見出し画像

Japon Dance Project 2018 × 新国立劇場バレエ団 Summer/Night/Dream 夏ノ夜ノ夢

2018/8/26日 14:00- 新国立劇場 中劇場

演出・振付・出演:JAPON dance project
JAPON dance projectメイン・メンバー:遠藤康行、小池ミモザ、柳本雅寛
美術:長谷川 匠
照明:足立 恒
衣裳:ミラ・エック
演出・振付・出演:遠藤康行、小池ミモザ、柳本雅寛
キャスト:
 妖精の国の王 オベロン:遠藤康行
 妖精の女王 タイターニア:小池ミモザ
 妖精 パック:柳本雅寛
 ハーミアに片思い デミトリアス:服部有吉
 デミトリアスに片思い ヘレナ:津川友利江
 ライサンダーの恋人 ハーミア:米沢唯
 ハーミアの恋人 ライサンダー:渡邊峻郁
 池田理沙子 柴山紗帆 渡辺与布 飯野萌子 川口 藍  益田裕子 原田舞子

このシリーズで初めて、ストーリーものに挑戦した公演。ものすっごく面白かったです!

作品は二部制、一部はシェイクスピエアの「真夏の夜の夢」のストーリーを多少デフォルメして表現した世界。まず、舞台美術が素晴らしい。銀色の四角いプレートを連ねてぶら下げたセットと、それに反射するライトが舞台の上や劇場の壁に作りだすミステリアスな輝きで、客席まで神秘的な夜の森に迷い込んだようでした。人間世界は主に赤を使った(唯ちゃんだけ赤がなかったような?)衣装で、特にデミトリアスとライサンダーのそれはかなりスタイリッシュ。一方妖精達は色彩のない衣装。恋人達を混乱に陥れるのは花のしずくではなく、仮面を使うというアイディアもなかなか。仮面をかぶるとみんな催眠状態になるイメージかな。恋人達の関係が混乱し、そしていつの間にか元に戻ったと思ったら、なぜかパックがパンイチで登場し、そしてデミトリアスが仮面をつけて舞台に残り、一部の幕。
音楽は、要所要所であのメンデルスゾーンの真夏の曲を使い、それ以外にもいろんな曲や効果音を使っています。

二部、今度は一部の衣装が天井から吊られていて、ダンサーは全員ボディファンデーションなどのミニマムな衣装。二部は一部に比べるとかなり抽象度が高くなっているけど、メンデルスゾーンの真夏の中でも有名なあの結婚行進曲は出てくる。衣装を脱ぎ捨てた本質を表現してるのかな、と思ったけど、最後は舞台の奥の扉が開き、その先の光の中にデミトリアスが一人消えて行くシーンで終わる。もしかしたらすべては病めるデミトリアスの夢だったのか・・・。

いろいろな解釈の余地が残されてる作品だと思います。こちらの記事をあわせて読むと面白いかも。 http://spice.eplus.jp/articles/204134

さて、作品もなかなか見応えがあったのですが、それを更にパワーアップしていたのは間違いなく、ゲストで参加した服部くんと津川さん!このカップルのわちゃわちゃが可愛いこと。そして二人の動きの素晴らしいこと!津川さん、四つん這いで犬のようにくんくん匂いを嗅ぎながらという衝撃の登場シーン。この動き、プレルジョカージュっぽい!とことんウザく(褒めてます!)つきまとうハーミアを避けまくるデミトリアスのキレキレな動きがもー気持ちよすぎて、服部君には目が釘付け。私がハンブルクバレエを観だしたころ、既に彼は移籍していて、実はナマで彼が踊るのを観るのは初めて。もうとうに現役は引退していると思ってたけど、こんなに踊れるとは・・・!彼は自分で作品もつくれる人だし、また昔のように日本で公演やってくれないでしょうか。

もう一つのラブラブカップルでは、渡邊君がコンテも上手いな、と。唯ちゃん、今回は可愛い役だけど動きには強さがあり、踊りのタイプとしてはミモザさんに通ずるものもある(キャラは全然違うけど)。どうしても重心が高いからクラシックぽくはなっちゃうんですけどね。

ミモザさんは立って出てきただけで女王の風情。本当に恵まれた素晴らしいプロポーション。遠藤さんは踊りは控えめで、どちらかというと妻に頭の上がらない夫というコミカルな役作り。柳本パックは見事に狂言回しなんだけど、いわゆる跳ね回るパックのイメージとは程遠く、ふてぶてしい感じ。いや柳本さんそのものっていうか(褒めてます!)

ところで、この作品のラストシーンを観て、ノイマイヤーの冬の旅のラストを思い出した、という人も何人か(私は観たことないんです・・・)。あれも服部君が最後にああやって奥に一人で去っていくようです。

カーテンコール後、幕を開けてくれて舞台セットを撮影していいですよ、とのことだったのでパチリ。これは一部と二部のセットが一緒に出ちゃってるけど、別々の方がもっと印象的なのですよ。ちょっと残念。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?