光と風のクリエ

先祖から受け継がれた精神遺伝子ともいうべき、自分自身の極まりない価値を取り戻す大切さ

高校時代だけは、思い出したくないみじめさに溢れている。身長が155センチと低いのにもかかわらず、バレーボール部に所属してしまった。進学高で、成績が公開され、四百数十名中、三百番台と知れわたってしまった。漱石だけの通期の授業があったものの、実は太宰が好きだった・・・

逃げ場所は、「倫理・社会」(哲学思想・社会学)の世界だった。根暗だったからか、強制されずとも知識を吸収できた。曹洞禅を実践する先生の、事務職泣かせのプリントの膨大さも楽しかった。

古今東西の思想に総花的に触れて、我が意を得たり、と思ったのは、老子・荘子の世界だった。大学に進学し、老荘を勉強しようと思った。

前置きが長くなった。要は、私は昔から老荘の思想を愛しているのだ。

ご縁で、中国出身の金大偉さんというアーチストに出会い、音楽・映像を鑑賞させていただいた。「統合アート」を目指す氏のシャーマニックな表現は、私の細胞に蓄積された数々の傷を癒してくれた。

金大偉さんの初の語り下ろしの『光と風のクリエ』(和器出版)が7月に出版された。日本人の母と中国満洲族の父を両親に持ち、清の初代皇帝ヌルハチの血脈である氏がこれまで取り組んできたこと、何を目指しているのかが語り尽くされている。

こんな一文に出会った。

「祈りというのは、願ってよい方向にいこうということです。祈ることの価値、意味はそこにあります。ですから私は、アニミズム、シャーマニズム、タオイズムの三大イズムをもう一度、社会の中に復権すること、つまり繰り返し再認識することを願っているのです。」

「アニミズムやシャーマニズムが持つ、野性的な霊感や原初的な直感は、創造性を生む最大の原動力になります。こういった原始的方法論、あるいは原始的な知恵を再認識、再理解、再体験することによって、断片化された現代の社会は、より良い方向へ進んでいくのではないかとも思います。」

《アニミズム、シャーマ二ズム、タオイズムの復権》そうだったんだ。

我が国には、アニミズム、シャーマ二ズムとしての古神道がある。中国には、シャーマニズムはもちろん、タオイズム(道教、老荘の教え)がある。民族のそれぞれ固有の優れた文化に目覚め、復権することこそが、建設的なのだ。

米中ではすでに「グレーウォー」が始まり、間にはさまれている、我が国の為政者も国民も、どうして良いのかわからない時代だ。でも、慌てる必要はない。

●日本人、中国人がすでに持っている古来からの叡知を自らに呼び覚ますこと。

●閉塞の打開と希望の開拓は、誰かがやってくれることではない。各人が一人一人、源に気づくこと。

老荘の世界、金大偉さんの活動から私が学んだのは、先祖から受け継がれた精神遺伝子ともいうべき、自分自身の極まりない価値を取り戻す大切さだった。

また、
和器出版に
やられてしまった・・・

★版元HP 光と風のクリエ The Artistic Creativity of Hope – 金大偉 | 和器出版 (wakishp.com)


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