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Warner Bros. Studio Tour Tokyo: The Making of "Harry Potter" 鑑賞レポート


はじめに………

元としまえん跡地に新しく建てられたアミューズメント・パーク、その名も「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ‐ メイキング・オブ・ハリー・ポッター」。かの有名な、J・K・ローリング著のファンタジー小説を実写映画化した、映画『ハリー・ポッター』シリーズをテーマとした施設だ。

イギリス・ロンドンにて初めて開業し、大人気を博したことがきっかけで東京にも開設されることに。日本含め世界中が熱狂した『ハリポタ』シリーズのテーマパークとなると、日本中、いや世界中のファンたちが押しかけてくるのも当然の流れ。今この時も、多くのファンたちが魔法の世界に魅了されていることだろう。

このパーク最大の見所、それは『ハリポタ』の世界にそのまま飛び込んだかのような体験をできること………に加えて、『ハリポタ』の”撮影現場”を体験できるという点にある。

我々来場客は魔法を実際に発動できるわけでも、ホウキに跨りホグワーツを自由に飛べる訳でもない(それはそれでやってみたくはあるが………)が、映画のエキストラとして出演、または撮影の風景を見学することができる、あくまでもハリポタの「撮影セット」のテーマパークなのだ(”メイキング”・オブ・ハリー・ポッターという名の由来はこれにあたる)。

従って施設内にある装飾は映画のセットとして展示されており、それに伴い体験コーナーも「『ハリポタ』の撮影を実際に体験してみよう!!」という体で展開されている。『ハリポタ』の世界観を実際に体感できるだけでなく、その裏側をも覗くことができる………なんと贅沢なテーマパークなのだろう。

………というわけで前置きが長くなってしまったが、ここから私筆者が実際に現地へ赴き、体験したこと・感じたことなどをレポートとしてまとめていこうと思う。


先に言っておくと、筆者は生粋のミーハーである。『ハリポタ』シリーズも第1作目『〜賢者の石』と第2作目『〜秘密の部屋』しか観たことがない。故に知識不足で十分に語りきれない部分があるかもしれない………何卒、ご了承をば。

【見所①】入り口の時点で、もう『ハリポタ』。

かつてとしまえんのゲートがあった長い通路を潜り抜け、眼前に広がるはワーナー・ブラザースのロゴが光るエントランス。周りにはハリーハグリッド銅像なんかもあり、入り口の時点で『ハリポタ』の世界観を存分に体感できる場所となっている。

チケットをスタッフに提示し扉をくぐると、そこには『ハリポタ』の生みの親たるJ・K・ローリングの言葉が。「世界を変えるのに魔法は必要ない。必要な全てのパワーはすでに私たちの中に備わっている。私たちには想像力がある。」………まさに『ハリポタ』の世界そのものを言い表したかのような言葉だ。

中央には待ち合わせ用の休憩スペースがあり、左手には物販コーナー、右手にはカフェテリアが。奥側にはツアーのエントランスがあり、ぞろぞろと人が入っていくのが確認できた。

ツアーに入る前に軽く物販コーナーへ足を踏み入れたのだが、ただの物販コーナーではないところもまた素晴らしいところ。お土産などが陳列された棚などを含め、全てが『ハリポタ』の世界観に合わせてデザインされており、その様はまるで「ダイアゴン横丁」の店の一つのよう(百味ビーンズカエルチョコ、『ハリポタ』の登場人物が使用している魔法の杖やホグワーツ寮それぞれのローブなど、商品も非常に魅力的)。

【見所②】”あの3人”がお出迎え。

エントランスをくぐったら、遂にツアーがスタート。最初に目についたのは、歴代『ハリポタ』シリーズ(+『ファンタンスティック・ビースト』シリーズ)の一場面が切り取られた数々の大きなディスプレイ。

こうして見ると、ハリーめちゃくちゃ成長してるなぁ………と思いつつ次の部屋に進むと、そこにはシリーズ歴代のポスターたちが………それも全世界の。イギリスアメリカで制作されたオリジナルver.はもちろんのこと、日本版中国版など多種多様なポスターが飾られていた。まさしくシリーズの集大成を象徴する部屋と言えるだろう(※ヘッダー画像参照)。

スタッフの誘導に従い次の部屋に進むと、そこには大きなスクリーンといくつかの座席が。「まさか今から『ハリポタ』を観るのか!?」と思いつつ席に座ると、スクリーンにはまさかの「あの3人」が。

そう、ハーマイオニー・グレンジャーを演じたエマ・ワトソンロン・ウィーズリーを演じたルパート・グリント、そして主人公のハリー・ポッターを演じたダニエル・ラドクリフだ。シリーズを華々しく飾った主役の3人が、我々来場客を出迎えてくれたのだ。また別のスクリーンでは、シリーズ全作品においてハリーの吹替えを担当した小野賢章も登場した(小野賢章は、ツアー中も体験コーナーにて度々登場している)。

スクリーンでの上映が終了し、続いて案内されたのは巨大な扉。何を隠そう、扉の奥にあるのはシリーズでも特段有名な舞台、ホグワーツ城の大広間だ。「『ハリー・ポッター』の世界へ、ようこそ」というスタッフの合図と共に、扉は開かれる。雄大なる魔法の世界、そのが開かれた瞬間である。

【見所③】「魔法ワールド」はこうして作られた………

巨大な扉を潜った先、眼前に広がるは先述した大広間をはじめとする『ハリポタ』の幻想的な世界観。しかしながら、これらは全て「撮影のセット」であり、それ故に裏側を覗けば木の骨組みが見えるようになっている。あくまでも「メイキング」を主題としたテーマパーク、ということを念頭に置くと、また違った楽しみ方ができるだろう。

またこの「メイキング・オブ・ハリー・ポッター」は「ツアー」であるため、我々来場客は一方通行の道を進んでいくこととなる。ダイアゴン横丁9と4分の3番線禁じられた森魔法省など、『ハリポタ』を代表する舞台のセットを巡りつつ、その過程でグリーンバックなどといった体験コーナーを楽しむことができる、という仕組みだ。

またツアー中は基本的に一方通行ということで、道中には看板による解説写真スポットが数多く設けられている。中にはディズニーリゾートのアトラクションが如し長蛇の列が並んでいることも………SNSを有効的に活用した、まさに画期的なアイデアだ。

実際に見てみて、感想を一言で簡潔に言い表すとするならばそれは「圧巻」だ。セットから小道具衣装から特撮、その細部に至るまでの実現・解説。ミーハーなのが非常に悔やまれるほどに、そのクオリティの高さに舌を巻かざるを得ない。

ただ展示を「見せる」だけでなく、制作に至るまでの過程や、実際の撮影にて如何にして使用されたのか、などの詳細を知ることができる点もまた魅力的。こうした知見は、私のような映像を学ぶ身からすれば実に有益であり刺激的だ………何しろ新しい展示物を目にするたびに、新たな発見が得られるのだから。

さいごに………

私がこのハリポタツアーへ赴いたのは、2月初旬の平日休日と比べればさほど人はいないだろうし、余裕を持って鑑賞することができるだろう………とたかを括っていたが、実際はその真逆。大勢の来場客が、会場を悉く埋め尽くしていたのである。

私ぐらいの年齢の人や家族連れはもちろんのこと、何よりも多かったのが外国人の観光客。本当に『ハリポタ』は世界中で愛されてるんだなぁ………としみじみとしつつ、そんな大勢の来場客たちに対応するスタッフは絶対大変だろうなぁ、と接客業のバイトをしている私は変に感心してしまった。

………とどうでもいい御託は置いておいて、今回は芸術鑑賞映像研究双方において、非常に有意義な体験になったと心から言える。今回のツアーを経験して感じたこと(という言い方では少々稚拙に聞こえてしまうかもしれないが)とは即ち、「徹底的なまでのこだわり」こそが『ハリポタ』成功の秘訣だということだ。

映画を撮るということは、一見楽しげに見えて実は苦難に満ちた道のりである。企画から始まり、脚本の執筆、ロケ地の決定、ハードな撮影、長引くポストプロダクション予算との戦いというのもあり、時に製作陣は作品の制作において何かしらの「妥協」をせざるを得ない状況となる………私自身もここ2年間、映像の専門学校に通い様々な撮影を経験してきた為、どれほど辛いものなのかは身に沁みて分かる。

ましてや『ハリポタ』の原作は、同じくファンタジー小説である『指輪物語』(映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作)に並ぶ伝説的な作品だ。そんな後世に語り継がれる名作小説の実写映画が、もしコケたとしたら………最早バッシングどころの騒ぎではないのは想像に難くない。

しかし、結果は大ヒット。第1作『〜賢者の石』が世界的なヒットを記録し、続編もヒット続き。原作者のJ・K・ローリングも「大満足の出来だ」と絶賛し、史上類を見ない「小説原作の実写映画化」最高の成功例となった。

「では何故、ここまでのヒットに漕ぎ着けたのか?」………その疑問に対する答えの全ては、この「ハリポタツアー」に詰まっていると言っても過言ではない。

撮影音楽キャスティング、そして美術。映画のあらゆる要素を徹底的にこだわり抜いたからこそ、絶賛の嵐は巻き起こった。そんな『ハリポタ』制作の、奇跡とも呼ぶべき道のりを、またもや徹底的なこだわりで我々に提供したのが、この「ハリポタツアー」なのだ。

奇跡奇跡が繋がり、連鎖し、今も尚熱狂的な人気を誇る『ハリー・ポッター』シリーズ。

それはある種、何者かによってかけられた「魔法」のようなものなのかもしれない。

-Fin-



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