見出し画像

ハンブルクバレエ ニジンスキー

2018/5/19土 19:30- ハンブルク歌劇場
Hamburg Ballet Nijinsky

Vaslav Nijinsky: Alexandre Riabko,
Romola Nijinsky: Hélène Bouchet,
Bronislava Nijinska: Patricia Friza,
Stanislav Nijinsky: Aleix Martínez,
Serge Diaghilev: Ivan Urban,
Eleonora Bereda: Anna Laudere,
Thomas Nijinsky: Carsten Jung,
Tamara Karsavina: Xue Lin,
Leonid Massine: Jacopo Bellussi,
The Dancer Nijinsky: Karen Azatyan, Lloyd Riggins, Alexandr Trusch

Music:
Frédéric Chopin, Robert Schumann, Nikolai Rimsky-Korsakov, Dmitri Shostakovich

Choreography, Set and Costumes: John Neumeier
based partly on original sketches by Léon Bakst and Alexandre Benois

Conductor: Simon Hewett
Orchestra: Philharmonisches Staatsorchester Hamburg

5月中旬の週末+αでハンブルクに弾丸遠征してきました。お目当てはサーシャ・リアブコのニジンスキー。次の日に椿姫のマチソワもあり、現地滞在2日+数時間というスケジュールでしたが充実した遠征でした!

この日のニジンスキーのキャストは日本公演のファーストとほぼ同じですが、残念ながらシルヴィアがカルサヴィナ役を降板してXue Linが代役、そして金の奴隷&牧神には怪我でシーズンあたまからずっと休んでいたカレン・アザチャンが復帰しています。

サーシャのニジンスキーを観るのは、もう何回目になるのだろうなあ。ひょっとしたら20回近いかも・・・

キャスト表の表紙によると、この作品がこのバレエ団で上演されたのはこの日で136回目、そのうち彼が主演したのはひょっとすると80回くらいかもしれない。その中の20回を観たとしたら、極東の地に住んでいる身としてはかなり頑張ってるな。

それだけ何度も観ても、あの重たいラストの幕が下りた途端「・・・もう一度観たい!」と思ってしまう。二幕の途中からは涙が止まらなくなってしまう。私にとってサーシャのニジンスキーはそんな存在なのです。

サーシャのパフォーマンスのクオリティは常に高くて期待を裏切らないけど、日によって印象に違いはある。この日のニジンスキーは、昨年5月に観たDVD収録の際のビリビリと張り詰めるような緊張感や、今年2月の日本公演の深い慈しみを湛えたムードとは違い、こんな痛い作品にはおかしな言い方だけど、とてもリラックスして踊っているように見えました。

とはいえ、ニジンスキーの苦しみはやっぱり観ている方も辛い。2012-13年頃に観た彼のニジンスキーは、爆発的とも言える狂気に圧倒される感じだったけど、最近のはもっと内省的で、痛いほどの孤独感が伝わってくるなぁと今回もまた思う。全身全霊で淋しい淋しいキャラクターを演じている舞台上の彼が、愛おしくてなりませんでした・・・。

この週末は月曜まで連休で出かけている人が多いらしく、会場は7-8割の入りという淋しい状況。でも、観客の反応は熱狂的で、最初のカーテンコールでサーシャが一人で出てきたタイミングで一階前方席はスタオベに。これ、ハンブルクでは物凄く珍しいことです!日本公演のときほどじゃないけど、サーシャも観客の反応に目を潤ませていました。

ちなみに私は1列目にいたのですが、2列目にいたボリショイのスミルノワ(椿姫に客演中)も早々に立って拍手してたのを目撃いたしました♪

この日は彼にしては珍しく、かなり時間をかけて楽屋口に現れたサーシャ、日本人ファン(初めてお会いする方が沢山いました)や現地のファンが彼を拍手で迎えると、少しはにかんだような笑顔に。

疲れてない?って聞くと、舞台の後に(役から戻ってくるのに)少し時間が必要だった。ニジンスキーをハンブルクで上演するのは久しぶり(その間にバーデンバーデンと日本ツアー)だけど、やっぱりこの作品はここで創られたんだなとしっくりくる。などと、上機嫌で、尋ねられていないことまで、その場にいた人達にいろいろ話してくれました。可愛い♥

ここまでサーシャ大好きってことしか書いてない!これ本人に読まれたらめっちゃ恥ずかしい、極東の国の言葉で書いてるからこそさらせる醜態ですな。

さて、サーシャ以外のことを。

実はニジンスキー、生オケでの上演は久しぶり。この日の演奏、シェヘラザードは途中であれれ?と思うところもあったけど、ショスタコ11番は凄かった。やっぱり生オケで観るのは格別。二幕はあの音の圧も演出の1つだと思うのです。

そして、ダンサーではこの日はディアギレフ役のイヴァンがめちゃくちゃ素敵だった・・・!いや彼はいつも素敵なんですが、この日はとにかくセクシーだなぁと。1幕のニジンスキーとディアギレフの怪しいパドドゥ、ほんと大好物。イヴァンとサーシャの間に見える愛情と葛藤、たまりません。あああOpus100がまた観たい・・・

金の奴隷と牧神の役で久しぶりに舞台に戻ってきたカレン。周囲を圧倒する存在感があってセクシーで野性味があって、やっぱり私、この人凄くいいと思う。ただ、まだちょっと不安定なところがあり、本調子じゃないのかなと思わせました。早く完全復帰してね!
カルサヴィナがシルヴィアでなかったのはかえすがえすも残念。彼女の強い強いカルサヴィナ、すっごく好きなのに。しかもサーシャは相手が彼女だと全く相手を見ずに踊っても息がぴったりで演技に没頭できる感じがするけど、Xueには少し気を遣ってました。

演出は、日本公演で文化会館に合わせて変えたところがそのまま残ってました。金の奴隷のシーンでディアギレフが新聞記者にインタビューを受けるところ、ハンブルクの歌劇場の裾は狭すぎるので、ロイドは客席に降りてましたよ。あと、最後のシーンで椅子を巻き込む演出は、日本でも途中で断念してましたが、やめたみたいです。

ニジンスキーは5月に4回公演があり、バレエ週間で1回、来シーズンは2月に3回です。次はいつ観に行こうか、もうそんなことを考え始めてて、すっかりジャンキー・・・。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?