男子殿筋の部?

 ミロス・シャシブさんがInstagramで投稿した「"men's glutes"部門」について、そもそも投稿された画像・映像は一体何なのでしょう。

ミロスさんの投稿から

 プロボディビルダーとして活躍し、現在はコーチとして各国の選手を育てているミロス・シャシブ(Milos Sarcev)さんがInstagram(https://www.instagram.com/milossarcev/)でこんな投稿をしています。

「Milos Classic 2020では"men’s glutes"部門を創設します」
 "men's glutes"だから「男子殿筋」の部門ということになりますよね。

 更には、こんな投稿も。

「規定ポーズを学んでおいてね」

この映像はどの大会のものなのか

 ミロスさんがどこまで本気なのかは分かりませんが、映像自体は実際にあるので、こういう競技が行われたことは確かです。
 ただ、その競技が実際の競技として行われたのか、コンテスト幕間の余興なのか、その辺りは分かりません。
 映像を見ていると「2018第一届珠江三角洲」「春季新人交流赛」の文字があり、これを調べてみたところ「2018第一届珠江三角洲“曹氏兄弟-健美联盟”春季新人交流赛竞赛」という大会が見つかりました。
 どうやら、この大会の映像の様です。

競技なのか余興なのか

 奥威博瑞のページにあった「2018第一届珠江三角洲“曹氏兄弟-健美联盟”春季新人交流赛竞赛」の開催要項(http://www.aoweiborui.com/article-5ae413745d454046178b4587.shtml)を見てみると、「七、竞赛项目、分组」(競技部門、クラス)の「(二) 健身比赛项目」(フィットネス競技部門)に「4、男子健臀先生」というのがあります。

 「健」には「強くする。丈夫にする。」(『中日大辞典』第三版、大修館書店)という意味があり、一般的に「健美」はボディビル、「健体」はフィジーク、「健身」はフィットネスの意味になります。
 「健臀」は「殿筋を強くする(鍛える)」なので、競技としては鍛えられた殿筋を競うものとなります。

 つまり「4、男子健臀先生」は「男子殿筋の部」なのです。更に言えば「先生」が付いているので「ミスター殿筋」です。

 開催要項に項目を立てて書かれているということは、これは余興ではなく競技として行われたことが分かります。

男子殿筋の部について

 では、そもそも「男子健臀先生」とは何なのでしょうか。

 先ほどの開催要項の「八、竞赛办法」(競技方法)には服装規定のみが詳しく書かれ、ルールについては「比赛执行相关健美组织最新《健美健身竞赛规则》及赛事组委会设定规则。」(競技は関係するボディビル組織による最新の「ボディビル・フィットネス競技規則」及び大会組織委員会が設けた規定により行われる)とあるだけです。
 この規則が見つかれば良かったのですが、残念ながら見つかりませんでした。

 しかし、WEMPで大会の名前にもなっている曹氏兄弟の兄、曹俊君さんのコメントが「推陈出新-2018年首届珠江三角洲曹氏兄弟健美联盟春季新人赛回顾」にまとめられていたので、そちらを見てみたいと思います。

「本次赛事除了开设有常规的健美、健体、比基尼以及女子美臀项目,出于大胆创新,增添竞技性和观赏性的考虑,在以国际规则的视野和严格规范下,我们尝试着首创男子健臀项目,引发健美圈热议,并且今后还会不断开设创新的专项赛,推动健美竞技的精细化专业化发展。」

「今大会では通常のボディビル、フィジーク、ビキニ、女子臀部の部門の他に、大胆なイノベーションにより、競技性と観賞性を増すことを考慮し、国際規則の視野と厳格な規範の下、私たちは「男子殿筋の部」を創設することを試み、ボディビル界隈に盛んな議論を引き起こし、更には今後も絶えず新たな競技項目を創作し、ボディビル競技が洗練され専門化され発展して行くことを促進しました。」

 このコメントを見ると、今の今まで「男子殿筋の部」はなかったのですが、この大会において試みとして新たに創設した部門であることが分かります。
 上記の訳では「女子臀部」としたのですが、実は中国の大会には「女子美臀」という部門があり、ビキニ競技とは別に、女子の臀部を競う競技があります。
 それに対してかは分かりませんが「男子殿筋の部」があっても良いだろうということなのでしょうね。

 更に評価方法についても書かれています。

「男子健臀评分区域为腰腹部位至臀部、大腿股二头肌位置,要求有较为清晰腹部、近似方形臀肌并有清晰线条、股二头肌肉清晰为基准评判。」

「男子殿筋の部ではウエストから臀部に至るまで、大腿二頭筋の位置を採点対象の部位とし、比較的筋肉が出ている腹部、四角形に近く筋肉のスジがクッキリとした殿筋、大腿二頭筋がはっきりと出ているかを基準とした評価が求められる。」

 かなり部位が限られた競技ですね。
 競技を見るとバックポーズのみですので、腰回りの筋肉の出方、大腿二頭筋の出方、それから殿筋の形と筋肉を採点対象として競っている競技ということになります。

今後の開催について

 「男子殿筋の部」は

・2018年に創設された新部門
・ウェストから臀部、大腿二頭筋を評価対象とし、腰回りの筋肉の出方、大腿二頭筋の出方、それから殿筋の形と筋肉を見て採点している競技である

 ということが分かりました。

 では、この競技の今後の開催についてはどうなるのでしょうか。

 微博にある大学生健美健身联盟の投稿に「2019第二届珠江三角洲“曹氏兄弟-健美联盟”“秋冬之恋”新人交流赛」のポスターがあるのですが、そこを見ると、「4、男子健臀先生」は番号ごとごっそり削られていますので、残念ながら今年は開催されないようです。

 男子の臀部のみって中々ないので面白いなーとは思ったんですが…。
 また、どこかで見られると良いな、と密かに思っております。

 ミロスさんが本当に来年競技として行ったら、トップビルダー達のドデカい臀筋が見比べられるんですよね。
 それはそれで、ちょっと見てみたいです。あればの話ですけどねw

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