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京都と高さ規制

京都は街並みを守るために様々な規制がされていますが、
その中でも有名なのが、建物の高さ規制。
中心部では現在、多くの地域が20mまで、商業地であっても31mまでしか立てられません。
これは2007年に規制強化された結果であり、以前はもう少し緩かったのですが、それでも他の政令指定都市に比べてもかなり厳しい制限になってます。

その規制の一番の理由は、五山の送り火の景観保護です。

8月16日に毎年行われる五山の送り火は、夏が終わりに向かっていることを感じさせてくれる季節の風物詩であり、市民からとても愛されている行事なのです。
そして、「京都」であれば、少し高台に行くだけで多くの送り火が見られるのというのも、1つの特徴です。
私が小さい頃、屋根に上って送り火をよく観たものです。
なので、高い建物で送り火が観られなくなるのを嫌がる市民が少なからずいる訳なのです。

あと、街中の旅館の借景維持という側面もあります。
京都市役所の近くに3つの有名旅館「俵屋」「炭屋」「柊家」があるのですが、この近くにマンションがたつ度に騒動になってます。2007年の規制強化はその影響もあります。

なお。
この規制をかいくぐり、例外的に規制を超える高さを誇る建物があります。3つ。
その三つとは、

京都タワー
京都駅ビル
京都ホテル(現京都ホテルオークラ)

です。

うち、京都駅ビルと京都ホテルは1990年~2000年頃にわざわざ規制を例外的に緩めて建ててます。
京都タワーと京都駅ビルは、まだ「京都」の端で、「京都」での五山送り火の景観をそれほど破壊しなかったから、まだ許容された感はあるのですが、「京都」の中心に作った京都ホテルに対する反発は相当なものでした。
結果、相乗り候補の京都市長が落選しかかってます。
詳細は、Wikipediaで1989年の選挙結果をご確認下さい。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%E9%95%B7

このときの選挙の異常性が、投票結果からもにじみ出ていると思います。
なお、この時、京都の仏教会は京都ホテル宿泊者の拝観を断る等の告知をしてました。
実効性のある措置とはあまり思えませんが、京都ホテルの評判はがた落ちです。
その影響もあってか、京都ホテルは経営が悪化し、ホテルオークラと提携することとなり、京都ホテルオークラに名前が変わりました。
なお、今は京都ホテルオークラが敵対視されてるわけではないです。高さは変わってないですが。
どういった手打ちがあったか、私は知らないです。

そんなわけで。
京都での高さ規制は、かなりデリケートな問題です。
ポイントは、「京都」の景観を破壊、特に五山送り火の景観を破壊しないかです。
それを理解すれば、最近話題になっている高さ規制の緩和のニュースも、見方が変わるかと思われます。

今日はここまで。

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