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父母の絵

「アメトーーク」の「絵心ない芸人」を見ながら
急に既視感に襲われた。
蹴り足だけ描かれたボードに
空手のハイキックの絵を描かせるミッション。

「こういうの絵が一般的に描ける人でも難しいと思うけど……」
そう思いながら、なぜかこの構図に見覚えがあると気付いた。

あれ?これおとん描いてたな?

それは遡ること、30年前。
私が小学生の頃、父が何度も何度も描いた落書き。
なぜか、いつも「ハイキックしている人」の絵を同じ構図で描いた。
それがやたら上手だった。
チラシの裏とか、漫画雑誌の隅っことか。
極真空手をしていた父は、上半身裸で砂浜をジョギングしたり、
瓦割りをやったり、ウエイトリフティングの器械を買ったりして、
謎に身体を鍛えていた。

いっつも同じハイキックの絵は
他の角度から描かれることは一度もなかった。
多分、実家に帰って空手の絵描いてと言ったら
同じ構図で描いてくれると思う。
(あるいは恥ずかしがって描かない可能性もある)

そういえば、母も絵を描いていた。
右半分の女性の顔で、絶対口元にほくろがある。
輪郭は描かない。
絶対同じ絵。
あれ、マジでなんやったん?
それもめちゃくちゃうまかったのだが。

一応、二人とも絵が上手い方の人だったけど
他の構図で描いてって言っても無理だったかもしれない。


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