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勝手に励まされるインディアな夜

今週は仕事に苦しみ、なかなかに辛い一週間になってしまった。

久しぶりにお腹が痛くなるような強いストレスを感じる。

それでも何とか金曜日を迎えることができた。最後の仕事を片付けつつ、頭では夜ご飯のことを少し考える。

もう時間的に自炊するのは難しそうだ。普段あまり自分から誘うことはないけれど、今日は一人でご飯を食べる気分じゃない。一緒に残っていた先輩を大好きなカレー屋に誘う。

「今日、マザーインディアでカレーでも食べに行きます?」

「今日は家にご飯用意されているので」

せつない。まぁ今週はそういう時なのだと思い聞かせる。

一人で会社を出て夜ご飯に激しく迷った。

大人しく家に帰って健康的なご飯にして、来週の仕事に備える?ストレス発散にカレーを食べに行くか。

マザーインディアと駅の間で、迷った挙句、欲望に従い、カレーを食べて帰ることにする。

メニューを舐めるようにみて、長考。そしてタンドリーチキンミールスを注文。

ナンの量の多さや油に少し後悔する。来週に備えて、ヘルシーなご飯にしておくべきだったか。

気分がどうしても後ろ向きになる。

カレーを食べ終え、やや俯きがちにレジに向かう。すると、満面の笑みをたたえた渋めなインド人店員さんが声をかけてくれる。

「アタマキヲツケテください」

200mオーバーの高身長男子である自分を慮って、シャンデリアの端をクイッと掴み、よけてくれているではないか。

なんてチャーミングな笑顔!そして優しい!

さらに会計の時に、もう一人の店員さんが声をかけてくる。普段ふてぶてしくて、何回も来ているけれど、注文以外の会話をしたことがない。

「オオキイですね。何センチ?」

「ドコニすんでいるの?」

何気ないやりとりだ。それでも、少し心を開いてくれたのかと思うと、心が温まるのを感じた。相手は無自覚でも、勝手に励まされる。

アドラーが人の悩みは人間関係に集約されるけど、本当の喜びは人との関係にある的なことを言っていたけれど、まさにそうだよと思う。

やっぱり家に帰らずに、この店に食べに来て正解だった。そう思えた。


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