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各国の無香料ポリシー【アメリカ】MD州MA州看護協会編①

メリーランド州、マサチューセッツ州の看護協会 
すごいです 
かなりうらやましい事してくれてます

HPで会員各看護師に無香料ポリシーを紹介、無香料ポリシーを採用していない職場で働いてる人向けには職場に無香料ポリシー採用を促すためのガイドラインまで提示してます。記事の最後の方(②に載ってます)にご注目。

我々の運動にも役立つだろうか。日本でも医療現場向けに作れないだろうか。でも日本なぁ・・・個人の権利(と何より責任)が、アメリカほど確立されてない感がすごい・・・(注:翻訳時の感想です。2024年、合理的配慮が義務化されたことで望みは高くなったと感じています。)


元記事はこちらです。↓↓↓

全部見ると非常に長いです。

この記事は無香料ヘルスケアキャンペーンin the U.S.(なんだソレうらやましい)の一環としての記事で、全部で5つの項目がありました。
「化学物質とそれによる健康への影響」「無香料情報提供サイト」「無香料ポリシーのモデル」「香り実態調査サンプル」「医療現場での無香料ポリシー提唱」となってますが、全文は非常に長いので今回は一番初めの
化学物質とそれによる健康への影響
の部分を掲載します。関連ウェブサイトはアメリカのものなので、割愛の予定です。長くなるし。
例によってなるべく忠実な訳文を目指していますが、見やすくするために開業やフォントの大きさ、見出しを一部変えています。


無香料ヘルスケアキャンペーンin the U.S

看護職員は合成香料をコントロールすることで、室内空気質をよりよくすることができます


化学物質とそれによる健康への影響

医療現場では患者も看護師も健康上の問題に直面しており、室内空気質に関しても精査されています。Health Care Without Harm(訳注:直訳で「害無き医療」、世界の医療をより害(侵襲性)がないものに変革することが活動目的の国際研究組織で、本部はアメリカ)、Environmental Working Group(訳注:「環境ワーキンググループ」?アメリカの非営利団体で、農業補助、有害化学物質削減、飲料水汚染物質、またそれらに関わる企業の責任などを研究し安全性を提唱することを活動目的とする団体)、米国看護協会、メリーランド州看護協会、メリーランド大学看護学校、マサチューセッツ州看護協会は、医療環境を改善する運動においてのリーダーです。研究では、一部の化学物質への曝露が健康状態の悪化に直接的な影響を及ぼすことが証明されています。医療現場で扱われる有害な化学物質には、ポリ塩化ビニル、消毒剤(エチレンオキシドとグルタルアルデヒド)、DEHP(訳注:フタル酸ビス?)を含む製品、天然ゴムラテックス、水銀、農薬(訳注:殺虫剤)などがありますが、これらはほんの一例です。

一部の個人やその一群は、香料への曝露によっても特に影響を受けます。

免疫機能が未発達な幼児や子供、免疫機能が落ちている高齢者は、特に有害な化学物質からの影響が出やすいのです。さらに、ぜんそく、アレルギー、片頭痛、免疫力低下を伴う(疾患の)人、化学的侵襲を受けた人(訳注:化学療法中の患者、化学物質中毒経験者等)などは特に脆弱です。一部の患者からは、医療現場において有害化学物質のために医療を受ける権利にも影響が出ているとの不満の声が上がっています。時に、医療を受けることを諦めるか、有害化学物質に曝露するのかの二択を迫られることさえあります。生殖可能年齢に達した人にとっては、未生児にまで有害化学物質曝露の体内負荷が及ぶ危険性が高まっています。また一方で、有害化学物質が大多数の女性の母乳から検出された事実から、多くの新米ママたちは母乳の授乳が良い事なのか悪い事なのかの判断の間で悩み揺れ動く事態になっています。

看護師は繰り返しこれらへの曝露を経験するため、患者たちよりもさらに大きなリスクにさらされている可能性が考えられます。職場での香料の使用が雇用の障壁となっている看護師たちも増え続けています。障碍者の雇用の権利を保護する団体であるThe Job Accommodation Network (JAN)は、雇用環境での香料に関する苦情が急増していると報告しています。1992年から1995年の間に、JANは香りに関連した案件を37件取り扱いましたが、1995年から2000年の間には567件ありました。レッセンジャー氏(おそらくJANの人?)は、看護助手が香水を吹きかけられて急性アナフィラキシー反応を来した事件を報告し、この種の暴行がより一般的になりつつあると、医療従事者らに警告を発しています。

この記事では、医療現場の室内空気質を悪化させる重要かつ一般的な原因である、合成香料中の化学物質に焦点を当てて紹介します。では、以下の疑問に答えていきましょう:
香料に曝露することで健康にどんな影響があるのか?
一般的な合成香料に含まれる有害な化学物質とはどんなもの?
この問題において看護師ができることは?
無香料ポリシーのモデルは?ポリシーを提唱したり実行するには?
主なリソースは?


合成香料の健康への影響

現在(訳注;2006年)、アメリカでは5人に1人が香料曝露による健康への影響を経験しています。これらの影響は軽いものから重篤なものまであり、ごく少数の症例では死亡例も確認されています。身体の全ての機関は、影響が出る可能性を持っています。例えば呼吸器系に関連した例として、香料に接した時にぜんそく発作が起こる、或いはぜんそく症状が悪化するといった事例があります。ある研究では、ぜんそく患者の72%が、香料に対して否定的な反応を示しました。香料が呼吸器疾患を引き起こす可能性があることを認識している看護師は少ないです。香料は呼吸器に対して刺激性を持っているため、呼吸器系の問題を引き起こす可能性があるのは既知のことです。香料と健康に関する情報提供サイトの主催である看護師のベティ・ブリッジス氏によれば、呼吸器に対して高い刺激性を持つ物質は、ぜんそくやぜんそく様症状を引き起こすことがあると言います。2002年にはイノバ フェアファックス病院で、看護師が香料に対するアレルギー反応の合併症により死亡したという悲劇的な事例が起きました。中枢神経系関連では、いらだち、集中力低下、頭痛、運動失調、めまいなど、様々な症状が起きます。香料に対するアレルギー反応が最も好発するのは皮膚で、人口の5~20%にこの既往があります。炎症、かゆみ、熱感などが生じる場合があります。香粧品や芳香製品も、乳がんその他に関して高い発症リスクをはらんでいます。左側の陰のあるボックスを参照していただくと、環境保護庁による香料化学物質の健康への影響のリストがあります。(訳注;最下部のの引用boxに記載してます)


合成香料に含まれる有害化学物質とその健康への影響

これらの症状や健康上の問題を引き起こす可能性がある香料には、どのようなものがあるのでしょうか?直近の50年において、香料の80-90%は石油原料から製造されているもので、広告で信じさせようとしているような天然由来のものではありません。香料入り製品に一般的ににみられる有害化学物質には、アセトン、ベンゼン、フェノール、トルエン、ベンジルアセテート、リモネンなどがあります。左側のボックスには、これらの化学物質による健康被害の一部が記載されています(訳注:最下部引用boxに記載)。スペースの都合で、化学物質とその健康への影響の例の一部のみを提供しています。

香料の健康への有害な影響は、上記(注;;最下部引用box)の化学物質をはじめとする数千種類の化学物質それぞれにによるものだけではなく、それぞれの人工香料は数百通りもの異なる化学物質が組み合わさたものから成っており、その状態のものが影響する可能性もあります。個々の化学物質のうち、呼吸器への影響や神経毒性についてテストされているのはごく少数のみであり、それらが化合してできた化学物質が健康に与える影響については殆ど実施されていません。香料の成分は商業秘密法(訳注:Trade secret laws;日本でのいわゆる企業秘密を保護する法律)によって保護されており、消費者は香料を構成する多くの有害化学物質について知らされていません。

香料の刺激は、繰り返す曝露に免疫システムが反応を引き起こす物質を”学習認識する”いわゆる感作過程を誘発する作用があります。リモネン、ピネン、ベンザルデヒドの分解生成物質は、一般的な香料に見られる感作物質です。フタル酸エステルと合成ムスク化合物の2グループは、香り付き製品に頻繁にみられるもので、深刻かつ長期的な健康被害を引き起こすことが知られている化学物質です。フタル酸エステルは内分泌系のかく乱作用が認められており、香り付き製品に頻繁にみられます。香料に使用される合成ムスク化合物は脂肪組織に蓄積し、母乳からも検出されています。これらの化合物は同様に、水質汚染に寄与し、水生生物やその他野生動物にも害を及ぼすことが示されています。


香料はどこに潜んでる?

香料は私たちの社会のあらゆるところに存在します。そのものが製品化されている香水やコロンの他にも、パーソナルケア用品、洗濯用品、清掃用品のほとんどが香料を含有しています。ただし、「無香料」のラベルがついている製品を除いて。また、香料はトイレットペーパー、キャンドル、マーカーなど、一般に広く使用される他の多くの製品にも使用されていると思われます。エア「フレッシュナー」には普通に香料が使われています。これらは空気をフレッシュにするというよりは、むしろ空気質を大幅に低下させます。


あなたにできる香料対策

1,香料を含むパーソナルケア用品、洗濯用品、清掃用品を避けてください。製品が無香料かどうかを、ラベルで注意深く確認してください。無香料製品にも、マスキング香料が含まれている場合があります。(訳注;日本においては規制が緩く、これらに入っている香料は全て「香料」とだけ記載されていることが殆どである。また、マスキング香料については使っていてもほぼ記載されていない)

2,ユニットの他の看護師に、香料や香料入り製品を避けるよう持ち掛けてください。すぐに入手可能で、コスト増加もほとんどない無香料製品リストをご紹介しています。無香料製品リストは次に紹介するパンフレット「香料の隠れた危険性」に掲載されています。

3,パンフレット「香料の隠れた危険性」やコピーを配布してください。パンフレットのサンプルは、切手を貼った返信用封筒をウェストマサチューセッツ州環境衛生連合(私書箱187,ノーザンプトン,マサチューセッツ州01061-0187)に送っていただければ入手可能です。

4,あなたの職場に無香料ポリシーや宣言があるかどうかを調べてください。

5,規定に無香料ポリシーや宣言がある場合は、施設の名称と所在地、また可能な場合はポリシーや宣言の内容を以下の宛先にメールでお知らせください。香料関連ポリシーを採択している大規模医療機関リストをwww.hcwh.orgでオンラインでの入手が可能にしていきます。

6,もしもあなたの置かれた環境が無香料ポリシーや宣言を採択していない場合は、続く記事で説明するモデルに基づき、採択の検討を働きかけてください。


※環境保護庁による香料が健康に及ぼす影響リストより一部抜粋

環境保護庁によると、人工香料は、喘息、反応性気道疾患(RADS)、呼吸困難、咳、疲労、眼刺激、副鼻腔炎、鼻炎、粘膜の炎症、皮膚炎、免疫系の損傷、吐き気、嘔吐、腹痛、血圧の変化、癌、さらには重度の呼吸不全による症状に関連しています。

脳および神経系への影響には、痙攣、頭痛/偏頭痛、うつ病、めまい、過敏性、混乱、パニック発作、不安、記憶喪失、集中力障害、眠気、不眠、視力障害、失調、失調、緊張、強直、筋肉のけいれん、手足のけいれん、筋肉の筋肉の喪失などがあります。


※ラリー・ウォレスによる1991年のEPA研究。「消費者製品と一般的なマイクロ環境における極性揮発性有機化合物の同定」



フレグランス化学薬品とそれに関連する健康問題

口と喉のアセトン乾燥;めまい, 吐き気, 協調の欠如, 滑舌, 眠気, 重度の場合昏睡;主にCNSの抑制剤同様の作用が見られます。

目と呼吸器系のベンゼン刺激;白血球の減少, 頭痛.判断障害、月経障害など。フェノールアイ(訳注:目のフェノールによる曝露症状?) 鼻, 喉の刺激, 腹痛;心臓不整脈と障害、 心血管虚脱

染色体異常および損傷;冷汗、崩壊、混乱、頭痛、血中貧血、発汗、耳鳴り。皮膚のトルエン曝露様症状、眼、および呼吸刺激性、CNSうつ病、肝臓および腎臓障害、および中毒による脳機能障害。

酢酸ベンジルによる皮膚曝露症状、眼、呼吸器および胃腸刺激性、嘔吐、下痢、組織損傷、異常なEEG。リモネン曝露による皮膚症状と眼刺激性および感作剤;胃刺激性, 尿及び血液のアルブミン値への影響;など多くのCNS効果。1,2ハート、J.et.al 毒性AからZ:日常の汚染バークレーへのガイド:カリフォルニア大学出版局、1991年。
ウィルソン、C.化学物質暴露と人間の健康:症状と組織のディレクトリへのガイドを持つ314化学物質への言及。ジェファーソン、NC:マクファーランド、1993年。

※訳注;アセトン乾燥とは
アセトンは非常に揮発しやすい物質であり、揮発するときに周囲の水分も一緒に蒸発させる現象(これにより冷却効果がある)。揮発性の高い他の物質、例えばアルコールなどの消毒薬でも類似の現象が起きる。




これ、メリーランド州看護協会とマサチューセッツ州看護協会が提唱してる政策です。記事は2006年。奇しくも、日本でのサイアクの香害製品販売前年ですね。これを見るとあっちで排斥された香害が日本に居場所を求めてきて、日本がバカ面下げてホイホイ受け入れたってのも時系列的にばっちりですね。
腹立つ。

日本看護協会、ちょっと頑張ってみませんかコレ?


この続きは、「無香料ポリシーモデル」「香料に関する実態調査サンプル」になります。
今回紹介した、香料の害=香害がもたらす健康被害の部分は、日本でも香害に関する学習会などで紹介されている内容と被っています。むしろ情報は今の日本の勉強会の方が新しいかもしれないです。けれどそのあと。無香料ポリシーの導入のためのガイドライン。ここまで思考が及ぶのが西洋的というか、日本の精神性が幼稚と言われる所以というか。

皆様が個々の環境で行っておられる処遇改善、合理的配慮を求めるための交渉にも、とても有用な内容と思われますので、ぜひ読んでいただきたいです。
これを初めて翻訳した2020年当時は、長いんで一部重要なところだけ訳してまとめただけでしたが、やはり全部重要だと思うので頑張って全訳にトライしました(無香料情報サイト一覧以外)。
まぁ、今はGoogleの翻訳機能でタダでちゃちゃっと訳してくれるということを、当時これを訳した直後に知ったわけなんですが(もの知らず)。けどやはり、細かいニュアンスが伝わらない懸念もあるし、スマホで見てる人は翻訳機能使えない環境の場合もあるっぽいですし、大事なニュアンスが伝わらないかもだし。
どうしても英文と和文ではニュアンスが違ってくる部分もある。かといって、訳者が拙いと、その意識が訳文に介入してしまう懸念も否めない。

翻訳機能を使える方は原文で翻訳機能を使ったバージョンも読んでいただけると、よりこの記事の真意を読み取りやすいかと思います。

2024年 4月

この記事の後編はこちら↓↓↓


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