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IFRAスタンダードと香粧品香料の規制


※2020年11月22日、はてなブログ初掲の記事をそのまま持ってきたもので
す。I

IFRAとは

日本において、よく香害の害を売ってる企業に害を訴えたり何とかしてくれと訴えても、

規準をまもって安全には十分配慮しています

って答えしか返ってきませんよね。
その基準を決めてる団体です。Wikipediaによると

IFRAとは

IFRA(国際香粧品香料協会)は、香粧品香料業界全体の利益および香粧品香料の安全性を維持するために活動する国際的な組織です1。具体的には、消費者や環境に対し、安全性の高い香料製品の供給に専念しています2。そのために、IFRAは「IFRAスタンダード」という自己評価基準を設けており、この基準は香料素材の規制を「使用禁止」「使用制限」および「規格設定」の3種類に分けて行っています2。これにより、香粧品香料が安全に使用されることを確保しています
※Wikipediaに記載の内容をAIがまとめたものです。

国際香粧品香料協会 - Wikipedia

となってます。

1973年にスイスのジュネーヴで設立され、現在はベルギーのブリュッセルに事務局が設置されているそうです。

日本が香料使用において、安全性や量、濃度、取り扱い方などの安全における指標としているのがこのIFRAが独自に作ったIFRAスタンダードです。

IFRAのメンバー

国際団体で、国際基準を決めている、香料を扱う団体。香料についてもそんな団体が規制を設けてるんだ!安心だね!!
って、一見思いますよね。
ですが。

創設したバックボーンとメンバー見てみましょうか。

IFRAのメンバー
8社の国際的企業からなる正会員と21の各国関係団体からなる工業会会員、関係団体が存在しない国の企業からなる賛助会員で構成されている。日本からは正会員として高砂香料工業、工業会会員として日本香料工業協会(JFFMA)が参加している。

国際香粧品香料協会 - Wikipedia

正会員、八社の国際的企業です。
Wikipediaにも詳しく載っておらず、検索しても見つからなかったんですが、こちらの企業のHPで、もう少しだけ詳しく紹介してくれてました。↓

世界4地域全てに事業を展開する香粧品香料・製造会社の正会員会社と欧州・北米・ラテンアメリカ・アジアに属する各国の工業会会員、その国にIFRAの会員である工業会が無い場合の賛助会員で構成されている、非常に大きな団体です。

IFRA(国際香粧品香料協会)とは?安全性の高い香料を提供するための基準も確認|岡畑興産株式会社 (okahata.co.jp)

よくお手盛り団体といわれる所以ですね。
外部が監査しているのではなく、香粧品香料を扱う企業が集まって作っている団体です。
一応規制も行っているようでIFRA使用禁止スタンダードなるものも存在していました。

IFRA禁止スタンダード

存在はしてますが、日本ではあまり積極的に翻訳などしてなくて、すべてを調べるにはIFRAのHPで、上記IFRAスタンダード全文を読み解くしかありません。

けど解説は見つけました。


今回、参考にさせて頂いたのは
日本香料工業会(IFRA会員)

香粧品香料の安全性の歴史 第四回

 IFRA その2 (IFRA理事会理事 浅越亨 氏)です。

https://www.jffma-jp.org/fragrance/safety/ref/4_IFRA2.pdf

※PDFファイル

以下、このPDFから引用が続きます。

IFRA禁止スタンダード

IFRA禁止スタンダードとは
(前略)使用を禁止することであるが、禁止理由がはっきりしている場合はもとより、安全性のデータが不十分な場合も安全性のデータが出そろうまで、禁止の措置が取られる。

2011年6月20日に通知されたIFRA実施要項第46修正までで、禁止スタンダードの数は86である。(後略)


IFRA禁止スタンダード;86

●IFRA規格スタンダード;濃度温度など使用の規格を制定;18

●IFRA制限スタンダード;同様に使用制限を制定したもの;95

●QRAでない制限スタンダード;量的リスク評価で決定

  光毒性全身毒性(主に発がん性

●QRAによるスタンダード

(※注:2011年時点)


だそうですよ。QRAってなによ?と思いますよね。後述します。 


IFRAでは、つまり日本では、使用禁止とされている香料は2011年において86ですね。

日本には、合成香料をほぼ網羅している「合成香料」という書籍があるそうで、それをどこかで見られないか探していました。個人的に図書館がきついもので。
そこで出版社に問い合わせたところ 、2016年に改訂されているとの事なのでその際に増えているかもしれませんが、現在のところリンク元記事の内容しかWEB上では調べられませんでした。(※2020年時点)


禁止されているのが86、それ以外の物質は比較的自由に使われている。しかし、毒性を評価しているのはIFRAの独自機関であるRIFMです。これは一応、IFRAが作った機関ではあるけれど、「一応」利害関係のない研究団体であるとはされています。

でもどうなの?香粧品香料を使った製品を作って売る企業が作ったIFRA
そのIFRAの下部組織みたいなRIFM
そんなところで決めた基準は本当に大丈夫なの??
と思いますよね。

企業側に聞きますと、繰り返し実証と調査と研究を続けている、全く利害関係のない研究団体である。だから大丈夫。
と言います。特に日本。
安心だ安全だ、なぜならIFRAの規準を遵守している。

IFRAの規準を遵守していると安心なんでしょうか?諸外国は信用していないようですが。


IFRA頼みにならない諸外国の動き

EUのREACH規則

REACH規則は、EUが定めた化学物質に関する規制で、その目的は
ヒトの健康と環境の保護
化学物質のEU域内の自由な流通
EU化学産業の競争力の維持向上と革新の強化
だそうです。
REACHはRegistration(登録)、Evaluation(評価)、Aushorization and Restriction(許可と制限)、Chemicals(化学物質)の頭文字です。
この規則は、EU域内で生産・輸入を行っている企業に対して、化学物質の登録、評価、認可、制限の義務を果たしています。また、EUに加盟していない国からの輸入物質についても同様の登録・評価が要求されます。これにより、化学物質のほとんどすべてが規制の対象になります。

EUは、出回っている香粧品香料の中で感作性を認めたものについて独自に調査し、人体への影響を評価・発見し、注意喚起を行い表示義務を課し規制を行っています。
その結果、26の物質がアレルゲンとして指定されたわけです(※IFRAでは「アレルゲン」としての注意喚起を行っていない。なぜならIFRAの規格・制限・QRAなどの規準は意味をなさないから)
さらにEUは、アレルゲンとしてもっと多くの物質の規制の必要性も現在予定しているところです。(※これは2020年当時の話で、2023年には既に、さらに56種類が追加されて、REACH規則によってアレルゲン指定された成分は合計80種類となっています。)

アメリカでは?

アメリカでは化学物質の安全性に関する規制は連邦レベルで、EPA(環境保護庁)などが行っていますが、各州でも独自の規制を設ける動きがあります。
特にカリフォルニア州とワシントン州では、「より安全な消費者製品(Safer Consumer Product)」に関する取り組みが進められています。これらの取り組みは、特定の化学物質を含む製品に対して、その化学物質の使用を制限したり、代替物質の使用を推奨したりするもので、香粧品香料も対象です。
具体的には、カリフォルニア州では2013年に「より安全な消費者製品規則(SCPR)」が制定され、有害化学物質の含有をなくすことを目的とした取り組みが開始されています。
また、ワシントン州では2019年に「公衆衛生及び環境に影響を及ぼす有害汚染物質防止法」により、「ワシントン州のより安全な製品(SPW)」の取り組みが開始されました。

日本は?

香粧品香料については特に、日本は何もしてませんよね。安全性の根拠を、香害製品を製造販売するどの企業に聞いても、基準はIFRAと化審法です。EUやアメリカのように、IRFAでは規制されていない物質が独自に国内で規制されているという例はありません。ゆるゆるのガバガバもいいとこです。
それどころか(香粧品香料の話とは離れますが)、ついこの間のことですが、EUがPFASについての規制をするということに日本が公民一体となり組織的に反対の口出しをして失笑を買ったということすらありました。

恥ずかしい。どんだけ未開の国だよ。


では、IFRAがその内部の調査組織で安全性の確認を安全確認の方法とは?

IFRAの安全性確認の手法

IFRAの組織であるRIFMがその安全性の調査と研究を行っています。前述のPDFファイル内からまた引用です↓

(前略)
6)AEL(Acceptable Ecposure Level)許容曝露濃度
感作を起こさないと許容される曝露濃度である。許容曝露濃度はWoE予測無感作誘導濃度を感作評価係数で割ったものである。
7)CEL(Consumer Exposure Level)消費者曝露濃度
欧米の曝露量調査データから導かれる。
8)QRA(定量的リスク評価)
QRAとは、正しく消費者が実際暴露している濃度と許容されるレベルとの対比であって、すなわち、AEL/CELの比の評価である。AEL(許容曝露濃度)が、CEL(消費者曝露濃度)を上まわれ(同じを含め)ば、リスクはなく容認できることになる

(後略)

https://www.jffma-jp.org/fragrance/safety/ref/4_IFRA2.pdf


ちなみに、QRAを出す方法を説明する文中で パッチテスト (体表の)面積 を問題にしているとあります。つまりは接触毒性ですよね。

興味のある方、リンク先の文章をご覧ください。


そして気になるのは

文中曝露評価の項にありますが、

フレグランス成分の曝露は、消費者製品の使用習慣やヒトのパラメータから決められている。消費者製品の使用習慣は、欧米のデータからではあるが、Colipa(欧州化粧品工業連合会、現在のCosmetic Europe)やCTFA(米国化粧品、トイレタリー、フレグランス工業会、現在のPCPC)の実際の調査データが、主として使われている。ヒトのパラメータとは、人の体の表面積のデータで、それぞれの消費者製品が使用される対象となる表面積のデータとなる。

https://www.jffma-jp.org/fragrance/safety/ref/4_IFRA2.pdf

使用段階での評価の基準となるものは、ヒトの体の表面積のデータだそうですよ。(製造段階では濃度が高いので、別の規準が存在)
揮発して吸い込む段階での調査は?空気中での動向調査は?揮発した物質同士が空気中などで反応する場合の調査は?日本なんか特に狭いところに人がひしめき合ってるんだから。商品単独で発するニオイが快いか不快か調香師や臭気判定士に確認してます、どころの話じゃないです。それ以前の安全性の問題。いや快不快の規準もだいぶおかしいけども。

肌に直接つける状態だけに注視している段階ではないでしょう。

これだけ世の中に充満して日々みんなが吸い込んでる、そのためにむせたり気持ち悪くなったり気が遠くなったりしてる物質の評価が接触毒性中心の評価だけでいいのか?という事。

既にアメリカやカナダの肺協会ではScent、つまり香気成分を、吸入により呼吸器疾患など人の健康に悪影響を与えるものとして注意喚起してます。
ちなみにScentは悪臭を指します。香害に「香」の字をあえてている日本の被害者、なんて優しいんだろう。

ちなみに日本の生活習慣病予防協会のCOPDのページでは一生懸命禁煙を呼びかけてます。禁煙だけ。おいおいおいおい。


おもうこと


思うんですけども、香料てものは確かに大昔からありましたよね。香水、アロマテラピー。

日本では今の香料のほとんどは明治維新以降入ってきたものです。アロマなんて戦後かなり経過してからじゃないんでしょうか?昭和のころには、少なくとも一般的な消費者がやすやすと手に入れられる状況にはなかったように思います。

そう言うと現在の香料使用を問題ないと考える人たちは「日本にもお香があったし香道なんてものもある」と言いますが。

そんなもん戦後しばらくして日本が行動経済成長を遂げるまで、庶民に手に入って津々浦々まで行き渡ってた状況はなかったでしょ。

各家庭が一気に洗濯機や服や体からこんなにも香料を立ち上らせてたことなんて少なくとも日本では有史以来ここ数年が初めてのはず。

そして消費習慣データを欧米から引っ張ってきてるようですが。湿度温度も社会生活における人口密度も違う日本に、そのまま当てはまるものなのか?


香粧品香料だけでもこれです。
一体国と企業は何をもって安全と言っているのか、もっと注視するべきですね。


参考リンク

IFRA

アメリカ肺協会

カナダ肺協会

COPD情報サイト






あとがき?

以上、2020年に調べてまとめたものに、加筆修正したものでした。
EUはすでに規制された香料は80になりましたね。調べ始めたときは24でした。

日本は一体何やってんすかね。

先進諸国には、例えばEUのREACH規則、アメリカにはPDPDなど、IFRAだけに頼らない独自の調査機関があり、日々安全性評価を行ってます。
日本は、環境も違う(湿度、人口密度など)諸国の香粧品企業が作った組織のお手盛り基準をそのまま持ってきて「安全性には十分配慮してます」だそうですが。
どの口が言ってるんでしょうね。

※ちなみに、TENKI.COMによる、世界のジメ暑ランキングがこちら。

湿度と香りの関係

湿度が高いと、空気中の香料はその場にとどまり、いつまでも拡散&希釈されず、香りなどの影響も出続けるんです。ただでさえ。マイクロカプセルなんか使わなくても。
日本のように湿度が高くならない他国でも、香料が他者や使用者に悪影響を与える可能性が高いということを念頭に、様々な対策がなされてます。
日本は地理的にも、欧米のように香りを使うのに適さない地域性だということを、日本人は本当は理解して気を付けていたんです。2000年代くらいまでは。香粧品香料を使った製品を作る企業でさえ。だから長い間、日本では特殊なシーン、特殊な人を除いて、一般に香水などを使う文化が浸透してこなかったんです。
その、少し考えればすぐわかる常識を、使う側どころか作る側が全く無視して180度方向転換してしまったのは、いったい何なんでしょうか。
どこかおかしくなってると思います。


2024年3月


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