見出し画像

大切な人をファインダー越しに見つめると涙が出てくるのはなぜ。

撮影は片想いからはじまります。
被写体から視線が帰ってきて、その視線に好意を感じたとき、ファインダーの中でちいさく恋が成就します。

涙が出るのはうれしいからです。

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写真は「いま」を「過去」にします。
写真を撮ることは「いま」が終わりの連続であると認めること。シャッターを切るたび「この瞬間」は明確に「過去のできごと」になります。

写真は終止符。
ファインダーは「いま」に「さよなら」を言うための場所です。

涙が出るのはさみしいからです。


見出しの写真は、ある温泉街の入り口にある個人商店のおかみさんです。その笑顔が見たくて、毎年のようにお店を訪れています。温泉は少しずつ活気を失っていて、最近数年でいくつかの旅館が閉業しました。「前は旅館が8軒あったの。でも、残っているのは1軒だけ。なんだか信じられない。」それでも、その温泉の片隅でちいさな商店が今日も静かに開いている。そのお店を守るひとりの人のことをわたしは大切に思っています。

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