旅なんてめんどくさい。
お金も時間もかかるし、景色なんてネットでいくらでも見れるし、一緒に行く人もいない。
そう思い始めたら、私はよく独り旅に出る。
なんとなく、京都の清水寺に行った。
清水の舞台の景色を見て、とくに何も思わず、市内バスで駅に戻る。
バス内で立っている年配の女性がいたので、席を譲った。
なんどか遠慮したあげく、ようやく座ってくれる。めんどくさい。いいからさっさと座ればいいのに。
そのままバスは発車する。混雑しているのでその女性の前に立たざるを得ない。めんどくさい。気を遣う。
荷物をここにおきなさいと言ってくれたり、お礼にとお菓子の八つ橋を頂いてしまう。めんどくさい。気を遣う。
降りるときもわざわざまたお礼頂いて、良い旅をと言ってくれる。
旅はやっぱりめんどくさい。お礼のためにやったんじゃないのに。なんかもやもやするし。
もらった八つ橋はおいしかったので、駅で買った。さんきゅう、ばあちゃん