菊池英夫

元放送作家。現在は新卒事業を営み会社を経営しています。 今までは放送作家の日々について…

菊池英夫

元放送作家。現在は新卒事業を営み会社を経営しています。 今までは放送作家の日々について書いていましたが、今後は一人の経営者としての日々を書いていきます。 会社概要→https://vinc.co.jp/

最近の記事

一度も会社に入ったことがない元放送作家に会社経営はできるのか?

僕は現在、新卒向けの就活支援をする会社を経営しています。 もともと就活の名人として就活界隈では一定の知名度があるインフルエンサーとして活動していました。 (@meijn_job) その事業を拡大させて自分たちが掲げるミッションの下に戦いを挑もうと決意して組織を拡大している状況です。 で、そんな僕はもともと放送作家といってテレビ番組の企画を考えたりする仕事をしていました。 僕は放送作家としてキャリアをスタートさせたので、実は正社員で会社に入ったことがありません。(イン

    • 若手映像グランプリ2023で個人的に面白いと思った企画まとめ

      去年のRaiken Nippon Hairで度肝抜かれたテレ東の開催する若手映像グランプリ。これ要チェックの企画なのですが、今年も開催されていて現在作品を見ることができます。 僕もエントリーされた16作品をすぐにyoutubeで視聴しました。その上で、かなり感動した企画も多かったので個人的に「これはオススメ!」みたいな企画を列挙してみます。 ネタバレになるのも良くないと思うので、やんわりとしたレビューにします。続きは是非動画を見て見てください。※尺的にもすぐに見れるのでオ

      • 一般の人にM-1出たいから漫才台本書いてくれと頼まれた話①

        「あのー、M-1に出たいので漫才台本書いて欲しいんですが。。。」というDMが来たのは去年の5月中旬のこと。全く面識のない一般人の山本(仮)さんから届いたその文面に思わず面食らったが、無下にするわけにもいかずやりとりを続けた。 それで分かったことは、 お笑い経験は一切ないが、友人とコンビを組んでm-1に出場したい 思い出作りではなく本気で決勝を目指したい 10秒に1回はボケて最後に山場を作りつつ斬新な設定で勝負したい しかしネタを作れないので作家さんに書いて欲しい

        • トライアル番組を複数回に分けて放送するのは良い施策だなと思った話

          トライアル番組というのはレギュラーを狙った一回限りのお試し番組のことを言います。各局このお試し番組を試す枠が存在してまして、現在でいうと水曜ネクスト、ドラスティックマンデーなどがあります。深夜や土日のお昼などに多く設置されています。 このトライアルによって、出来の良さが上層部に認められると2回目に進出でき、さらに出来が良いと判断されればレギュラー番組に昇格します。なので、レギュラーを目指して多くの番組がこのトライアル枠で凌ぎを削っていきます。 このトライアルは1時間番組一

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          相次ぐテレビマンの退職。佐久間さんの先例。テレビのこれから。

          2022年の年末、テレ朝と日テレでかなり活躍されていた演出家がそれぞれ退職のツイートをされていた。去年はテレ東の上出さんも退職もあったし、その前は佐久間さん。こんな感じでテレビで優秀だった人がどんどん局から離れて独自の動きをし出している。これは別に今に始まったことではなくて、テレビ局も普通の会社だから退職する人はいるし、逆に新しく入ってくる人がいる。そういう流動性が起こることはテレビ業界としても活性化に繋がるから個人的には全然アリだと思っている。 佐久間さんがテレ東を出てか

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          「面白い」よりも「脅威」を感じさせる企画を〜既視感からの逸脱〜

          今年はただ面白い企画よりも周りに脅威を感じさせる企画を作ろうと思ってます。というのも某局の編成さんと話していて、「他局の特番を見ていて、これがレギュラーになったら嫌だな」と思うことがたまにあるらしく、そういうのは大体レギュラーになって脅威的な存在になると伺った。 年間で各局の新番組の特番はたくさん流れているけど、それが何回かのトライアルの末にレギュラーになる確率はごくわずか。レギュラー化への道は益々厳しくなっているように感じるけど、テレビマンたちに脅威を感じさせる企画は必ず

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          AとBの選択肢があったときに、Cのアイデアを出せる人がクリエイティブ

          クリエイティブって何だろうとずっと考えていたんですが、テレビの現場で自分が思うクリエイティブな人をよく観察してるとタイトル通りの人だなーと思ったので少しまとめてみます。 コンテンツ作りって判断の連続なので、多くの人たちと一緒に一つの意思決定をするプロセスが必要になります。これが結構面倒だったりするんです。理由としては「最適解」はそれぞれも心の中にあるのでなかなか会議で満場一致になるアイデアが出ないからです。 そのためにチーフの放送作家や総合演出家が「これだ!」と決めていく

          AとBの選択肢があったときに、Cのアイデアを出せる人がクリエイティブ

          テレ東、出禁になってもいい?と言われた日

          長澤まさみさんが出てるエルピスのドラマ。企画は上出さんという元テレ東にいた天才ディレクターが企画参加しており、エンディングも上出さんの作成によるものだった。 僕は今年、上出さんがテレ東を出る前に最後の番組になった「空気階段の料理天国」に作家として参加させてもらう。竹村さんという、ググってもらえれば一発で分かるほどの天才作家さんもいて、まあとにかくやばい番組だった。 僕がその上出さんに初めて会った時に言われたのが「僕はね、テレビのテロリストなんですよ」だったこともあり、平和

          テレ東、出禁になってもいい?と言われた日

          放送作家になる道がハガキ職人からだけだったら、僕はなれてなかった

          放送作家になる方法は今も昔も色々とあるけど、わりと昔はハガキ職人からなるのが王道路線だったりした。つまり、深夜番組にハガキを投稿して、それが読まれてある日突然ディレクターから連絡が来て「収録遊びにくる?」なんて言われてそのまま作家になったり。もしくは番組で読まれるようになったら日本放送まで行って出待ちしてスタッフや演者に声かけて「作家になりたいです」と言ってみたり。このケースで作家になってる人は何人もいる。 それでもし現代もこの方法が主流だとしたら僕は確実に放送作家になれな

          放送作家になる道がハガキ職人からだけだったら、僕はなれてなかった

          クリエイティブの持続寿命:継続してアウトプットすることは難しく、これにより死にけり

          今、僕の一人のクリエイターとしての問題点は継続的に番組の企画アイデアを出せないということに尽きる。どういうことかというと、例えばある放送作家は必ず1日に1個は番組の企画を考えてそれをペラ一枚の企画書にすることを日課としている。そうすることで企画のストックを貯めることができるから企画会議がいつ起きても対応することができる。 僕も一時期そうやって毎日何個は企画案を作るぞ!と意気込んでいた時があったけど、途中でどうしても続かなくなってしまった。それで調子が良い時に「ダー」と企画案

          クリエイティブの持続寿命:継続してアウトプットすることは難しく、これにより死にけり

          大事にしてくれる人を大事にしよう

          今まで仕事で色んな人に出会ってきた。本当に色んな人がいて勉強になったし、鍛えられた部分はあるかもしれない。 というのもテレビの世界は実力社会ではあるものの年功序列がはっきりとしているので、年上や経験が上な人たちは割と厳しく下の人間に当たってくる。 それで、ADさんとか若手のディレクターにヤバい態度で接する人も見てきたので、僕は優しく接しようと心がけてきた。 放送作家は特殊なポジションであり、「作家さん」ということであまりヤバい扱いは受けづらいし、キャリアを重ねていくとそ

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          例えば今この場所に放送作家がいる物理的価値について

           例えば僕よりも才能豊かな放送作家は腐るほどいるわけだけど、その会議に放送作家が僕しかいなければ、その場で放送作家的な価値を与えることができる人間は僕しかいない。その場で物理的に一緒に番組の問題点に対して悩める人間は僕しかいないのだから、他の放送作家のことなんて関係ない。ただその空間に僕のノウハウと技術を売るだけなのだ。  バッハよりピアノは下手かもしれないが公民館でピアノを弾くアマチュアのピアニストがその場の観衆の心を打てることがある。バッハにはそれができない。その場にい

          例えば今この場所に放送作家がいる物理的価値について

          6月の放送作家

          2022年6月。梅雨に入った。各局の企画募集のタイミングが6月に被っていることもあり、連日のように企画会議をして頭を悩ましている。多分今週は企画書の作成の山場なので多くの放送作家が眠たい目を擦りながら企画書を書いていると思われる。お体ご自愛ください。僕はそんなに抱えてないです。 今年4月の特番で僕がずっと一緒に仕事をしていたいと思っていた作家の竹村さんと激ヤバディレクターの上出さんとご一緒させてもらい、考え方が少しだけ変わった。やっぱり誰もやってないこと、全然周りと違う企画

          6月の放送作家

          4月から2本の番組がスタートするのでその告知

          告知なのですが、4月から番組が2本スタートします。 まず、BS松竹東急で歴史番組「号外!日本史スクープ砲」が毎週日曜の夜9時からレギュラースタート。BSとはいえ日曜の夜9時というのは人が一番テレビを見る大事な時間です。しかも開局したばかり。そこを任されてるので気が抜けません。 4/10が初回です。一発目は坂本龍馬の裏金問題です。文春砲みたく歴史の偉人たちのゴシップをすっぱ抜いていったら面白いんじゃない?っていうアイデアから出来ました。 初回SPは2時間。その分量の台本書

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          アイデアを企画に落とし込んでいく技術が伸び悩んでいる

          脚本家の古沢さんがインタビューで「技術に引っ張られて書きたいものが出てくる」と言っていて、僕が言語化できてなかったことがスッと言語化されていて感動した。 僕は僕の中で「これは面白い」と思う素材や切り口があって、日々メモしてるんだけど、それを実際にテレビの企画に落とし込んでいくには技術的なスキルが必要になる。そのスキルがあればあるほど、小さな面白いを番組の企画にまで展開できるんだけど、僕はまだそのスキルが足りてない。なので、自分が面白いと思っているものを上手く表現できないし、

          アイデアを企画に落とし込んでいく技術が伸び悩んでいる

          放送作家になって最初の仕事はゴミ屋敷探しだったけど、ここまでこれた

           僕が一番最初に参加した番組はテレビ東京の番組で、坂上さんがMCだった。汚い店や街を掃除しにしいく企画で、僕は汚い店や街を探してここ掃除したら面白いんじゃないかとネタ出しするのが初仕事だった。そこにいたのがのちにお世話になる売れっ子の八坂さんだったので、ズブの素人だった僕は資料の作り方や会議での振る舞い方などを手取り足取り教えてもらった。その番組は本当に大変で、蒲田に行って自主的に電動自転車を借りてゴミ屋敷を捜索したり、ネットで汚いと言われるラーメン屋に突撃して厨房を見せても

          放送作家になって最初の仕事はゴミ屋敷探しだったけど、ここまでこれた