夕焼け

まあるい水晶の中の思い出。

それまで大切に大切に胸の中で暖めていた

大切な思い出と想いが壊れてしまった。

わたしのやってきたことはなんだったのだろう?

まあるい水晶のようにキラキラとした玉の中に

ずっとずっと輝いていた

明るく心を照らしていた想い出が

床に落ちるようにして

粉々に砕ける瞬間を感じた。

涙がぽろぽろと流れた。

大切な思い出だった。

胸がぎりぎりと音を立てて軋んだ。


割れてしまった思い出を

拾い集めようとしたら指先から血が滲み

拾い集めたところで元には戻らないことを悟ってしまった。

もう、これは必要がないのかもしれない。


私がいつまでも捨てずに大切にしてるから、

割れてしまったのかもしれない。


過去は過去で、今ではない。

あの頃にいくら思いを馳せても

すでに通り過ぎた瞬間でしかない。


そして、私の望むしあわせは、あそこにはない。


思い出にさようならをしよう。

いずれにせよ、一緒に守れないものは消えていく。


そう思ったら、また涙が出たけど

それはそれでいいのだ。

今がしあわせでなければ、嘘なのだ。

私たちが手にしているのはいつだって

今という瞬間だけなのだから。

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