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自己紹介

「どんなデコボコでもカチっとあえば大きな輪になる!」

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NCL湖南(滋賀県・湖南市)/Next Commons Lab 湖南 Coordinator
/ プロジェクトチームコーディネーターオフィス 代表
/ 湖南まちづくり合同会社 共同代表
光田三穂

《PROFILE》
Miho Mitsuda●1976年滋賀県生まれ。大津市で育ち、社会人になってからは大阪や兵庫など関西圏を中心に転勤を経験。ボランティアで動物保護活動を継続的に行っている。学校卒業後、シートベルトの製造会社で生産管理とシステム管理を担当。複合機のプログラムを開発するIT企業で、品質管理をする部署に転職。その後、交通事故専門の行政書士事務所に勤務。2014年に独立し、フリーランスで一般事務代行を請け負う。2018年4月からNext Commons Lab 湖南(以下、NCL湖南事務局)のコーディネーターに着任し、地域性を活かした事業創出にむけて基盤づくりを進めている。

今回、NCL湖南の活動の中で、今の私について、インタビューをして頂きました。

愛犬のためにUターンを考えるように

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NCL湖南の事務局で活躍するコーディネーターのひとり、光田三穂さん。仕事で大阪や兵庫など関西圏で転々と生活拠点を変えていくなかで、生まれ育った滋賀県にUターンを考えはじめたのは30代後半のことでした。IT企業に転職を決めたときに、転勤を伴う異動もいとわなかったという彼女ですが、1つだけ交渉した条件があったんだそう。それは、長年一緒に暮らしてきた愛犬と住める社宅を用意してもらうこと。会社側に了承をとりつけ、愛犬とともに転勤してきたといいます。

「15年ほど一緒に暮らしてきた犬が年老いてきたこともあって、元気なうちに庭付きの広々とした環境の家に移ってあげたいなと思うようになりまして。ボランティアで細々と動物の保護活動もしていたんですけど、本格的に受け入れができる部屋を用意すれば、一時預かりできる数も増やせますし。動物を飼うのは賃貸住宅では大変なので、滋賀県ののんびりした地域に家を買って暮らすのもいいかもしれないと考えはじめていました」

そんな彼女に転機が訪れたのは、2017年秋のこと。SNSで何気なく目にしたNCLの掲げるスローガンに心惹かれたといいます。それまでの経験を生かし、2014年に独立した光田さん。個人事業主になって3年が過ぎ、一般事務代行業をしながら、のんびり過ごしていこうとしていたところでした。「年齢的に考えても今がチャンス。働き方を変えてみよう」と思いたち、NCLに応募したんだそう。

「独立してからずっと一人で仕事をしていたんですけど、ちょうどチームで何かやりたくなっていたんですね。そんな時になんとなく見ていたFacebookの記事で、“ポスト資本主義社会”という言葉が目に飛び込んできて。何やねん、それは!と気になって、まずはポスト資本主義について検索しました。そして、NCLの記事を読んでみたら“アップデートされた共同体”というビジョンが出てきて。あ、これはチーム作りにつながると思いましたね」

1人よりチームに惹かれる理由

光田さんが学校卒業後に就職したのは、シートベルトの製造会社。生産管理の部署に配属され、受注から納品までのスケジュール管理を担当していたといいます。折しも「Windows95」が登場したパソコンの転換期であり、光田さんの会社では5か年計画としてシングルタスクからマルチタスクへと社内システムを切り替えていくことに。彼女は、そのシステム管理業も兼務していたそうです。

「その時の目標が“誰でも入社して3日で覚えられるシステムにする”ということでした。ですから、誰が入ってもスムーズに仕事が始められ、たとえば人員が変わったとしても引き継ぎに時間がかかることのないシステムを作りました」

その結果、生産工程のほとんどをパソコンで管理するようになり、仕事の効率はいうまでもなく各段に上がったといいます。

「効率が上がるので、事務員が4、5人必要だった仕事が1人で事足りるようになったんです。そのくらい業務内容が変わったので、逆に仕事が物足りなくなってしまって(笑)。でも、その社内システムを構築するプロジェクトの経験から、ゼロから何かを作り出していくのって大変だけど楽しいなと思ったんですよね」

ものづくりの楽しさを実感した光田さんは、その後プログラミングの世界を目指し、複合機のプログラムを開発するIT企業に転職。品質管理をする部署に所属し、開発現場では多彩なメンバーとチームを組んできたという彼女は、「チームでどのように効率をあげるか」ということをずっと考えて仕事をしていたと語ります。

「開発現場にいた頃から、チームはバランスだという思いがずっとありました。どんなデコボコでもカチっとあえば大きな輪になる。やはり社会に対して大きな影響を与えることをしようと思ったら、いろんな人とチームを組むことが必要だろうなと思っていたんですよ」

交通の要所・湖南の魅力探し

光田さんの中で芽生えていた滋賀へのUターンやチーム力を生かして仕事がしたいという思いがつながったのが、NCL湖南の立ち上げに際して募集していたコーディネーターの仕事でした。

「募集記事のエリアに“湖南”があったんですよ。湖南市は滋賀県の中でもあまり目立つことをするような市ではないというイメージでしたので、
『え、何をするの?』と気になりましたね」

湖南市は滋賀県の南部(甲賀地方)に位置し、現在の人口は約5万5千人。奈良時代に近江と伊勢を結ぶ伊勢参宮街道として発展し、江戸時代には東海道五十三次の石部宿がおかれた地。古くから交通の要所として人々が集まり、栄えてきた歴史を物語るように趣のある名所も多いのだとか。また、湖南市には県内唯一の動物保護管理センターが存在。光田さんは同センターにボランティア活動で過去に何度か訪れたことはあっても、湖南市についての知見はほとんどなかったのだそう。

「着任してから湖南の魅力を探るために、積極的に名所を巡っていきました。国宝指定の名刹である湖南三山(常楽寺・長寿寺・善水寺)や、元伊勢の神明神社のような歴史ある貴重な文化財もありますし。派手ではないですけど、ふらりと立ち寄っても素敵な場所はたくさんあるので、ゆっくり滞在して、のんびり歩いてみてほしいなと思いました」

発想の転換から生まれたプロジェクト

光田さんがパートナーを務める「クリエイティブ・ツーリズム」とは、新しい切り口で観光事業に取り組み、滞在自体が旅の目的となるような魅力的な施設と宿泊体験を提供していくというもの。湖南の観光スポットは点在していて周遊が難しい。また滞在型の観光拠点となる宿泊施設が少ないといった課題を抱えているそうで、それらを補完するために生まれたプロジェクトといえます。

「観光客が湖南を訪れて、1ヵ所名所を観光したら、その後は宿でワークショップを開催する。それと引き換えに一晩無料で泊まれるという仕組み。また翌日以降も、1日もしくは半日観光をして、宿へ帰ってきたらワークショップをして…みたいに、長期滞在でも毎日楽しみができるような切り口があれば、観光スポットのばらつきといった弱みも緩和できるのかと考えています」

具体的なビジネスモデルはラボメンバー(起業家)を迎えてからになるので、まだまだジャストアイデアの段階。しかし、面白い発想で人々を惹きつけたいという光田さんが思い描く「お金以外の対価で泊る宿」はとても魅力的です。

「たとえばフランス人が宿泊にきて、1泊の宿泊費を払うかわりに、その人が得意なことでワークショップをする。ワークショップで集まった料金に応じて、1泊なのか2泊なのか無料になる日数も違ってきます。3泊無料で泊りたいですというアプローチが事前にあったのなら、『こんなワークショップがあります!』といって参加者を募集。3泊の宿泊費は10人集まったらペイできるんだとしたら、10人集まった時点でそのフランス人に『どうぞ来てください』と言えるようになるんです」

宿泊者がワークショップをして、その対価を宿泊費に使わない場合は、地域通貨を発行して周辺の飲食店で使えるようにするなど、夢はふくらみます。プロジェクトを導いていくラボメンバーを迎えるために、光田さんの黒子的な下準備はコツコツと進められていきます。

「宿泊施設をするには物件探しがすごく大変」と語る光田さん。指定管理者制度の可能性や地元プレイヤーとの協業など資金をおさえて運営していけるスキームを探っているところだといいます。また、10月には湖南市甲西駅近くにあるコワーキングスペース「今プラス」で、Barのオーナーに挑戦。湖南の人たちに光田さん自身を知ってもらう絶好の機会にもなったんだそうです。

「お酒ほとんど飲めないんですけどね(笑)。仕事の状態から知り合ってしまうと、自分もそうですけど相手も身構えてしまいますから。会話を助けるためにアルコールの力も借りて、いろんな話をするなかで、一緒にやっていきたい人を探すというのが私の中での目的でした。おつまみを作っておいたら、私は料理をするイメージがなかったみたいで、周囲の人から意外がられたりして」

ところで、このプロジェクトではどんなラボメンバーを求めているのでしょうか?

「すでに何かこんなツーリズムの経験があるとか、知識があるとか…今できるスキルは基本的には望んでいません。プロジェクトの実現に向けてしなければいけないことに対して、真摯に努力ができる人。それから、NCL湖南はほかのプロジェクトと絡んでいくことが多いんですね。ですから、ほかのメンバーと協業できることが必要ですね」

そして、できれば動物を飼っている人、もしくは動物好きな人だとさらにうれしいと語る光田さん。その心は?

「こにゃん市役所プロジェクトという動物福祉を考える別のプロジェクトもありまして。宿となる施設があれば、保護した犬猫を預かる場所の1つにできるかもしれない。両プロジェクトとも私がパートナーということもあるので、できれば絡めていければいいなぁと考えています」

光田さんのように、誰と一緒に働くかを大切にしたい人。一人よりもチームで社会に対してより大きな変革をもたらしたい人。目をつぶって想像してみてください。あなたのアイデアしだいで、湖南という地域にファンが根づいていく未来は、今よりきっと、ずっといい世界が広がっているのではないでしょうか。

■本プロジェクトへの応募詳細はこちら⇒

http://project.nextcommonslab.jp/project/creative-tourism/

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