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小中学生野球選手における投球動作が及ぼす内側肘関節の間隙拡大の影響について

今回はMatsuo氏らによって書かれた論文を要約してみました。

一般的に野球の投球動作は肘の外反ストレスを生じさせ、肘関節の内側の隙間が拡大する要因となります。小中学生の野球選手の身体は成人に比べ未熟ではありますが、野球のピッチングが成人の選手達と比べてどのような影響が出るか調べた研究は今までありませんでした。この研究では成人の選手と比較して小中学生の野球選手の”投球数”に基づく内側肘関節の間隙の違いを調査しました。

この研究ではサンプルとして健康な小中学生の野球選手11人と、野球経験がある大学生12人が選ばれました。投球数は60球で、それを15球ずつ4セットに分けて、全球を全力で投げてもらいました。内側肘関節の隙間の測定は、投球前、そして各15球を投げた直後に超音波を使って行いました。

結果として両グループ(小中学生&大学生)ともに、60球投げた後の内側肘関節の間隙が有意に拡大してることが判明しました。さらに小中学生野球選手の内側肘関節の間隙は、大学生に比べて有意に広かったことも判りました。

著者はこの研究の結果を見て、小中学生の野球選手の球数制限を考慮するに値すると結論づけています。とてもシンプルな方法で結論も分かりやすいと思いますが、欲を言えば大学生のグループも現役の選手を使って欲しかった…

ちなみにアメリカでは似たようなコンセプトの研究が行われていて、全く逆の結果が出た研究があります(https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1058274623008340)。著者の結論としては投球によって屈筋&回内筋群が刺激されて内側肘関節の隙間が縮まったのは考えていますが、この研究では球数は先ほどの研究の半分の30球だったため、球数が増える=疲労も増えると考えれば納得がいきますね。

興味のある方はリンクを貼っておいたで本文も一度読んでみてください。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1058274621008594

それでは

https://emed.ie/Investigations/Ix_Radiol_Xray_Limb_Upper.php

画層元URL:https://emed.ie/Investigations/Ix_Radiol_Xray_Limb_Upper.php


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