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WITHERCRACKインタビュー

八月上旬、メールでのやり取りにて

- まずはメンバーの自己紹介からお願いします。

(永井)Vo.Gt.永井大陽(ナガイヒロアキ)、Gt.小松宏平(コマツコウヘイ)、Ba.広瀬紀子(ヒロセノリコ)、Dr.腰越洋(コシゴエヨウ)の4ピースロックバンドです。

- 結成から現在までの経緯を教えて下さい。

(永井)新潟大学の軽音楽サークルL.A.ClubにてELLEGARDENのコピーバンドとして始めたのが元です。何回かライブするうちに先輩のツテで学外のライブハウスを紹介してもらいまして、せっかくライブハウスで演奏するならオリジナル曲も作ろうということでバンドが始りました。当時はTHE WITHER CRACKというバンド名で活動してました。そこから当時のドラマーが大学院進学の関係で京都に行ってしまい、しばらくはサポートドラマーに助けてもらいながら活動してました。そこでバンド名もWITHERCRACKに変更しました。2014年にDr.のこしーが加入して、今のメンバーになりました。

以下略歴です。
2009年 5月:新潟大学軽音楽 サークルL.A.Clubにて結成。
2010年 1月:“THE WITHER CRACK” としてのオリジナルを中心としたバンド活動を本格的に開始。
2012年12月:1stミニアルバム『SOMETHING LIKE THAT』リリース。
2013年 3月:Drの脱退に伴い、バンド名を”WITHERCRACK”に変更。
2014年12月:Dr 腰越 洋 加入。
2015年 5月:2ndミニアルバム『WEDNESDAY』リリース。
2015年11月:pink'pubicと共に2マンライブを開催。
2016年 4月:1st EP『Torch / 群青 / Endeavor』リリース。
2018年 2月:3rd demo『夜を往く / Coldfoot』リリース。

- よければ各々のメンバーの音楽遍歴を教えていただけますか?

永井
小学生の頃はミスチル、福山雅治や愛内里菜が好きでした。BUMP OF CHICKENをきっかけにバンドにハマって中1の時にギターを始めました。ASIAN KUNG-FU GENERATION、ELLEGARDEN、ストレイテナーにもハマってそこからJIMMY EAT WORLD、Weezer、Oasis、Ash〜と洋楽にも広がっていきました。高校生ではリアルタイムで洋邦追うようになりました、当時はCajun Dance PartyとかThe Viewとか好きでしたね。大学でポストロック、エレクトロニカ、エモに傾倒してmineral、クラムボン、toe。大学を卒業してからはポスト渋谷系、シティポップにもハマっていてRound Table、TWEEDEES、花澤香菜などなど。最近はCharlotte Is Mineをよく聞いてます。

小松
高校生の頃は憧れからmiyavi、Dir辺りのV系をひたすら聴いていましたが、大学入学以降はART-SCHOOL、Nothing's Carved In Stone、VELTPUNCHといった邦楽ロックバンドに好みがシフトしていきました。悪い言い方をするとあまり芯が無いのですが、SNSで誰かが推してたり、ライブを見て良いと思った曲を聴く今日この頃です。最近はフジロック配信で気になったSTARCRAWLERを聴いてます。

広瀬
高校生の時にELLEGARDENを聴いたのをきっかけに邦ロックが好きになりました。ストレイテナーとフジファブリック、THE NOVEMBERSが好きで、自分もバンドをやりたいと思ったのはこの辺りです。大学以降も好みはロック寄りのまま、Oasis、相対性理論、倉橋ヨエコを主に聴いて過ごしました。最近は人から勧められたりライブで見て良いなと思った曲を幅広く聴くようになってます。

腰越
元々ピアノを弾いていたので、原点はクラシックです。また、小学生の時にアニメのOP曲だった「そばかす」に衝撃を受けてからJUDY AND MARYとYUKIが常に自分の中心にあります。高校でドラムを始めてから様々な音楽を聴くようになりました。GOING STEADYやHi-STANDARD等の青パン・メロコアから始まり、NUMBER GIRL等のオルタナを経由、the band apartやUNCHAINでオシャレに目覚め、chickenraceやbanbi(現sumika)等の爽やかポップバンドを嗜み、合間合間にチャットモンチー・GO!GO!7188・nano.RIPEのような女性Voバンドを好んで聴きながら今に至ります。ジャンルにこだわらず、自分がカッコいいと思ったものを聴きます。最近ではKing & Princeにハマっています。

- 皆さんバラエティに富んだ音楽遍歴ですね。尚且つ、それぞれ最新のアーティスや身近なバンドさんもきちんとチェックしておられるのが印象的です。では、WITHERCRACK結成にあたって影響を受けた、参考にしたバンドやアーティストがいれば教えて下さい。

(永井)結成当初はELLEGARDENのコピーバンドだったということもあり、特に影響を受けています。メロディーやコード進行で言えばストレイテナー、ASIAN KUNG-FU GENERATION、GRAPEVINE、LOSTAGEからもかなり影響を受けています。そこからJIMMY EAT WORLDやMineralを始めとするUSエモの影響が徐々に出始めて、現在はBluebeardやweave、deidを始めとするバッサり言えばジャパエモの影響が色濃く出てきました。あくまで日本語で作ってますが。

- いわゆる90年代後半~2000年以降の日本のギターロック/エモからの影響が大きくベースとしてあると。そこからの流れも含めて個人的にも非常に好みが一致しているので親近感を覚える部分ではありますが、日本語で歌っておられるのはやはりそういった部分からでしょうか?

(永井)わりと通るところですよね(笑) 日本語で作るのはやっぱりしっくりくるから。洋楽の劣化コピーでいないためには日本語で歌うことがオリジナリティになるのかなとも思います。狭く言葉を詰めるのではなく、広くとって伸びやかに歌っているような譜割りが多いです。また作曲を始めた当初、中3だったので英語力が単純になくていい詩が書けなかったことも要因ですね。ちなみに仮歌の段階では英語っぽい言語で歌っています。そこに日本語の単語を当てはめて、連想しながら作詞をする…みたいな作り方もしていますよ。

- 曲作りの方法についてはどのようにされていますか?

(永井)自分がデモを作ります。それを元にスタジオワークで詰めていくという方法ですね。iPadのGarageBandで作ってます。できる限りシンプルな演奏でいいメロディー、引き算でアレンジすることを意識して曲作りをしています。

- 歌詞は全て永井さんが書かれているのですか?

(永井)そうですね、すべて自分です。

- 歌詞の中に「八号線を走る」や「真っ白な雪に閉ざされたこの街」といった言葉が出てきたりしますが、歌詞を書く際に活動されている地元新潟の風景を思い浮かべたりされることが多いのでしょうか?

(永井)歌詞については心情吐露のようになってしまうことが多いので、風景描写を入れることを心がけています。言葉で自分の感情を説明するよりも、風景描写で聞き手が自由に想像できる方が表現としての余地があるように思うんです。ユーミンも風景描写で歌詞を紡ぐみたいなことをラジオで言ってまして、そこに感銘を受けました。それで風景描写によって説得力のある言葉を選ぶと、どうしても自分の周りの新潟の風景が浮かんでくるんです。

-「夜を往く」の発表時、SNS等でBluebeardっぽいと話題になりましたが、自分たちとしてもその辺りは意識されたのですか?

(永井)音源を作成するにあたってBluebeardみたいな音を目指そうと話をしながら作り込んで行ったので、反響があった時には本当に嬉し恥ずかしでしたね 笑。それだけ耳のいいリスナーに拾ってもらえたことに感動しました。PV作ってわかりやすく宣伝したわけでもないんですが…Twitterの拡散力とリスナーのアンテナに感謝しています。

- 元Bluebeard/現RENAの高橋さんも反応されていましたね。あの時はやはり嬉しかったですか?

(永井)嬉しかったですね…鳥肌が立ちました。公言しなくともあれよあれよと言う間に本人にたどり着いたわけですから。最初は何が起こったのかよくわかりませんでした (笑)

- 10月には自主企画で新潟にRENAを呼ばれますよね。高橋さん自身もtwitterでバンドで新潟にライブしに行くのは20年以上ぶりと仰られていましたが。

(永井)夜を往くを公開して、反響が本人まで届き、その後鶯谷でやったライブを見に来てくださって直接お話しさせていただきました。そこで是非対バンしましょうと、トントン拍子で話が進みました。当時RENAはまだドラムが決まっておらず動けない状況だったのですが、ちょっと強引に新潟でやりたいとお伝えして水面下で動き出しました。20年ぶりの新潟、久々の県外ツアーを楽しんでもらえたらと思います。

- ちなみに「夜を往く」のカップリングで収録されている「Coldfoot」は前者とは対をなすような疾走感溢れるナンバーでしたね。個人的な印象としてはELLEGARDENっぽさを感じたのですが、前述のエルレからの影響も含めて原点回帰的な意味で作られたのでしょうか?

(永井)当時16ビートの曲を中心に作っていたので、bpmが200を超える疾走感のある曲を作りたかったんです。またメロディック系のバンドと対バンした時に、早い曲かっこいいなと思いまして、どこかでやりたいと思っていたのがここに出た感じですね。ELLEGARDENというよりは初期ストレイテナーを意識していました。

- なるほど。では、今現在の新潟のバンドシーンについて教えて下さい。

(永井)新潟は縦に長いので新潟市、三条市、長岡市、上越市を中心にそれぞれのシーンみたいなものがあるのかなと思います。バンドの数で言えば新潟市が一番ですね、学生も多いのでドンドン新しいバンドが出てきます。全体的にはギターロック、メロコア系が多いんですかね。ウチみたいなエモ影響下にあるバンドは…不思議といないですね 笑、midnight parade大先輩が引っ張って奮闘してくれている状況です。30代で続けている人達は、もっとクラブシーンから影響を受けたような鍵盤、同期を使った音楽を作っていますね。探求し続ける姿勢には頭が上がりません。

- 昨年midnight paradeのギター高橋さんが運営されてる1020distroがレーベルとして初めてリリースした3way splitに収録されているバンドの内、slowerを除いた二バンド、dramaとjyugatsunodrumからはそれぞれbloodthirsty butchersやLOSTAGEの影響を感じました。音楽性の微妙な差はあれど、新潟でそういったインディー/エモから影響を受けた(と思われる)バンドが活動していることに心強さみたいなものは感じますか?もしくはそういったことはあまり気になさらない?

(永井)相当意識してますね。dramaについては大学のサークルの後輩で、少なからず自分がエモに引きずり込んだ部分もあるので(笑)jyugatsunodrumは初めて見た時にその辺のバンドの影響をもろに感じて嬉しくなったのを覚えています。もう少し下の世代、20代前半くらいにもインディー/エモ影響下のバンドが出てきてくれたら嬉しいですね。そのためには種を蒔いて水をやって、我々がいいライブしてたくさん話をしてと、草の根活動をするだけかなと思います。

- 分かりました。今後の展望、予定を教えて下さい。

(永井)自分達の音楽を突き詰めていきたいです。製作とライブ、基本はその繰り返しだと思います。その中で全国回れるところがあれば行きたいですし、リリースを手伝っていただけるレーベルがあれば一緒にリリースしたいです。活動の輪を人との繋がりを広げて行きたいですね。全員が社会人なので活動は限られますが、その中で最大限やっていきたいです。

- 最後にメッセージ等あれば。

(永井)2016年にEPを出した後、自分(永井)の曲作りや活動に対する意識を変えました。バンドをもう一度やり直すような気持ちでチューニングを半音下げにして好きなことを貫くようにしました。それまでは頭のどこかで売れ線を意識する部分もあり結果中途半端になっていたのかなと反省しました。そして小さいながらも紆余曲折あって、今があります。経歴はわりと長いですがフレッシュな気持ちで活動してます。ぜひ、ライブに遊びにきてください!

- ありがとうございました。

インタビューを終えて:今回は初のメールインタビューということで、新潟のWITHERCRACKにGt.Voの永井さんを通じて色々とお話を伺いました。初めてライブを見たのが昨年3月の奈良、事前の前情報もなく初見の状態でライブを見て一発で魅了されてしまい、その場でメンバーさんに話しかけディストロのお願いをしたのを覚えています。その後、今年リリースしたシングルがSNS上で話題となり一気に知名度を上げつつ、現在もメンバー皆社会人としての生活を送りながら新潟を拠点に精力的に活動を行っています。今回伺ったお話の中では、最新の音楽や身近なバンドをチェックしアップデートを図りながらも自分たちのルーツを忘れず、と同時に地元シーンの動向を常に視野に入れ周りのバンドたちと共闘しながら自らを高めつつ先陣を切ってシーンを盛り上げようというバンドの積極的な姿勢が非常に印象的でした。また、勝手なイメージかもしれませんが新潟という北国独特の自然豊かな風土や環境があの雄大且つ焦燥感溢れる強靭なツインギターサウンドやバンドの世界観に繋がっているのではないかなとも感じました。この勢いをそのままに今後も新潟以外でも精力的に活動していっていただければと思います。尚、11月上旬には初の大阪でのライブも決定していますので、気になった方はぜひWITHERCRACKのそのパワフルで胸に迫るライブパフォーマンスを目撃しにきてください!よろしくお願いします!


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