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夫が運転する車の後部座席で、娘が手渡してきたうちわの金魚を眺めていたら、

夫が運転する車の後部座席で、娘が手渡してきたうちわの金魚を眺めていたらおばあちゃん? 竹下のおじいちゃんとおばあちゃんちにあった金魚の水槽をおばあちゃんが手を突っ込んで、敷き詰めてある砂利に付いた藻みたいなものをジャリジャリ掃除していた手はシワとフシが目立つんだけど、大きな爪にはピンクの光沢のあるマニキュアが塗ってあったと思う。その手を覚えているのは、シワとマニキュアがアンバランスだからなのか、爪が異様に大きく見えたからなのか、マニキュアに憧れたからなのかはわからない。ぜんぶかも。

私がオシャレなのはおばあちゃん譲りだと思いたい。でも、お母さんもこだわるよね。でも、良いものをとことん選ぶのはやっぱりおばあちゃん譲りだと思いたい。安いものを買うくらいなら三回我慢して良いものを買えっていうのは、間違ってない教えだと思ってる。

掃除機を持ったまま階段から落ちて、ボケが始まったおばあちゃんが死んだのは、あれから何年後だったんだろう。大学で東京にいた頃の私は、家族の心配なんてしたくなかった。自分の青春をどう満喫するかを考えるだけでも、経験のない脳は情報処理が追いつかなくて、結局、彼氏一人もできず終わるなんて情け無い時代だった。

おばあちゃんがまだはっきりしてた頃、わたしも中学生くらいだった頃、一人で映画を観るのが好きだからとおじいちゃんが一人で鹿児島に行く日を楽しんでるかのように見せてたおばあちゃん。あれは本当なのか。おじいちゃんは、なぜ一人で行くのかなんてこともそのときは不思議にも思わなかったけど、さっきテレビで上沼さんに気合いを入れなおされてた原田龍二みたいなことだったのか。ハハハ。おじいちゃん、コラ、おい、お前。

上沼さんがさ、原田龍二にさ、「奥さんのこと、愛してますか」て聞いた。はい、て即答してたんだけどホントか、と思った。浮気したから信じられないんじゃなくて私………………………………………………………………………………………………
愛ってよくわからんのよ。夫のことは好きだよ、夫は私以上に私のことが好きだよ、すごいのよ、この人の愛。昨日書いたのだってさ、夫に出会えた感謝と夫からの愛に感謝できる私になりたいってことでさ。

愛? 無条件の? そんなのないでしょ、条件あるよね? そりゃ、命が一番大事だよ、命さえあればって気持ちはなんとなくわかる。

こないだのゴールデンウィークに母が私の娘をみて、「愛しいね」と言った。自分の孫に対してでもあり、あなたも母親として子どもにそんな気持ちがあるでしょ、て意味だと思うけど母の目を見られなかった。

愛。私の名前はおばあちゃんが付けた。愛美で、あみと決めてたんだけどお父さんがひらがなにしたって。ブスだったらかわいそうっていうのは、後から付けた話だと思うけど、謙虚がモットーのお父さんだから、目立ってなんぼのおばあちゃんが決めた愛されて美しく育つってのは、落ち着かなかったんだと思う。

それで良かったと思うし、この名前はすごく気に入ってるよ。結果的に、愛されて美しく育ってるし。だけど、私が夫に感じているのは愛ですとは、言えない。ラブです、とは言える。ライクじゃなくてラブ。

愛のこと、重く考えすぎてるのかもね。でもさ、やっぱりさ、思い通りにいかないとさ、ムカつくよ。それって、愛じゃないよね?

あー、もうわからん。おばあちゃん、名前、ありがとう。気に入ってる。
マニキュア、乾いたっぽい。

おわり。



ありがとうございます! ひきつづき、情熱をもって執筆がんばりますね!