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各国の香害事情【カナダ】ケベック州に寄せられた病院の香害への苦情

カナダには無香料ポリシーを推進する団体が、複数存在するようです。ダルハウジー大学とノバスコシア州の無香料プログラムの件は、すでに過去記事でご紹介しましたが、どうもそれだけではないようです。
日本と違ってすごいのは、環境関連省庁や医療関連団体、各州行政機関がこの動きに賛同・協賛している点です。
その結果、医療機関の無香料ポリシー導入はかなり進んでいるようで、2019年現在で、無香料ポリシーを採択して言う病院は300以上ありました。(一覧表があり、数えました。)

カナダの病院でも、日本と同様に香害被害者が被害にあっていて、この運動は彼らの声に呼応して立ち上げられたようです。

その、病院における香害被害者の経験談を紹介するPDFファイルがあったので、その内容を紹介させていただきます。

元記事↓↓↓

https://aseq-ehaq.ca/wp-content/uploads/2017/03/testimonies.pdf

では以下、カナダの香害被害者(病院において)の声、訳文です。




ミシェル・シャンタルさんの話

今まさに私はクリニックにいます。外来待合に入るやいなや、強い香水のにおいがしました。待合にいた人は一人だけで、その人が朝に香水をつけたと言っておられ、そのために私は殆ど待合室内にいることができませんでした。なんていうニオイだ!こんなに強い香水の匂ニオイをさせている医師や看護師には合ったことはないですが、他の誰かが香水をつけているために待合室にいられない(ご存じの通り、どんなに待ち時間が長くかかろうと)というのは、非常に迷惑です。香水禁止の規則は、患者側も守るべきです。今の時代、医師がタバコを吸うことはありませんが、患者はその限りではないという問題もあります。ご存じの通り、診察室にいる時間よりも、待合室で待つ時間の方がよほど長いです。なのでこれは理にかないません。香水も同じことです。
環境感受性分野での皆様のご活躍に感謝します。

ナタリー・プリンスさんの話

私は、病院内で使われる化学物質の削減は可能だと思っています。実際に病院内の空気環境は非常に息苦しく、香料のニオイが空調で増幅されて、香り付き製品の成分が病院全体に循環しています。病院でこの化学物質に満ちた空気に曝露すると、私は体調を崩し、まず平衡感覚に異常が出ます。そして集中力が落ち、注意力と視力が悪影響を受け始めます。数人、私の自宅で様々な手伝いをしてくれる方もいますが(訳注;自営業か介護サービスか?)、その人たちが香料をつけて家に来ると、私はこのような体調不良が起き、頭痛が起きたりもします。

これはニオイだけの問題ではなく、私のように化学物質に敏感な人間に対して一定の作用を持つ微細な化学物質の反応の問題だと思います。

リーヌ・フルニエさんの話

もし病院が無香料ポリシーを尊重していたら、私は(今の状態では)一緒に過ごすことが耐えられない人々とでも、何時間一緒に外来待合で待たされると解っていても、問題なく病院に行けると思います。彼らが使う香料には驚くばかりです。そしていわゆる無香料ポリシーの規則を遵守しない病院スタッフの存在も忘れてはなりません。実際に私にとって病院は、この遵守がなく、苦痛です。なぜなら、私たちが苦情を言っても、いつも規則は遵守していると答えられるんです。これは嘘です。最悪なのは、この有害な霧に満ちた所で待った挙句、カルテに化学物質過敏症と記載されているのを見てあざ笑う医師に対面した時です。それを「推定疾患」と見做している彼らに診察されると、無関係な他の健康問題として扱われてしまいます。

私はこの先、ケベック州の全病院が、無香料ポリシーの遵守を実現することを願います。それが、環境由来の疾患を患った私たちにとって、もうすでに生活がこれ以上ないくらい苦痛である私たちにとっての、救いなのです。

マーレーン・Bさんの話

私は不整脈が深刻に悪化したため、モントリオール心疾患研究所の専門医に予約を入れました。待合室は大人から子供でいっぱいでした。私は化学物質過敏症を患っているので、自前の酸素吸入器を持参し、診察までそれを吸入していました。
それでも十分ではなく、吸入レベルを上限まで上げていたにも関わらず、香水、コロン、柔軟剤、洗濯洗剤由来の化学物質が、マスクを突き抜けて入ってきました。
私は全く香りのない別室に移動させてくれるように頼みました。それはできないと言われました。
私の番が来るまで、一時間ほどを要しました。私はそれら香料に曝露したことで、酷い痛みを感じていました。身をかがめ、息を切らせていましたが、スタッフは誰も気にかけませんでした。
結局、私は空調のきいた廊下に移動して、医師の診察を待ちました。私のために心電図が指示されました。技師が来た時、その髪には香り付きのジェルが塗りたくられていました。私はけいれんし、車いすに乗せられました。夫が私を車いすで外の道に移動させてくれて、それで徐々に回復できました。これが私の経験です:
私が本当に医療機関の助けを要した時でも、そこの誰も、私にはきれいな空気が必要だということも、香料に対する私の体の反応も、理解することはありませんでした。


M・ヒギンズさんの話

私は経過観察のためにモントリオールの病院に入院しました。心疾患病棟の病床があてがわれ、そこで私の試練が始まりました。ベッドシーツ、枕、看護師の制服、他の患者の香水、ヘアスプレー、洗濯用剤の香りなど、すべてが耐えがたかったのです。
私は肺に灼熱感を覚え、気道が狭まる感じがしました。私は持参した服を頭の下に敷き、さらに枕の上にも自分の服を敷きました。この時点で、看護師があきれているのが解りました。
私の呼吸困難は改善しませんでした。狭い病棟を出入りするすべての人が、香水とヘアケア用品の成分を持ち込みます。夜が更けるにつれて、私の絶望感は増していきました。
床のモップがけが始まった時、もう無理だと思いました。隅にある窓にひびが入っていることに気づき、命からがら、そこに移動させてくれるように頼みました。その場所は他の人たちから少し距離もありました。ものすごく怪訝な視線を向けられながら、私はそこに移動されました。これが、私が夜を乗り越えることができた方法です。割れた窓から入ってくる空気を吸っていたんです。朝になると、私は目の下に深く濃いクマができていました。とても恐ろしい経験でした。
私は自分にとっての医療環境を尊重してくれることを望みます。私は、患者の周りでは無香料で毒性の低い製品を使用する病院に行きたいと望みます。今日もしも私に重篤な症状が起きても、私は病院に行こうとは思いません。この問題のために、私は医療を受けることもできないのです。


フランシス・Bさんの話

これは、午前四時、ロイヤル・ビクトリア病院の救急外来で起きたことです。私は数日、非常に体調が悪く、病院に行くかどうかを悩んでいました。ついに、その朝の四時、私が怖がっていても、夫がロイヤル・ビクトリア病院に行くように強く勧めてきました。私たちが到着したすると、なぜこんな時間に来院することになったのかを何度も何度も尋ねられました。
私たちは、私が深刻な苦痛を感じていたけれど、化学物質過敏症であるために、病院受診を恐れていたと説明しました。私には、病院で使われてる香料やその他の製品がとても心配だったのです。
私たちは、ERの担当医に診察される順番を待っていましたが、残念ながら、待合の患者からの香水の影響が非常に大きく、私は呼吸困難になってしまいました。
私は病院の外の道路で待つことにしました。順番が来た時、夫が携帯でそれを教えてくれました。残念ながら私が戻ったちょうどその時、清掃員がガラス容器を落として割ってしまい、信じられないほど強い香りの溶剤がまき散らされてしまいました。私は息苦しくて絶望的になりました。
一人の若い医師がが私を支え、予備の診察室に連れて行ってくれて、呼吸を整えるように言ってくれました。
彼は起きている状態を考慮して決断し、その部屋で心電図を施行しましたが、許可されてないことだから、誰にも内緒にしてくれるようにと説明しました。
私はゆっくり回復し、心臓の検査を受け、一晩入院しました。その場の香水、コロン、他の香り付き製品のために、それは悪夢の経験でした。
私にはどんな病院に受診することも恐怖なので、可能な限り患者として世話にならずに済むように、全力を尽くしたいと思います。




いやもう、心に来ますね。どの国も、香害に無頓着な状況だと、被害者は同じ目にあってるんですね。
けれど、行政や医療機関が無香料ポリシーの推進に同調しているか、もしくはバックアップしているらしいのは、非常に頼もしく、日本と違ってうらやましい限りです。

カナダで無香料ポリシーを推進しているこの団体の件は、もう少し調べてまた掲載します。


2024年4月


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