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陽イオンチャネルって何?(簡易版)

化学物質過敏症の最近の知見において、凄く関係があるとされる陽イオンチャネルとTRPチャネル。
すごく難しいので、ごく簡単にまとめてみました。


陽イオンチャネルって?


陽イオンチャネル

陽イオンチャネルは、体中の各細胞の細胞膜にあります。
細胞膜にあるこれらのものを、膜たんぱく質といい、陽イオンチャネルはその中でも膜貫通たんぱく質といわれます。
膜を貫通して、細胞の中と外の通路になっているからです。
細胞を部屋、細胞膜をその部屋の壁だとすると、陽イオンチャネルは鍵付きのドアです。陽イオンチャネル(ドア)についている受容体(鍵)が、出入りさせる物質を識別しています。
この鍵はセンサーキーになっていて、ある特定の物質(陽イオン)にだけ反応してドアを開き、部屋への出入りをさせます。
余計なものを部屋に入れず、必要な時に必要なものだけを出入りさせることで、体の機能を維持しています。
※他にも多くの働きがあります。

陽イオンチャネルの働き

先に述べた通り、陽イオンチャネルは陽イオンを細胞の内外に出し入れします。
これにより、細胞の電荷が変化して、電気信号が発生します(活動電位)。
この電気信号が神経細胞に働きかけ、神経細胞のシナプス小胞が神経伝達物質を放出します。これにより、体の末梢(各細胞や組織)から中枢(脳や脊髄からなる中枢神経系)に感覚を伝え、逆に中枢(脳や脊髄からなる中枢神経系)から発した指令(運動指令)を体の末梢(各細胞や組織)に伝えることができます。
このように神経系で信号のやり取りを行う一端を担う他に、免疫系の働きもしています。

TRPチャネルって?

TRPチャネルとは

TRPチャネルは、陽イオンチャネルの一種です。
体中の細胞の細胞膜に存在する陽イオンチャネルの中でも、特に末梢神経の末端部分や免疫細胞に分布しています。
TRPチャネルは、ナトリウムイオンやカルシウムイオンを細胞膜を通して出入りさせる働きをします。
この作用で起きる電気信号は、特に痛み熱さ冷たさの感覚の伝達と、センサーの役割としてpH、低酸素状態を察知したり、他に免疫応答に関与しています。

TRPV1とは

TRPチャネルの一種です。
特に熱さ痛みカプサイシンなどの化学物質、酸性環境などに反応します。他にショウガ、香草類、黒コショウなどの成分にも反応することが解っています。
TRPV1が活性化することで、免疫細胞の反応を促すことが解っています。これにより免疫細胞が反応すると貪食作用などの免疫応答が働き、また炎症メディエーターサイトカインケモカインセロトニンヒスタミンプロスタグランジンなど)を放出します。
逆に炎症メディエーターが放出されると、TRPV1もさらに活性化するという相互作用も起きます。
TRPV1が活性化すると、扉が開きやすくなり、より敏感に反応する状態になります(末梢感作)。この状態が一定期間続くと、今度はあまり反応しなくなるという状態に陥ります(脱感作)。この脱感作の作用を利用することで、消炎鎮痛剤などの開発に役立っています(湿布薬など)。

TRPA1とは

TRPチャネルの一種です。
特に冷たさ痛み、などの化学物質、アルカリ性環境低酸素状態などに反応します。※酸性環境にも反応があるとの報告もあります。
また、ワサビマスタード生ニンニクシナモンなどの辛味成分、タバコ大気汚染の原因物質となる化学物質に反応することが解っています。
炎症が起きることでTRPA1が活性化することが解っています。この事から、炎症性疼痛に深くかかわりがあり、疼痛の増強に関与していると考えられます。
このチャネルの末梢感作や脱感作については、まだ未解明です。
低酸素状態を感知し、覚醒や呼吸促進を促す働きがあることが解っています。





以上、陽イオンチャネル、中でも化学物質過敏症に深くかかわるといわれているTRPチャネル(TRPV1、TRPA1)に関して、ごく簡単にまとめてみました。

↓↓↓↓↓より詳しくまとめたものはこちら。↓↓↓↓↓

詳しくといってもたかが知れていますが・・・

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