記憶ない is very 便利
お酒を呑むのが好きだ。
そして豪快にお酒が強い女子も好きだ。
都内の服飾学校を出て地元へ戻り、初めて仕事を始めた店員時代、憧れていた女子社員はみんな綺麗でもれなくお酒が強く、そこに自分が誘われていることが嬉しかった。
そして
仕事をする上でお酒は飲める方が絶対有利。
との助言に、私も、絶対そうですよね!
と答えていた。
女子社員達はその時30代で、男女が同数程いた社内でその勢いと仕事っぷりで有無を言わせない威厳を放っていた。
私も、もし30代になってもこの仕事を続けるならば、絶対に「惨めに見える隙もない」威厳と実績がマストだと思っていた。
その助言は間違ってはいないな、と感じたのは再上京して仕事をしだしてからすぐ。
まだ新人のペーペーにする様な内容ではないだろう話を飲みの場でお偉いさんから聞いたり、
喫煙所で行われる進捗確認もなるほどな、と起きている問題の流れや従うべき人を選ぶのにもとても役に立った。
そして同時に、
飲めなくても絶対に呼ばれる女子
の強さを思い知る。
私から見る彼女たちはいわゆる普通の可愛いお嫁さんになりたいタイプの女子で、朝まで付き合いますよで親しみやすさをゲットした私とは違い、ヨガやドラマの最終回を理由にお先に失礼しまーすと名残惜しさもたっぷり残して帰っていく。
でもそんな彼女たちもそんな自分も決して、嫌いなわけではない。
仕事や取り引き先の話を引き出したい私に対して、彼女たちは奥さんや社内諸事情を聞き出すのがとても上手だ。
それは役得で、キャリアを張りたい女子と幸せさを張りたい女子は相手がそこでマウント取る気がないとわかると意外と仲良く出来るものだ。
仕事をする上で出来不出来にプライベートは関係ないが、いざという時に役立つ切り札は実は後者だったりもする。
彼女たちに話してしまう心理は、彼女たちがまず自分の話をたっぷりお届けする部分にあると思っている。
私は昔から自分の事や恋愛や夢を人に話すのが苦手で、聞いてくださいよ〜と100自分の話に出来る女の子をいつも羨ましいなと思う。
それを伝えるとだいたいは、心の中では馬鹿にしてるんでしょ?と言われるので顔か態度には出ているのかもしれない。
そんな彼女たちは、また誘われる。
そして彼女たちを誘う役が、自分だけにお声がかかったやった!と一瞬思った私に廻ってくる。
男性社員の詫び文句は、
だってほら、キミハも居るならってみんな来てくれるんだからさ。
慕われてるよね〜キミハ。
嬉しい。
訳ないだろうスットコドッコイが。
でも全然笑顔で引き受けるわたし。
だって翌日の“そーゆう話”の時の女子の伝達スピードは仕事上のそれよりもはるかに早いから。
会議はだいたい給湯室か、女子トイレ。
〇〇課長、ヤバいらしいよ〜
から始まるレジュメは起承転結もバッチリ一晩で整えられて配られる。
そして会議がとっくに終わった後に、賄賂のチョコレートを持って口止めに来た男性社員に彼女たちは手を添えてこう言うのだ。
酔っ払ってて全然覚えてないですー。
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