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NPSの使い方 - このnoteを友人や同僚にどの程度オススメしたいと思いますか? -

去年頃から「~を勧めたいと思いますか?」「~を勧める可能性はどれくらいありますか?」というようなNPSアンケートが増えた気がします。

私は、前々職の頃からNPS調査に関わる事が多く、現職でもNPSについて聞かれることがあったので、今日は僕のNPSの使い方をまとめてみます。

「これからNPSをやってみたい」「NPS気になってた」と思う人の参考になれば嬉しいです。

ちなみに、「そもそもNPSとは?」という話はWeb担が分かりやすいので、こちらもどうぞ。


点数が厳しく、評価軸がブレにくいNPS

私はNPSを、①サービス全体のクオリティ管理・向上の指標、もしくは②ファン・解約予備軍の特定、のために使います。

満足度調査よりもNPSが優れている理由として、業績や顧客ロイヤリティとの相関があることがよく挙げられます。

他にも、NPSの方が点数が厳しくなる(ので、サービス提供者側の改善意向が高まる)、NPSは満足度調査よりも評価の軸がブレにくい、というメリットあります。

評価の軸がブレにくいのは、NPSの質問形式「あなたは◯◯(サービス名など)を▲▲(友人・同僚など)に勧めたいと思いますか?」に、何を、誰に、どうしたい(=勧めたい)、という要素が入っているからです。

業績にも相関があり、厳しくフィードバックになりやすく、ファンや口コミの種を見つけることができるため、私はNPSを重宝しています。


ただしNPSは読み取りにくい

一方で、NPSは読み取りにくいのが難点です。

NPSの質問は文章が長く、回答者が誤解しやすいです。たとえば、「自分には勧める同僚がいないので0点」とか「3人に勧めたいので3点」など、意図と異なるノイズ回答が生まれやすいのは短所でしょう。

また、調査側でも扱いにくい場面がでてきます。たとえば、「NPSスコア」という特殊な計算方法を使うので、ひろく社内の理解を得るのも簡単ではありません。あるWeb担の記事によると、NPS点数の平均値を使っても大きな問題はなさそうとも書いていますが、このような記事が出ること自体が分かりにくさを表していると言えるかもしれません。


NPSはコメント、傾向、調査タイミングをあわせて読み取る

NPSの点数を見るだけではアクションにつなげにくいです。

コメントや傾向、調査タイミングをセットで読み取らないと、対策を取るのは難しいでしょう。

具体的には、低得点・高得点の理由や、前回あるいはそれ以前の調査との変化、そしてサービス利用開始からの時期によって対策は大きく変わります。

特に、SaaS業界では「初期Onboardingが重要」とよく言われますが、サービス開始から2,3ヶ月以内であればNPSが低い利用者へのフォローは効果が出る可能性が高く、長い間NPSが低い利用者に対してのコミュニケーションでは変化を期待しにくいです。


推奨者(NPS=9,10)には、優しい人が混じっている

NPS点数の分類ごとに少し補足していきます。

9,10点をつけた「推奨者」は手放しで喜びたいところですが、優しい人、誤入力、意図的な批判者には注意が必要です。

どんな調査に対しても点数を高くつける「優しい人」は、点数は高いですが、実際にそれほど推奨意向は無いでしょう。大ファンと思ってコミュニケーションすると、認識のズレが生まれたりするので注意が必要です。

また、以下のサンプルの通り、9,10点は端にあるため、間違えて押されやすいです。とくに左端に10点があるときのほうが誤入力は増える印象です。たとえば、過去の傾向は低めなのに、いきなりコメント無しの高得点がついた場合は、誤入力を疑います。

さらに、高得点なのに徹底的に批判コメントを入力されることもあります。意図的かどうかはわかりませんが、これも点数と実情が合っていないなら、点数を読み替えるべきでしょう。


中立者(NPS=7,8)には、控えめなファンがいる

中立者には、控えめの点数をつけがちな人や、点数に厳しい人が結構います。私自身も、好きなサービスに対して少し改善点が思いついた場合は、8,9点をつけがちです。

特に、「点数は8点なのにアツい改善案をコメントしてくれる人」は見逃せません。話してみると、サービス改善にも協力してくれるファンだったということは、珍しくないことです。


批判者(NPS=0~6)には、改善の種

NPSが低い回答のコメント欄は、改善の種が詰まっている宝の山です。

一方で、一度落胆してしまった批判者にアクションを取って推奨者に変えようとしても遅すぎることが多いと思っています。私自身は、今後の新しいお客さんが、同じような落胆をしないためのサービス改善につなげるヒントとして捉えています。

ただし、利用開始からの期間が短かったり、直近に評価が高かった人は、早めのフォローアクションで意見を変えてくれる方もいます。やはりスポットの点数だけでは判断できません。

また、批判者の中には、サービスに関係なく何に対しても批判的なスタンスな方もいます。それに加え、サービスの想定利用者と大きく外れる利用者も含まれています。

ただし後者は、新規サービスの種にもなりえます。集客はできているので、サービスが合わないだけならニーズに合う新サービスを提供すれば良い、という発想もできるでしょう。

たとえば、クラウド会計サービスはクレカが使えるとサービスを便利に使えます。逆にいうと、クレカ作れない=サービスとの相性が良くない客ともいえます。しかしここで、クレジットカードを提供できれば、クレカも作れる上、経理の効率化も実現できます。

freeeの提供する、作りやすく、限度額も高い事業用クレジットカード「freeeカード」は、多くのスモールビジネスの方、freeeを利用する方にとっての「1枚目の事業用カード」として活用されています。

freeeカードは公式ページや、以下のようなSlideshareでNPS調査結果も継続的に公開しています。平均NPSが-40以下のクレジットカード業界で、NPSスコアが0前後の高評価を続けています。

NPS使わなくてもファンは見つけられる

また、もしファンを特定するためであれば、利用者と良好な関係を築いている営業やサクセスメンバーの話を聞くと、調査しなくても推奨者は特定できます。

私も過去にユーザーコミュニティを立ち上げる際はNPSの結果も活用しましたが、社内の人に聞くほうが参考になる情報は多いです。

また、SNSやサービスの利用ログ等を見てても明らかなファンを見つけることもできます。他にも、推奨者を見つけるためにNPSの得点を見ずともできることは色々あるはずです。

ただし、「静かなファン」を見つけたり、利用者全体のスコアや傾向を見るには、NPS調査は最適な方法の一つです。


はじめてのNPS調査では、社内のケアも

初めてNPS調査の結果を見た人は、スコアの低さで落ち込むかもしれません。

実は、ほとんどの業界のNPSはマイナスなのが実情です。NPSコムの「NPSランキング トップ企業 2019」を見ると、総合型旅行会社部門と動画配信サービス部門以外は、1位の企業でもNPSはマイナスです。

冷静に考えれば、自分の身の回りにある全ての財・サービスにNPS回答をすると0~6点が最も多くなるのではないでしょうか。

マイナスの数字を見ると凹む気持ちも分かります。

しかし、「いち早くお客さんの本音を知ることができた」ということをポジティブに捉え、早く前向きになり、生データを見て、対策、対応を進めていくのが、NPSとの良い付き合い方だと思っています。


せっかくなのでNPSアンケートを

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