八朔

成人女子。どこに向かうか。本を読み、特撮に燃え、キスマイの曲に乗り、Vtuberにとき…

八朔

成人女子。どこに向かうか。本を読み、特撮に燃え、キスマイの曲に乗り、Vtuberにときめきながら、文章を書いて配信をする。チームなあなあのツインカムターボ。ツイッター(@kikuya_log)読書メーター(https://bookmeter.com/users/1086655

マガジン

  • 短いお話

    ミスiDチャンレンジ期間中にできるだけたくさんお話を書こうと思って書いています。最早修行笑

  • 史緒ちゃんと佐藤さん

    原案 莉紗  小説 八朔 生き方の全く違う女子が出会った話。

  • ともだち

    女の友情はドロドロしてる、みたいな話ではありません。ただただ、【あの子】と友達でいたい、という話。【あの子】は特定の人ではありません。私にとっての【あの子】はたくさんいます。

  • お喋り読書家八朔の書評未満

    読んだ本の感想をまとめています。 こちらで感想をまとめた本については、配信アプリ「ツイキャス」にて配信を見ている方と喋りながら、感想を語る予定です。 紹介する内容、ピックアップする点は基本的に記事と同じですが、ツイキャスはライブ配信なので、予定調和にはなりません。 ツイキャスの方も興味があるな、という方はぜひ、こちらから。 https://twitcasting.tv/c:eureka0202 *各本の配信予定日時ついては、記事内に表記します。 *ツイキャスを見る際に、会員登録等は不要です。 *リンク先は八朔の配信ページに直接繋がっています。 *配信履歴には、過去の配信もあります。 (恩田陸作「蜜蜂と遠雷」については実験的配信だったため、note記事がありません。)

  • 読書録

    自分の読んだ本の感想をまとめています。

最近の記事

ファンレターのすゝめ

私はファンレターというものを書くのが好きだ。 最初にファンレターを書いたのは誰だったろうか。たぶん、福士蒼汰さんのファンイベントだったと思う。当時からキスマイオタクだった姉に「直接手渡しできるタイミングあるかもしれないから書いて行け」と言われた覚えがある。プレゼントボックスに1通と、手渡しできるかもしれないように1通。合計2通書いた。結局手渡しはできず、どちらもプレゼントボックスに入れた。 それ以降、私は割と頻繁に、ファンレターを書くことになる。 仮面ライダーのキャスト

    • 【お話28 青春に酔い】

      「青春の味がする」 チューハイの缶を傾けながら、南が呟いた。 「なにそれ?」 咲良は隣で炭酸水を飲む。咲良も、去年二十歳になっていたが、お酒もたばこも好きじゃない。 お酒のカロリーを恐れ、タバコで肺活量が落ちるのを恐れている。 南は、どちらもそれなりに嗜んでいる。 「いや、なんかさ。レモンサイダーって青春って感じじゃん?」 「南が飲んでるのって、チューハイだよね?」 彼女の手にある筒に目をやる。全くかわいくないパッケージで、ストロング系のチューハイであることに間違いない。 「

      • すみません。これ読んでもらっていいですか?

        自分の顔は嫌いじゃない。でも横顔の写真を見ると、鼻低いなぁって思う。でも、本当に、自分の顔嫌いじゃない。 ミスiD2022。オンライン面接へ行けなかった。 毎日毎日、気力だけで物語を書いていた。これが私のやりたいことです、とはっきりさせるために。ぶれないために。 今年ミスiDに落ちたら、物書きとして何かひとつ、納得できると思っていた。物書きの友人が「とある賞に応募するために全力で書いて、それに落ちたら、自分としてやりきったと思えた。今は趣味で書くことが純粋に楽しい」とい

        • 史緒ちゃんと佐藤さん

          初めて【しゅがーちゃん】と待ち合わせをしたのは、ライブハウス近くのコンビニの前。 周りには【リル】のヲタクたちが何人もたむろしていて、その中で彼女は、一言で言えば異質だった。 今、目の間に同じ姿があって、やっぱり異質だと思った。今日はその理由までちゃんと理解できる。 「あ、シオちゃん」 先に向こうが気が付く。軽く上げた手の先に、健康的な色のネイルが施されているのが、見える。 「待った?サトウちゃん」 「ううん。今日は午後休取らなかったら、慌てて今着いたぁ」 「服は?仕事のカッ

        ファンレターのすゝめ

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        • 短いお話
          27本
        • 史緒ちゃんと佐藤さん
          7本
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        • お喋り読書家八朔の書評未満
          9本
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          3本
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          2本

        記事

          【お話27 お酒とタバコ】

          お酒が飲めない。体質的なもので、飲むとすぐに眠たくなる。 そのせいで、大学生の頃はずいぶんとひどい目にあった。 慣れれば飲めるようになる、という言葉を信じて、飲みまくったこともある。 結局、全てトイレに流れて終わったけれど。 男の世界で生きるとためには、酒というものはほとんど絶対必要不可欠なのだ。 飲めないだけで、大半のことがうまくいかない。 そうじゃない世界もあったのかもしれないけれど。 頭もよくない。口下手。イケメンでもない。 そんな自分が入れる世界は、そういう世界しかな

          【お話27 お酒とタバコ】

          【お話26 逃避と観葉植物】

          カラカラに渇いている。 観葉植物が植えられた土の表面に、指を指した。 全く沈むことのないその感覚に、思わず顔をしかめる。 深い緑色の葉をなぞる。 埃で、指先が曇ってしまった。  息苦しいね。 心の中で、観葉植物に話しかけた。 一枚だけ、埃を指で拭い取る。 平日のお昼。図書館の中はそれなりに騒がしい。 年齢が高めの人が多い。 誰も目を合わせることはない。 こんなところでしゃがみ込んでいても、何も言われない。  でも、ここが私の居場所ってわけじゃない。 立ち上がりながら

          【お話26 逃避と観葉植物】

          【お話25 ひとりと想像力】

          あや子がかわいい声で笑っている。彼女の声はよく響く声質で、それがまるで、彼女の自信そのものみたいで、空は苦手だ。 「え、一人で焼肉とか全然余裕なんだけど」 香織と穂乃が、あや子の言葉に、すごいねとかなんとか言っている。 香織は本当に一人で外食をするのが苦手な子だ。なんなら、ゼミの教室で一人でお弁当を広げるのも苦手で、つい誰かを探してしまうらしい。そんな彼女に、あや子が平然と、一人の何が苦手なのか、と言い放つ。 逆に言いたい。一人で食事ができることの、何がそんなに誇らしいのか。

          【お話25 ひとりと想像力】

          【お話24 黒い街】

          治安が急激に悪くなった街。 まだ8時だと言うのに、人通りはない。街灯は相変わらず光を放っているけれど、それが余計に薄気味悪く見える。 「一人で帰るなんてだめだよ、絶対に」 知らない男の人が、声をかけてくれる。 そう言われても、仕事帰りの私は、家に帰らなくてはいけない。 そもそも、この男の人に声をかけられることが、私にとっては恐怖だ。 警戒心むき出しの視線に、彼もどうやら気づいたらしい。私から二歩ほど、遠ざかる。 「あぁ、ごめんね。怖いよね、俺のことも」 両手を広げ、肩の高さに

          【お話24 黒い街】

          【お話23 痛覚と無罪】

          腹の奥底に、歪な塊を感じる。 イタイ。痛覚になってようやく、失敗の認識にいたる。いやうそだ。 ちゃんと分かっている。 ご飯の食べる量が、久実はいつもよく分からない。 ダイエットをしていた時は、分かっていたのに。 辞めた瞬間に分からなくなって。 今では食べ過ぎてばかりいる。 ご飯だけなら、まだいい。 ゴミ箱の中には、たくさんのポテトチップスの袋。 どうしてこんなものを食べてしまったのか。 あんなに辞めたい辞めたいと思っているのに。 冷蔵庫の前に座りこむ。 白い扉を開け

          【お話23 痛覚と無罪】

          【お話22 私が滲む】

          送迎車から外を見る。誰かが電子タバコを吸いだしたらしい。 運転手の人が、低姿勢で「窓、開けてくださいね」と言う。 くぐもった返事の後、奥の方から窓が開く音がする。 数センチだけ開いた窓から、湿った外気が入ってくるのを感じた。 車内には自分を女の子が、4人。男は運転手だけ。 運転手の給料も、私たちが稼いでいる。必然、彼は私たちに丁寧な態度を取る。 車内に流れている、クラブ系ミュージックがうるさい。 ボリュームを下げろ、と言いたいが、深夜2時を回っても街中を運転し続ける彼にとって

          【お話22 私が滲む】

          【お話21 てんさい】

          はーちゃんは気づいてしまった。 これはすごい。 もう一回やりたい。 いや、やらなくちゃいけない。 まずはこっちのはーちゃんの手。 力を入れて、「ぱっ」とする。 「ぱっ」のやり方はこう。ママが教えてくれた。 「ぱっ」をしたまま、この箱をおさえる。 ここまでは、さっきと同じようにできてる。 箱をおさえる手は、さっきよりもしっかりしている。 ぐらぐらしない。 そしてつぎはこっちのはーちゃんの手。 箱からとびだした、「しろ」をつかむ。 ふにゃふにゃしている。 はーちゃんがいつも

          【お話21 てんさい】

          【お話20 軽バンとお彼岸】

          午後3時過ぎ。 のんびりとした太陽が傾きかけて、運転席に眩しい光を届けてくる。 古い軽バンのハンドルは、私の小さな手では少し余る。新しいハンドルカバーが欲しいのだが、本来の持ち主はそういうことを気にしない性質なので、何も言えない。アクセルを踏むと、加速はとても楽だった。 軽バンの持ち主は、元々は祖父だった。強面だったあの人は、覚えやすいから、という理由でナンバープレートの数字がずっと「・・・1」だった。 祖母は今でも時折笑いながら、「軽に乗り換える前は、そのテの人と間違えら

          【お話20 軽バンとお彼岸】

          【お話19 皺と薔薇色】

          朝、カーテンを開けた窓の向こうに広がる空が、とても高く感じた。 いつも重たくて、しんどい身体が、今日だけは大丈夫のような気がする。 「よく、寝た」 自然と零れた言葉が、自分の心を軽くしてくれた。いい朝だ。 時計代わりにテレビをつける。朝のニュースは、不景気で暗い話ばかりだ。 数日前にやっていた、アイドルの結婚の話が最近で一番明るいニュースのような気がする。 アイドルのファンでもなかった自分にとっては、だけれども。 朝ごはん。食パン一切れ。ヨーグルト。コーヒー。 歯磨きをす

          【お話19 皺と薔薇色】

          【お話18 恋をしている】

          友達から、恋人の惚気が何度も届く。 返事は面倒だけど、「マコトにしか言えない」と言われたら、拒否もできない。 スマホがピコピコと、間抜けな音を立てる。 薄手の掛布団を顔に押し当てて、無視をした。 たぶん明日、平凡な返事をするだろう。 カウンターに突っ伏していると、ピコリとまた音がする。 「マコト、スマホ鳴ってるよ」 アオイがカウンターの向こう側がから、声をかけてくれる。 ごとん、と重たい音がした。冷たい空気を感じて、お水を入れてくれたことが分かった。 「このバーて、お水何円

          【お話18 恋をしている】

          【お話17 雑観】

          ‪自分はとんでもなく目が悪くて、乱視も入ってるから、遠くのものはぼやぼやで見える。‬ ‪それがなんか、本とかニュースとかで大枠ばっかり知った気になって、本当のそれがどんなものかわかってないことなんだぞーって言われてるみたいで、なんか恥ずかしくなって‬。 ‪そんなことを考えて、文字にまとめようとしているのもなんだかうそっぽくて‬。 ‪でもいまそんな風に考えるのをやめたら、明日仕事だとかそういうことが頭をよぎるから。 できるだけ自分に関係ないことで頭をいっぱいにしようとしてる

          【お話17 雑観】

          【お話16 私がふらつく】

          スマホと同じ高さくらいとヒールを履いて歩いていた。 ドン・キホーテの片隅。 まったく興味のないブランド物のコーナー。 化粧品売り場を歩きながら、アイシャドウのパレットを眺める。 足元が、ふらつく。 魔法少女のおもちゃを買いたいと思った。 変身した後の彼女たちは、高いヒールで、走って跳んで、戦う。 好きな格好で、好きなように振る舞い、自分の信じていることを口にする。 今の私は、好きな格好でもないし、好きなようにも振る舞えない、心にもないことを口にするしかない。 ヒールが歪

          【お話16 私がふらつく】