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ドラマ#3『仮面ライダーアマゾンズ』


仮面ライダーアマゾンズ
Season1

監督:石田秀範、田崎竜太、金田治
原作:石ノ森章太郎
脚本:小林晴子
出演:藤田富、谷口賢志、武田怜奈、東亜優、他


「養殖」と「野生」、対照的な二人のアマゾンが織りなすバイオレンスアクション

2016年、東映は仮面ライダー生誕45周年を記念し、シリーズ4作目にして歴代で最も異色の作品とされる『仮面ライダーアマゾン』をリブートした。それが今作『仮面ライダーアマゾンズ』だ。

まず『仮面ライダーアマゾン』が何故異作とされているのか。簡潔に説明するとそれは仮面ライダーにしては珍しいバイオレンスな描写が施されているからである。
敵をキックやパンチで倒すのではなく腕のブレードで「斬り裂き」、たちまち敵は真っ二つに割れ血飛沫が飛び散る。

『仮面ライダーアマゾン』第9話「ゆけアマゾン!カニ獣人の島へ!」より抜粋

更に言えばビジュアルもかなり猟奇的である。緑の体色に血管のような赤いラインが走り、ギョロッとした目に大きな口が付いたその見た目は、「真・仮面ライダー」のようにまるで怪人のようだ。(仮面ライダーも元々「怪人」の一人だけどね)

そんな異色作をリブートしたのだから、当然スプラッター的な描写は多く盛り込まれている。『仮面ライダーアマゾンズ』は、俗に言う「大人向け仮面ライダー」だ。

物語は「仮面ライダーアマゾンオメガ」こと水澤悠、「仮面ライダーアマゾンアルファ」こと鷹山仁の二人、そして駆除班と人を食う化け物「アマゾン」との死闘を描いている。

左が「アルファ」、右が「オメガ」。
どちらかというとアルファの方が原作寄りの見た目?

水澤悠と鷹山仁、二人は同じ「人間側のアマゾン=仮面ライダーアマゾン」であるが、常に対照的な人物として描かれる。仁の恋人である七羽曰く、悠は「養殖」、仁は「野生」だという。これは単に「餌を自分で取ってくるか否か」の話(二人とも半分アマゾンのため、普通の人間の食事を摂れない)だが、戦闘時の凶暴性は真逆。「養殖」の悠は獣の如く暴れ回り、「野生」の仁はカウンターを織り交ぜたスマートな戦い方を見せている。

だが敵を倒した際の描写はどちらも非常に残虐だ。首や手足がもげる、心臓を握り潰される、槍や鎌で貫かれる、身体が真っ二つに割れる、など地上波で放送したら一発アウトなものばかりだ。加えて主人公側も怪人ほどではないが流血表現が施されている。

またストーリーに関しても非常に奥深い。自身の中に眠るアマゾンが目覚めたことで駆除班と共にアマゾン狩りを始めた悠が、「何のために」アマゾンを狩るのかを模索していく。駆除班はお金のために、仁はアマゾンを作り出したことの尻拭いのために、それぞれアマゾンを倒していく中で、悠は「狩りたいものは狩る、そうでないものは守る」と言う信条に辿り着く。

今作におけるテーマに関して、個人的に何よりも感じたのは「エゴイズム」だった。特に悠の考え方に関してはまさにそれである。覚醒したアマゾンは狩り、そうでないものは守る、と言ったポリシーで活動をしている訳だが、それはただ悠が選り好みしているだけのようにも見える。どちらにせよアマゾンはいつか覚醒し人を食べ出すのにも関わらず、だ。

最終的に悠は信条を曲げることなく、鷹山仁との決戦を終え、マモル(モグラアマゾン)と共に駆除班の元を去っていく。今後どうなっていくかは…Season 2でのお楽しみに。


総評

今作の視聴の動機については『シン・仮面ライダー』が来年公開されるにあたってのものだ。「そこは『THE FIRST』とか『一号』からじゃないの!?」と思うかもしれない。そんなの知るか。俺は観たいものを観るんだ。

バイオレンスな描写は多いとは言えど、その本質はいつもの『仮面ライダー』だったように感じた。基本的には暗い世界観だが、そこにちょっとしたギャグ要素が混じって丁度良い塩梅に仕上がっていたように思える。

個人的に好きなシーンといえばやはり最終話か。淡々とアマゾン達の命を刈り取っていく悠と、トラロック(※)でボロボロになった仁が最後に対決するシーン。あそこの仁のアマゾンアルファに変身する時の叫びが胸に響いた。今まではただ「…アマゾン」と呟いて変身していた彼が、最終話で魂の雄叫びを上げるのが堪らなくカッコいい。そこから悠も仁も、まるで獣のように戦い始めるのもまた良い。ここに来てようやく原作の路線に戻ったか、と感動したものだ。
(※=アマゾンを死滅させる薬剤を広範囲に散布し一斉駆除を行った計画)

だが忘れてはならない。それがSeason2の存在だ。本記事を書いたのもSeason2まで視聴し終えたからであるが、あちらの方が格段に話がエグい。どんな物語だったか、何がそこまでエグいのかはここでは多くは語らないが、少なくとも「うわぁつらぁ」となるのは間違いないと言えるだろう。

それではまた、次の記事まで。

参考↓


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