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唐草きものがたり part1


はじめまして。
お洒落なリユース着物のセレクトショップ「京都きもの唐草」を営む唐草です。
着物との出会いは4年前、全くの初心者だったわたしが昨年暮れに小さなお店をオープンするまでのあれこれを、自己紹介を兼ねてお話ししますね。

装うことは生きること

本来の自分を表現する術をファッションに求めて、若い頃からその事ばかりを考えて来た気がします。そんなわたしが、ふとしたきっかけで出会った着物。あらゆるスタイルを試してはきたものの、洋服で自分を表現する事にそろそろ限界を感じていた頃でした。着物を身につけることで内面の何かが呼応するような不思議な感覚に導かれ、気がつけば着物の世界へと奥深く足を踏み入れる事になりました。

まずは着方の基本を教わり、後は自己流でアレンジ。洋服とミックスしたり、男物を着てみたりする傍ら、本来の着方の魅力にも徐々に興味が。とはいうものの、「きちんと着る」ことのハードルの高さに今ひとつ踏み込めない気持ちでいました。

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Paris で Kimono?

そんなある日、リサイクル着物屋さんで偶然出会ったフランス人の女の子と意気投合。モード関係の仕事をしていた彼女の「今パリで Kimono が大人気」という一言に、ならばパリで着物のポップアップイベントをやってみよう!と思い立ったのが、大きな転機になりました。

やると決めたら即行動。どこにでも直感で飛び出してしまうわたしは、半年後のフライトをさっそく予約。ネットで見つけた貸スペースはお洒落なパリっ子達の集まるマレ区にありました。モードに敏感な彼らに着物とわたしはどう映るのか、不安8割期待2割でいざ出陣。二個の大きなスーツケースいっぱいの着物とともに、パリの街へと旅立ったのでした。

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何もかもが初めて尽くし、当然トラブルもたくさんありました。
けれど心優しい現地のみなさんに助けられ、結果は想像以上の大成功。著名なファッショニスタ達がお忍びで通うセレクトショップのオーナーの目にとまり、日本から持って来た着物や羽織がそのウインドウを飾ることもありました。

ジャケットやガウンとして自分流に着物を楽しむ彼らのセンスは素晴らしく、ルールにとらわれない発想に目からウロコ。わたしも負けじと ドレス風に着物をアレンジ。

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その一方で、そんな彼らとは全く違う、帯を結んで草履を履いたわたしの姿は異国の地ではかなり異質。と、同時に『とってもエレガント!』と声を掛けられる事が何度もありました。
なぜならその装いはAuthentic(本物、本質的であること)だったから。
伝統という、その人のアイデンティティをファッションで表現する着物姿は、装いに哲学を持つ彼らにとっても魅力的に映ったようでした。

どんな装いをするのにしても、あくまで主役はその人自身、借り物でない身についた装いこそがお洒落だと、パリの街が教えてくれた気がします。
お店のコンセプトに繋がる「その人本来の魅力を引き出す着物スタイル」の原点です。

折しも、フランスでは日本文化が大人気、着物だけではなく、テキスタイルとして風呂敷なども流行していたこともあり、数ヶ月置きの渡仏の中で現地に出来た友人と、共同でお店を開く話まで飛び出すほどの熱中ぶりでした。

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2018.04 ポップアップショップの際のご近所さんと。ファッションも生き方も、こうあらねばの概念をゼロにしてくれたマイホームタウン。

ピンチをチャンスに、行き詰まったからこそ出来たこと

ところが次回の渡航準備が整った2020年春、コロナ禍で全ての計画がストップ。一変した世界情勢の中で、わたしも途方に暮れる一人でした。

アンティーク着物屋さんでのお手伝いを細々と続けていたある日、いきつけの着物屋さんから「自分の店をしてみたら」と言われた事が第二の転機に。

今までの価値観が大きく揺らいだ時期だからこそ、わたしにもチャンスがあるかも知れない。だってピンチはチャンスですから。

それからとんとん拍子に話は進み、たくさんの方達の力を借りて、わずか4ヶ月というハイスピードで2020年12月の開店を迎えたのでした。

コンセプトはお洋服感覚で楽しむ着物

リズミカルで流れるようなデザインが特徴の、誰もが知っている唐草模様。西洋ではアラベスクと呼ばれています。はるか遠くメソポタミアに生まれ、国を超え時代を超えて世界中に広がった唐草模様はわたしにとって旅と自由な精神のシンボルです。

もともと、ファッションの選択の一つとして着物に出会ったわたしですから「ファッション感覚で楽しむ着物をお届けする」ことが大前提。
お洋服を買う気軽さで、お着物ライフを楽しんで頂きたいと思っています。

飾り立てるのではなく、平凡になりすぎるのでもない、さりげなく着る人の個性を引き立てるエレガントな着物スタイルがコンセプトです。

着れたらいいな、の軽い気持ちから一歩踏み出す、敷居の低い店でありたいと思っています。

しなやかに変化をまとう

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(オープン当初は着付けを習ったばかり、どこかぎこちない^ ^)

あっという間の一年が過ぎ、日々着物に触れ、たくさんのお客さまと接する中で、理想の着物スタイルはより豊かでナチュラルなものへと進化し続けています。そんなわたしが提案するのは上質で、さりげなく小洒落た着物スタイル。ちょっとしたお出かけやお茶会などにもおすすめです。

お求めやすいリユース着物は、お着物を気軽に楽しみたい方の強い味方。コーディネートや小物使使いで洗練度はぐっとアップします。

仕入れはこれ!と思うものを感性でチョイス。上質で状態がよいことを第一に、お洒落センサーにビビッとくるものを直感で選んでいます。シェフが食材を選ぶあの感覚に似ているかもしれませんね。

シミや汚れが気になるものはお手入れをし、サイズの小さなものは仕立て直して店頭に。身に纏った時、心がパッと明るくなるような夢のある着物でありますように、と願いを込めて。

専属の仕立て屋さんもおられるので、サイズ直しや反物からのオーダーも承っています。

一方で、生地の素材や産地に関する勉強も実地で勉強中。
奥深い着物の世界で初めて知った事、感動した事をイベント形式で皆さんと共有する『着物ワンダーワールド』の活動も始まったばかりです。みなさんも、めくるめく着物の世界を一緒に回ってみませんか?

着物ワンダーワールド第一回「白生地の話」より

お着物がわたしに新しい世界の扉を開いてくれたように、あなたにとっても着物とのワクワク楽しい出会いがありますように。

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知れば知るほど、着物への熱い想いは深まるばかり。そんなお話しはまた次回、お届けしたいと思います。

お店や日々のあれこれ

「京都きもの唐草」の商品紹介や、日々のあれこれをリアルタイムで紹介するTwitterや、Instagram。よろしければ覗いてみてくださいね。

京都きもの唐草
〒605-0034 京都府京都市東山区中之町207−1 [ Google Map ]
店舗営業日:金・土・日(不定休)

オンライン販売、それ以外のお問い合わせは、TwitterまたはInstagramのダイレクトメッセージで受け付けています

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