カゼ〜El vientos

長田良夫エチオピアシリーズ × 小川紀美代(音楽と写真)

あまり人の行かないところへ、どうしても行ってしまう。

意図的にというよりは導かれるように。
気付いたら地球の裏側の、アジア人というだけで二度見されるような場所で演奏していたりする。

縁あってコルドバ州コスキン市での音楽祭に出演したり、アルゼンチン・フォルクローレの聖地、サンティアゴ・デル・エステーロにまで分け入ってしまった。

そして同じように毎年、福島県川俣町で開催される「コスキン・エン・ハポン」という中南米音楽祭に通っています。
知る人ぞ知るこの音楽祭は、福島の小さな山間のこの町とアルゼンチンとの架け橋になっている。
そして、私達を音楽祭に送り出してくれたのも、川俣のみんなでした。

残念なことに40年以上続くこの音楽祭は、去年の台風、そして今年のコロナウィルス感染拡大の影響で2年続けて中止になってしまいました。
川俣のみんなの笑顔を思い浮かべながら、この音楽とスライドショーを作ってみました。

音楽はケーナと呼ばれる南米の縦笛の練習曲をもとに私なりのアレンジと編集で組み立てたもので、初めてのソロアルバム「月ノ光」に収録したものです。
今回、自然音などを付け加え、再編曲してみました。

川俣の子供たち「アミーゴ・デ・カワマタ」はこの、ケーナを演奏してくれます。

ケーナやサンポーニャと呼ばれる南米の楽器は、息=風によって音を出すために風=Vientosとも呼ばれます。
私が演奏するバンドネオンも、長い蛇腹を使って取り込んだ風で音を出しているのです。

写真は2017年に訪れたサンティアゴ・デル・エステーロ、ボンボと呼ばれる打楽器製作の第一人者、マリオ・パス氏の森で撮影したもの。
彼は、一本の木をくり抜いて作るこの太鼓に使う原木を、自分の山に苗から植えて育てています。
呪術めいた秘密の「祈りの場所」で過ごした時間は、忘れられません。

そこで感じたカゼ=El vientosは、長田良夫さんがエチオピアやメキシコで感じた風と共通する何かがあるのではないか。

「絵は構成だと考えると、最終目的は純粋抽象になりますが、どこか現実とつながっていたいと思う時、私たちの環境は自然だけでなく、概念や記号に満ちていることがわかります。」(喜多方市立美術館 図録 「告白」より抜粋)

遠く離れた異国で拾った断片をつなぎ合わせて、結局は、自分自身の無意識を現している。
それは、尽きることのない無限の遊びになるという長田さんの言葉に、同じ想いを感じます。

最後に、スライドショーの最初と最後の枝垂れ桜の写真は、郡山の「小さな森の和美術館」館長、大島和子さんから頂いた写真。
この素晴らしい枝振りの桜は、大島さんが成人した時に植えたものだそうです。

前の晩にホーホーと鳴いていた梟が、枝に止まってまだ、眠っています。

大島さんにはこういう、「瞬間」を捉える力があるように思えて仕方ありません。

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絵画、版画、コラージュ:長田良夫
音楽と写真:小川紀美代

写真提供:大島和子(小さな森の和美術館)
     齋藤寛幸(川俣町コスキンエンハポン実行委員長)

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長田良夫展〜表現を追い求めて〜

2018 6.9 Sat- 7.8 Sun
喜多方市美術館

図録より
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来年のコスキンエンハポン開催のための、協力費用の一部にさせて頂きます!

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