ。撮影前日の依頼であったため、撮影許可申請やプロップレンタルなどにキャンセル費が発生したり、クルーやアクターとのスケジュール調整、ロケーション探しのやり直しの必要が出てくるなど、”一身上の都合”だけを理由に撮影を延期するのにはクライアント側にとってもロスが大き過ぎる。幸い、MV撮影はスケジュール通り決行が決まったが、この経験から私はMV製作のゲリラ性に少し触れたのではないかと思う。

撮影日のスケジュールは、8時クルーコール、20時クルーラップのスケジュール。私は6:30に現場入りし、22時には現場を離れた。この短時間で全てのショットを撮り終え、クオリティの高いMVが仕上がったのは、一人一人のクルーのプロ意識と、プロデューサーが揃えたチームの団結力、そして監督Derek Pikeの統率力だと感じた。アート部門は一人で回され、撮影が行われている間も常にアート制作が進行していた(trap juiceスタンドも当日に完成)。

MVの撮影において一番厄介なのが、アーティストライダーと呼ばれる、アーティスト指定の食べ物・飲み物・スナックを揃えることだ。クルーには昼食(ケータリング)の他に撮影場所に常備されているクラフティ(おつまみ系)が用意されるが、アーティストの控え室はそれとは別に、事前にアーティスト側からリクエストが送られてくる。このブランドの水を冷やされているものと室温のものそれぞれ何本、とか、手羽先の三角形の方だけ(ドラムはダメ)、とか、タコス各種とそれを温めておけるバーナー付きフードラック、など。これら全てをもれなく揃えるために、予算づくりの段階から、アーティストライダー分を比較的多く見積もっておくのだ。

結果、完成した作品は撮影の1ヶ月後、8/8にYouTubeで公開され、公開8時間以内に100万回再生を超える話題の作品となった。

監督Derek Pikeについて

日系アメリカ人のDerekは過去にEnrique Iglesiasや R.CityをフィーチャーしたRed Oneのヒット曲"Don't You Need Somebody"のMVや、Bud Light, MonsterのCMを監督・制作。


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