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チケット詐欺からお金を取り戻す!犯人の傾向と成功例

私が運用しているtwitterアカウント(@25kimi1)では、詐欺被害の相談を受け付けています。

運用開始から2ヶ月が経ち、すでにたくさんの被害者の方々から「騙された!」というご相談をいただきました。

いくつかの相談を受けながら、12月、1月ともっともたくさんいただいた相談は

チケット代金を振り込んだのにチケットがもらえなかった!

というケースです。

いわゆる『チケット詐欺』と呼ばれる手口の犯行ですが、これがビックリするくらい多いんです!

今回のnoteでは、実際に相談をいただいたチケット詐欺のケースを分析しながら、チケット詐欺の被害を回避するための注意点について触れていきます。

※2019年6月アップデート

6月現在でも毎日たくさんのメッセージをいただいています。報道でも「チケット詐欺を逮捕」というニュースが目立ちはじめましたが、まだまだ捕まっていない犯人がたくさんいるのが実状です。

まだまだ逮捕者は増えるものと予測されますが、逮捕されたからといって全員が返金を受けられるというわけでもありません。ぜひ事件が集結する前にご自身で取り返す勢いで攻めていきたいものですね。


チケット詐欺とは?


チケット詐欺とは、SNSなどを通じてコンサートなどのチケットを販売すると持ちかけて代金を支払わせ、実際にはチケットを渡さず、お金を騙し取る手口のことです。

ネット上では『チケット詐欺』という用語が一般化していますが、実は警察庁が定めている詐欺の手口分類にはチケット詐欺という手口は存在しません。

警察庁の分類では、この種の詐欺は統計上は『詐欺(その他)』というザックリとした分類にまとめられています。

もし警察署に相談して「チケット詐欺?なにそれ?」といわれても、どうか警察官を責めないであげてください。

『チケット詐欺』という用語自体が造語なのです。


年末はチケット詐欺が横行!


それにしてもチケット詐欺の多いこと!

わずか2ヶ月で、私のもとに届いた相談は5件。

「それ、多いの?」と思うかもしれませんが、チケット詐欺に限っての話であれば、地方の県庁所在地を管轄する大規模警察署なみの件数です。

しかし、なぜこんなにもチケット詐欺が横行しているのか…

そこには、年末年始にかけてのカウントダウンに絡むものが多かった印象があります。

人気アーティストのカウントダウンコンサートなどでは、とんでもない競争率!

たとえば、毎年恒例のジャニーズカウンドダウンのチケット競争率は、なんと20倍以上!
当選確率は5%から、厳しい年では2%といいますから、お金で解決できるなら…という気持ちになるのは理解できます。

そこが詐欺師どもの狙い目ではあるのですが…


なんと詐欺師に脅されるケースも!


チケット詐欺の相談を受けながら「なんだそりゃ?」と感じたもの。
それは「犯人から脅された」というケースです。

「ちゃんと返金する。もし返金を待たずに警察に被害届を出したら住所を知ってるから報復してやる!」

チケット詐欺の面倒なところは、チケットの郵送先として住所・氏名が知られていることがあるという点でしょう。

この点、オンラインチケットであればその先の心配は薄れますが、リアルにチケットを手に入れようとしていると住所・氏名が犯人にバレることは避けられません。

そこを逆手にとった犯人が「住所を知っているから、報復するぞ」と脅迫してくるというわけです。

恐ろしい…

とんでもないヤツがいるものです。


『業界人』の身分を偽る者まで!


ここ2ヶ月のチケット詐欺相談で複数の方が同一犯による被害を受けたケースがありました。

それが『業界人』を騙るチケット詐欺です。

イベントの興行側など、チケットが特別に入手できる立場にある『業界人』であると偽ってチケット購入を持ちかけて代金を騙し取ります。

今回の相談では、あるテレビ局の関係者を名乗り、被害者を信用させるために運転免許証や社員証などの画像を送信していました。

この事例の犯人は、正確には『元業界人』で、一昨年まで実際に某テレビ局で契約社員として勤務していた事実がありました。

たしかに、テレビ局の関係者ならチケットの入手なんてお手の物…だと思い込んでしまいますよね。

ただし、ちょっと注意深くみればひどくウソくさい感触がします。
だって、テレビ局の社員が「信用して」という材料として社員証をさらすなんて非常識すぎませんか?

いかにも「お金を騙し取ってやろう」という匂いプンプンしますよね。


チケット詐欺の犯人は素人の臆病者ばかり!


私は知能犯刑事としてそこそこ長く勤務させてもらい、たくさんの詐欺事件をみてきました。

そのおかげで、カンタンに概要を聞けば、まずは「プロの詐欺師の仕業か、それとも素人の犯行か」を選別することができます。

2ヶ月間で対応したチケット詐欺のうちで「これはプロの仕業だ」というものは1件もありませんでした。

つまり、チケット詐欺は素人なのにズルいことをしているニセモノの詐欺師が好む手口だということです。

では、どうやってプロと素人を見分けているのかというと、その決め手は

・電話はつながるのか?

・LINEやメールのやり取りはできるのか?

という、たったの2点です。

もし、あなた自身がチケット詐欺の被害にあっているのであれば、この2点を確認してください。

プロの詐欺師や詐欺集団は、いつまでも被害者から連絡が可能な状態を続けることはありません。

ある程度の期間は連絡が可能な手段を用いて、被害者が「詐欺だった!」と気づいたころには連絡がとれないようにシャットアウトしてきます。

もしも、チケット詐欺の被害にあったのに

・電話はコールのみで出てくれない、または留守番電話になる
・LINEやメールのやり取りは可能で「返金する」「別のチケットを手配する」といった言い訳を繰り返す

というパターンなら、相手は間違いなく素人です。

だって、お金を騙し取るのが目的なのに、お金を騙し取ったあとのフォローなんて必要ないですもんね。

日頃、仕事やプライベートで使うスマホで詐欺行為をしたものだから、番号変更・解約・アカウントの変更削除ができないのです。

しかも「ヤバい!警察に通報されたら困る!」と焦るものだから、ついついボロがでてしまうのに「返金します」なんてやり取りを続けるんです。

素人だから「警察に捕まる」という事態にビクビクと怯えているんですよ。

プロの詐欺師なら、発覚を恐れてもいつかは上手く『ドロン』しますからね。


ちょっと圧力をかけると返金する!


チケット詐欺の被害にあった方々の多くが「警察に相談したけど、なにもしてくれなかった」と私に漏らしていました。

こんな言い方をするのはよろしくないとわかってはいますが、この程度の手口の詐欺事件で「なにもしてくれない」というのはおかしな話です。

だって、相手は十中八九『素人』です。

詐欺師と呼ぶにはふさわしくないほど、短絡的で稚拙な犯行ですから、わざわざ被害届をとって事件にするまでもないでしょう。

被害者のみなさんも、まずは「お金を返して!」と望んでいるのですから、警察がプレッシャーをかけて返金させれば済むんです。

お金なんて返ってこなくていい、相手を処罰して!

なんてきれいごとをいう必要はありませんよ。

そういう類の事件ではないのです。

何度もいいますが、たかが素人が思いつきで至っただけの、短絡的で稚拙な犯行です。
警察官に捕まるかもしれないというプレッシャーを与えてビクビク生活してもらえれば、あとはお金を返させて「ことなきを得た」と思わせれば十分なんです。


私のもとに寄せられた相談の被害者の方には、こういったアドバイスをさせていただきました。

①LINEはつながりますか?⇨「つながる」場合

相手に「もう警察に相談する」とメッセージを送って反応をみる。
もし「返金する」などの返信があればまず素人。

②相手に自分の情報を知られていますか?

紙ベースのチケットであれば郵送のために自分の住所を知られているが、オンラインチケットなら住所を知られているおそれはない。
「電話番号やメアドで住所などの個人情報が抜かれてしまう」なんて、まだまだ架空世界のお話。

素人にしろプロにしろ、たかが数万円の儲けを得るための詐欺で、住所地をもとに危害を加えたりイタズラしたりといった「余計な行為」で罰せられてしまうのはハイリスクすぎる。
だから住所を知られていても「怖がる必要はない」ってこと!

さて、怖がらずに「返金しろ!警察にいうぞ!」とプレッシャーをかけ続けた結果は…

5件のうち4件がお金を取り戻すことに成功!

おお!
随分と優秀な成績ですね。

チケット詐欺は「お金を取り戻しやすい」事件だってことがわかりました!

※もう一歩踏み込んだテクニックを知りたい方は、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください!元刑事のテクニック満載で「自分で取り返す!」という技をご披露しています。


やるか、やらないかの差


実際に犯人からお金を取り戻したみなさんからは

アドバイスのおかげです
最初からこわがらずにプレッシャーをかけていけばよかった

とお喜びのメッセージをいただいています。


でも、私にしてみれば「やるか、やらないかの差」なんですよね。

今回、私が被害者の方にしたことといえば

・詐欺にあたるか、あたらないかの判断
・犯人の人物像の予想(プロか、素人か)
・犯人への返金要求のメッセージ作成のアドバイス

くらいです。
ほかにはなにも特別なことはしていません。

これが、警察では『捜査関係事項照会書』という開示請求文書によって、契約者を特定したり、住民票の情報を得たりして、犯人にプレッシャーをかけたり、逮捕して取調べたりすることになります。

警察に相談すれば、犯人を確実にマークして返金させることなんて朝飯前です。


つまり「自分も軽率だった」なんて諦める必要はないし、警察に相談して何もしてくれなかったからといって「もうムリだ」なんて絶望する必要もないってことです。

もしチケット詐欺の被害に遭っている方や、ほかの詐欺被害にあっている方がいれば、

「騙されるのも悪い」のではなく、騙すヤツが悪い!

の精神で徹底抗戦して、大切なお金を取り戻しましょう!


チケット詐欺にあわないためには?


チケット詐欺の被害にあわないための対策は、まず「正規の方法で購入すること」です。

当たり前すぎる話ですが、その当たり前を無視しているからこそ、弱みに付け込まれるのです。

たとえば、ファンクラブ限定で先行販売があるのに、年間の会費を支払うのを避けて、掲示板やオークションでチケットを手に入れようとしていませんか?

いくらかのお金をかければ、当選確率を上げる方法はあるはずです。

結果的に騙されてしまうくらいなら、正規の方法で当選確率をあげたほうが節約になります。

お気に入りのアーティストに会うためなら、手間だけじゃなくてお金も惜しんでいちゃダメなんですよね。

次に気をつけたいのが「掲示板サイトは利用しない」ことです。

本当は「それもダメ!」といいたいところですが、メルカリやヤフオクのように、サイト側が補償制度を用意しているならまだ安全です。

ところが、今回相談をいただいた被害者の方は全員が「掲示板サイトを利用した」といっていました。

掲示板サイトは、取引きが自己責任だからこそ、詐欺師がウヨウヨしています。

掲示板サイトで被害に遭っても、サイト側からのサポートはなく、掲示板内で騒いでも「私も被害にあった!」と情報交換があるだけで、解決には至りません。

掲示板サイトは認証方法が甘く個人を特定しにくいため、犯人が「常にフリー利用可のPCからメッセージを送信していた」なんて事態になると大変です。
そこまでされると、警察でも犯人を特定することができないかもしれません。

掲示板サイトでの取引きは「まず怪しい」と身構えて、できるだけ利用しないのが賢明です。

最後に「自分も嘘をつかないといけない取引きはしない」ことです。

最近はチケットさえあれば入場できるわけではなく、購入者と入場者の個人情報のすり合わせや、顔認証による入場許可を導入しているケースがあります。

もし「このチケットは◯◯◯◯という氏名で入場する必要があります」なんて縛りがあれば、

・代金を支払ったのに、チケットが無効になった
・個人情報を教えてくれなかったので、入場できなかった
・「転売がバレて退会処分になった」といってチケットをわたしてくれない

などのトラブルに発展するおそれがあります。

個人情報のすり合わせや顔認証などがおこなわれるコンサートでは、正規ルートで入手しない限り「どこかの誰かだと偽って入場する」ことが前提になってしまいます。

自分も嘘をつかないといけないような危なっかしい取引きは、最初から避けましょう。


どうしてもチケットを入手したい!という方には、せめて知人間でのやり取りにおさめるか、リアルに店舗を構えているチケットショップを徹底的にまわって探すことをおすすめします。






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