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やってもいいことだから選ぶ? やっちゃダメだけど選ぶ? 冒険したい主婦の小話

1ヶ月前の私は自信がないくせに、プライドだけある高学歴の37歳、育休中主婦だった。つまり、夢だけは大きく語り、何も行動していない、行動しても小さな小さな範囲だけで、近くにいる5名くらいが見てくれるもの。

それがひょんなことから、金づかいが荒くなり、発言が過激になり、未来への突拍子もないことをあたかも現実であるかのように言い出している。これからどうなっていくのかわからないし、さっき占い師さんにもキツイよ、て言われたんだけど、だからと言ってもうやめる気はない。

ずっとダメなことだと思っていた。だからやらなかったし、やりたいとも思わないようにしてた。だけど、ダメなことだけどしたいんだ。そこに気づいちゃった。

独身の頃はまだ、ストレスがたまったら10万円分の服をどっさり買って母親に披露し、会社の後輩たちにそれとなく自慢することで気を紛らわしていた。「結婚するまで」だと言い聞かせて。
なのに、人生計画の25歳を過ぎても、30歳をとっくに過ぎても「結婚」どころか、彼氏も現れず、現れたと思ったら泡のように消えて、あれはもう現実ではなかったのか? と思う。(王子様みたいだったから、いっそ夢にしたい)

32歳でどげんかせんといかん宣言をして実家を離れる決意をした。5年前のこと。それから私の人生は大きく好転し、彼氏、結婚、出産の人生計画を着々とこなしてきた。

娘は1歳になった。もう一人産むか産まないか問題はあるにせよ、女としての人生経験ではもう望むものはないはず。

がしかし、今日も寒い朝を迎え、「晩ごはんはいらないよ」と言う旦那さんを送り出し、さて、今日一日何しよう。同じ年頃の娘を持つ友達に連絡しようか、いやちがう。ずっと会っていない中学時代からの友人に思い切ってメッセージしてみようか、いやちがう。

「私は何がしたい?」

昨日勧められて買った本の最後のひと言がよぎる。

「本当はどうしたい?」

まだ完全100%ではないけれど、あるできごとをキッカケにこれまで築いてきた私がガラン、ガランと崩れる音がする。たとえるなら、落花生の殻を中からたたき割っている感じ。「こんな分厚い殻、いらん! いらん!」と素手で壊していく。

相当体力がいる。殻が破れたまま、疲れて寝て起きたら、空いたところから冷たい風がびゅっと吹いていて、寒っ! やだ! さむいの! 私、冷え性なのよ! と思ったりする。

そんな朝は、自分で叩き割った殻をそそくさとボンドでとめて、ぬくぬくの中にこっそりまた入ろうとする。ホントは入りたくない! 入っちゃダメ! 外に出たいんでしょ! 心はそう叫んでいるのに、長年の体の習慣の方がまだ勝つ。毎朝起きる度、昔の私なのか、新しくなりつつある私なのかぼーっとした頭で確認する。

私はいつも振り子のように、あっちに行ったり、こっちに揺れたり、目の前にきたもののすべての良いところを見て、取り入れようとしてきた。お母さんが良いと言ったもの、先生かダメだと言ったこと、友達が気に入ってそうなもの、そういうものに揺れて揺られて、世間のだいたいの人たちがいいと思ってるであろう道に進んできた。

なにもかも。きっと。やらなくてもいいこと、やっちゃダメなことは、自分にとって意味のないもの、経験する必要のないものだと、片っ端から排除してきた。
だけど、よく考えたら私の人生をいい方角に舵を切り返せたの5年前に福岡から京都に飛び出したあの時。やらなくてもいいことなのに、やった方がよかった。なにそれ。世間の常識ってなんなの? 私は何のために、良識をインストールしてきたの。

CHANELに通って気に入った限定品を買うことも、週末のイベントのために目についた新しい服をすぐに買うことも、たまの一人のバスタイムのために高価な石鹸やボディクリームを買うことも、きっとダメなこと。良識じゃない。お母さんなんだから、もう先は見えてるから。節約して、子どもの学費を貯めて、時間がない生活をなんとかやりくりしなきゃいけないんだよね、きっと。

でもさ、私、32歳までぜんぜん人生楽しくなかったよ。いいって言われることやってるから、安心感はあるんだけど、楽しさがわからなかった。今もまだわからない。揺れてるから。

だけど、やっちゃダメなことが私のやりたいことだって少しずつわかってきた今は、旦那さんを送り出した後オシャレして、クレジットカード持って、ベビーカーを押して電車に乗って梅田まで行って、目についたもの、前からずっと欲しかったものを買ったよ。

バレたら怒られるけど、やっちゃった。てへ。誰かのインストールじゃなくて、私をどんどんアップデートしていく。それが楽しいってこと。

この感覚を忘れないで、できるだけ続けていくためには、目の前に現れたモノや人に対して、「やってもいいこと」だから選ぶのか、「やっちゃダメだけど」選びたいのか、自分に聞きながらこれからは生きていこうと思ったの。


ありがとうございます! ひきつづき、情熱をもって執筆がんばりますね!